2022年12月9日金曜日

LaTeXエディタのすすめ(金曜担当 南)

こんにちは。

皆さんはLaTeXを使っていますか?

LaTeXとは論文の作成によく使用されるマークアップ言語です。
以前、他のスタッフさんがLaTeXに関する記事を書かれていたので、知らない方はこちらを見ていただくと何となく概要がわかるかなと思います。

LaTeXのすゝめ(2018年12月14日)


LaTeX自体はソフトウェアではないので、様々なエディタが存在しています。
今回は私が使ったことのあるLaTeXエディタと使ってみた感想を紹介したいと思います。

TeXworks

LaTeXをインストールしたときに大体一緒にインストールされるエディタです。
個別でインストールする必要がないため、環境構築が楽です。(ですが、LaTeXの環境構築自体が少し面倒なので、試しにLaTeXを使ってみたい人は後述のOverleafの方がおすすめです。)
機能は後述の2つの方が豊富なので、しっかり使いたい人はそちらの方が良いかもしれません。
〇メリット
・後述のVS Codeよりは環境構築が楽。(LaTeXを入れたらすぐに使える。) 〇デメリット ・見づらい。 ・便利な機能があまりない。



●Visual Studio Code (VS Code)

プログラミング用エディタとしても人気が高いVS Code。LaTeX用にも様々なパッケージが用意されています。カスタマイズ性が高いことが魅力です。
〇メリット
・複数のコンパイルを一回のクリックで行うような設定ができる。
・数式のプレビューを見る(下図の中央付近参照)ことができる ・補完機能や色の設定など、ほかにも便利な機能がたくさんある。 ・LaTeX用以外にも便利なパッケージが多数存在している。 〇デメリット ・初期設定が少々面倒。


●Overleaf

https://ja.overleaf.com/
Overleafはクラウド上で管理されるLaTex文書作成サービスです。上で紹介した二つと違って、パソコンにLaTeXの環境を構築しなくても良い点が特徴です。
〇メリット
・クラウドで管理されているので、バックアップの管理が楽。
・他の人と共有して一緒に作業を行うことができる。(※有料会員が共有グループに一人いる必要があるので注意)
→論文を書く時などに便利。
・変更箇所に自動で色を付けることや、コメントをつけることができる。
→該当範囲を指定してコメントを書くことができるので見やすい。(下図オレンジ色の部分参照)
〇デメリット
・使用する画像をその都度、アップロードする必要がある。 ・インターネット環境がないと使用できない。 ・稀にOverleafのサーバーが不調になり、使用できない場合がある(らしい)。


まとめ

以上をまとめてみるとこんな感じでしょうか。

便利な機能を使って快適な環境を構築したい。自分好みの環境をカスタマイズしたい!→VScode
他人と一緒に論文を書きたい。クラウドで管理したい。とりあえずLaTeXを使ってみたい!→Overleaf


個人的には、バックアップがしやすくてコメント機能のあるoverleafが好きです。
他にもたくさんの種類があるので、気になる人は是非調べてみてください!

おまけ

●TeXclip

https://texclip.marutank.net/
LaTeXで数式を書いた数式の画像ファイルを作ってくれるwebサイトです。
プレゼン資料を作るときに大活躍しています!






2022年12月8日木曜日

留学について 木曜担当 杉原

こんにちは、木曜担当の杉原です。

新型コロナウイルス感染拡大防止のための渡航制限も解除され、来日観光客や留学生が少しずつ増えているように感じます。日本でぜひ良い思い出を作って欲しいです。

今回は日本から海外への留学について、私が参加した国際センター主催の二つの留学プログラムを紹介します。

短期海外研修プログラム(春季)

一つ目は春の短期プログラムです。国際センター主催の短期プログラムには春季と夏季の二種類があり、春季は2月末~3月にかけて行われ、期間は2~4週間程度です。

私は学部2年生の時にシドニー大学の春季プログラムに参加しました。参加者は約20人で、理工学部以外にも文学部や法学部、環境情報学部など様々な学部の学生が参加しており、1、2年生のみではなく就職を間近に控えた4年生も参加していました。プログラムのテーマは、ビジネスと異文化理解の二つであり、具体的にはビジネスに関する講義と文化体験がありました。ビジネスといっても専門的な内容ではなく、初学者でも分かる内容を英語で学んでみようといった感じでした。座学のみではなく、ゲストスピーカーの講義やグループワークがあり、プログラムの最後にはグループごとのプレゼンがありました。講義は午後3時ごろには終わるため、自由時間はかなり多かったです。キャンパス散策やオペラハウスなどの市内観光、グループワークの続きなど時間を有効に活用できます。また、文化体験では、シドニー大学の学生と一緒にサーフィンや現地の料理などを体験しました。文化体験を通してオーストラリアの文化への理解を深めつつ、シドニー大学の学生との仲を深めることができ、プログラム外でも放課後や週末に一緒に観光しました。

シドニー大学のプログラムの特徴には、開始時の滞在形式に特徴があります。多くのプログラムでは、寮またはホームステイでの滞在となります。一方、本プログラムでは最初の一週間は慶應生全員でゲストハウスに滞在し、後半の二週間はホームステイでした。留学開始後に慶應生全員で同じ場所に滞在することで現地の生活に慣れ、参加者同士の仲を深めることができました。後半については、ホームステイ先によって経験できる内容が異なります。私のホームステイ先は、スペインや台湾、ベトナム、チリなど様々な国からの留学生を受け入れており、留学生同士で一緒にご飯を食べたり、勉強したりしました。参加者によっては、週末にホストファミリーと出かけており、それぞれのホームステイ先で良い経験ができると思います。

ゲストハウスでの共同生活の他にも、留学前には慶應でオリエンテーションがあるため、留学が初めての人でも安心です。海外での暮らしを経験する第一歩としておすすめのプログラムです。

派遣交換留学

二つ目は交換留学です。こちらは約1年間海外の大学にて現地の学生と同じ授業を受けます。そのため、短期プログラムとは異なり、英語で専門知識を学ぶ留学ということになります。私は学部3年の8月~学部4年の5月にカリフォルニア大学バークレー校へ留学し、化学や材料科学、コンピュータサイエンスを学びました。

留学先における慶應との大きな違いとして、一学期あたりの授業数が少ない点が挙げられます。慶應では一学期に15科目以上履修していたこともありますが、留学先では前期・後期ともに4科目ずつ履修しました。履修科目数は少ないですが、各科目で講義が週に2、3回あるため、一つの科目で扱う内容が非常に多いです。学生はみな授業へのモチベーションが高く、教室の前から順に席が埋まっていました。授業中に質問が多いことが印象的で、教授は"That's a good question!"と言って嬉しそうに質問に答えており、また一通り説明し終わった後に質問タイムを設けて学生の疑問を解決しており、慶應との授業スタイルの違いを体感しました。一方、ひとたび勉強から離れると、みな吹っ切れたように騒いで遊びます。特に金曜日の夜(通称Friday Night)は平日を乗り切った解放感から、大学の町や寮が非常に賑やかになり、一週間で最も好きな時間でした。

留学の大きな懸念として費用が挙げられます。その点、交換留学では留学先ではなく慶應に学費を納めるため、海外大学の高額な学費を納めることなく1年間留学できます。また、留学先で取得した単位を慶應の単位に変換する(読み替える)ことが可能です。留学しても学年を落とさずに4年間で大学を卒業できるため、留学すると同期の友達と一緒に卒業できない、という心配がある人も安心です。

このように海外大学での勉強のみでなく、Friday Nightの遊び方や週末の過ごし方など学生生活そのものを経験できます。交換留学に参加することで、日本(慶應)と海外の両方の大学生活を経験できる非常におすすめのプログラムです。

2022年11月9日水曜日

研究室選びについて②(2つの研究室に所属した経験あり)瀧田 

「研究室選び2」

こんにちは。秋学期、水曜担当の瀧田です。
今回は、就職活動を見据えた上での研究室選びについてお話しします。


前提として、一般的な就職活動のスケジュールを大まかに説明します。(日系企業の例)↓
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
M1 5月:企業研究(説明会に参加などして業界や企業について調べる)
     6~7月:夏インターンに向けてES(エントリーシート)作成やwebテスト受験、面接練習
     7~9月:夏インターンに参加
     9月~10月:ESのブラッシュアップ・冬インターンに向けてES,webテスト
     11~2月:冬インターンに参加、早期選考開始
     2~3月:本選考のES作成、webテスト
     3月~M2 5月上旬:本選考の面接
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
M2 5月下旬~12月:研究のみに注力可能

上記を見ると、研究に集中できる期間が1年弱と短いことがわかります。


研究所や研究職など研究に特化した職種でない場合は、1年間就職活動と研究を両立しなければなりません。
したがって、拘束時間が長くない研究室を選んだ方が、就職活動における悔いは残りにくいというのが個人的な見解です。
コアタイムがあり研究室に長時間滞在して研究しなければならないか、あるいは研究の内容が難しく、研究に割く時間をとられるかといった点は、就職活動との関係で研究室選びの際に重要な視点であると言えます。

研究室によっては、コアタイムがあっても、就職活動中(M1 12~5月ぐらい?)は就職活動に専念することを許可する先生もいるため、研究室訪問で確認しておくと良いと思います。


※ただし、研究所等で研究者としての道を究めたい方に関しては、上記のスケジュールとは大幅に異なります。
そのため、研究職を目指したい方は、将来研究したい内容に近いテーマを扱っていて、面倒見の良い研究室を選ぶことが最適だと感じました。


以上です。
研究室選びはもちろん、就職活動に関するご相談も受け付けておりますので、お気軽にラーニングサポートデスクまでいらしてください!
     


2022年11月8日火曜日

表面化学とは何だろう? 村野(2022年度秋, 金曜担当) 

こんにちは


2022年度秋学期 金曜担当 の 化学科 修士1年 村野 です

担当時間は 14:00 ~ 15:30 です


・学部の化学系科目で分からないことがある

・化学系科目の宿題のヒントがほしい

・実験レポートの書き方で悩んでいる


という方は,ぜひ質問・相談に来てみてください

もちろん,授業以外の学生生活に関することでも大丈夫です


今日は,わたしの所属する近藤寛研究室(化学科)のテーマである「表面化学」について紹介します


表面化学の定義

多くの人にとって「表面化学」という分野はあまり馴染みがないと思います

「表面化学」は文字通り「表面」の「化学反応」を研究する学問です

より厳密に言うと,


  「表面」:固体(あるいは 液体)と気体の接する面 

  「化学反応」:分子どうしの相互作用によって新たな分子が生成する現象


と考えれば,


 「表面化学」:固体(あるいは 液体)と気体の接する面において,気体分子どうしの相互作用によって新たな分子が生成する現象を研究する学問


と説明することができます


身の回りの表面化学

そんな風に言われると,何だか難しいようですが,

実は,表面の化学反応 は,わたしたちの身の回りに ごくふつうに 存在します


例えば,

 秋になると,キンモクセイの香りが街に漂います

 キンモクセイの香りの正体は,大きな有機分子(香り分子)です

 わたしたちが甘い香りを感じるのは,キンモクセイの花から放たれた 香り分子 が,鼻の内側の表面に付着し,化学反応を起こすからです


また,

 歩道を歩いていると,車道との間にあるガードレールがところどころ錆びています

 ガードレールは鉄鋼でできていて,ふつう ペンキで保護されています

 しかし,年月を経て,ペンキが剥がれると,むき出しになった鉄鋼の表面に,水分子が付着して,鉄鋼を酸化鉄に変えていってしまうのです


表面化学の恩恵

表面の化学反応 が意外と身近な存在であることはわかりました

しかし,なぜ 表面の化学反応 が重要なのでしょうか

それを理解することで,わたしたちの生活にどんな御利益があるのでしょうか


実は,表面は 産業上の様々な場面で 重要な役割を担っています


例えば,自動車のマフラーには 排気ガス中の有害な物質(一酸化炭素や一酸化窒素など)を除去するための,三元触媒が使われています

三元触媒は パラジウム(Pd)やロジウム(Rh)などの貴金属を主成分とし,その表面で有害物質 が 酸化還元 されることで,人体に無害な成分として排出されます


また,化石燃料に代わる新たなエネルギー源として期待される水素エネルギーですが,水素ガスは臭気がなく,漏れ出すと爆発のおそれがあるため,水素ガスを検出して危険を知らせてくれるセンサが必要です

白金(Pt)は 表面に水素が付着すると,付着量に応じて電気抵抗が変化するため,高感度の水素検出センサとして使用することができます


このように,表面化学を理解し,制御することが,わたしたちの生活には欠かせないのです


表面化学研究室(近藤寛研究室)

最後に,わたしの所属する 表面化学研究室 について紹介します

表面化学研究室では,産業的に重要な触媒やセンサーの動作メカニズム解明を目指しています

用いる手法は主に,分光法です

すなわち,化学反応を起こす物質の「表面」に 光(電磁波)を照射し,反射した光や放出される電子を分析します

これにより,表面を構成する元素の種類や量,状態を知ることができます


とはいえ,実際に産業で用いられる触媒やセンサーの「表面」は複雑な構造をしていて,これに光を照射しても,解釈できるデータにならないことがほとんどです

そこで,この複雑な表面を,いくつかの単純な構造表面に分離して,それぞれについて分析を行います

それら別々の表面から得られた情報を,いかに統合して,全体像を導き出すかというところが,研究の肝になります


少しでも興味が湧いたら,ぜひ 研究室のホームページ にアクセスしてみてください!

http://www.chem.keio.ac.jp/kondoh/index/jp/


以上です

最後まで読んでくださり,ありがとうございます


村野

2022年11月7日月曜日

2022年度 秋学期金曜担当 南 自己紹介

 こんにちは。

2022年度秋学期ラーニングサポート金曜日担当の南です。

今回は私の自己紹介をさせていただきます!

プロフィール

  • 学年:修士1年
  • 学科:物理情報工学科
  • 研究室:堀豊研究室
  • 研究内容:強化学習を用いた制御機設計法の改良
  • 趣味:手芸、散歩
研究内容  
 制御工学
    制御工学とは、機械などのシステムを良い感じに動かしたりコントロールするための学門です。”良い感じ”を具体的に説明すると、機械がおかしい挙動にならない様に安全に動かしたり、小さなコストで動かしたり、外からの影響に強かったり……といったことを意味します。
 制御理論は様々な場所で使われていて、自動車やプリンターといった身近な機械から、ロケット、送電システムといった大規模な対象にまで利用されています。制御なしでは現代の暮らしは崩壊してしまいますね。

 強化学習
    強化学習とは試行錯誤を通じてより良い方法を見つける学習方法のことです。一時期、AlphaGoという囲碁プログラムがプロ棋士を負かしたことが話題になっていました。強化学習はこのプログラムの学習に使用されています。
    これまではゲームに勝つプログラムの作成などで利用されていた強化学習ですが、最近は車の効率的な配車や広告の最適化など、より広い領域での使用に注目が集まっています。

 強化学習の制御工学への応用
 強化学習を制御工学へ用いる、つまり制御器の設計に強化学習を使用することに注目が集まっています。この方法のメリットは、制御対象(機械やロボット等)の数理モデル(運動方程式など、現象を数式で書き表したもの。)が分からなくても使用できるということです。多くの制御機設計法は制御対象の数理モデルを用いるので、これは大きなメリットです。
 しかし、強化学習を制御機設計に用いることには課題が存在します。それは、学習の途中に制御したい対象が摩耗してしまうことです。強化学習は試行錯誤を通じてよい方法を見つけます。これは、学習対象がゲームなどの、コンピュータ上のデータの場合、比較的大きな問題になりません(時間がかかる等のデメリット自体はあり、問題になることはあります)。しかし、実際の機械が学習対象の場合、何回も何回も機械を動かす必要が出てきてしまいます。この試行の中には機械に無茶をさせてしまうことも多いでしょう。「この無茶の回数を減らす=摩耗を減らした学習方法を作ろう」ということが私の研究テーマになっています。

ちなみに、私の所属する研究室では、「生体分子システムを制御しよう」という研究をしている方が多いので、こちらについても少しご紹介します。

生体分子システム
 生体分子システムとは、バクテリアなどの微生物やDNAなどの生体分子を用いて作られた、化学反応で駆動するシステムのことです。このシステムを人工的に設計し、行いたい反応(特定のたんぱく質を合成したい等)を実現する人工遺伝子回路の設計に注目が集まっています。このようなシステムを構築し、発展させることで、がんの治療や分子ロボットの作成に役立てることができるのではないかと期待されています。
 この人工システムを使用するためには、回路内で起こる化学反応を設計し、制御する必要があります。しかし、この分野はまだまだ発展途中の段階であるため、ほしい回路をすぐに作って使用することはできません。そのため、私の所属する研究室では、適切なデバイス作りや数理モデルの構築の、遺伝子回路の解析や設計の研究が行われています。


最後に
 ラーニングサポートには色々な専門の方がいらっしゃいます。皆さん是非に足を運んでみてください!

2022年11月3日木曜日

2022年度秋学期 木曜担当 自己紹介 杉原

はじめまして!今年度秋学期木曜日の前半(12:30~14:00)を担当します応用化学科修士2年の杉原です。

化学B、C、Dや無機化学、マテリアル科学に関する相談を中心に受け付けています。また、学部3年時に交換留学でアメリカのUC Berkeleyに留学していたため、留学に関する相談も受け付けています。

今回は私の自己紹介をさせて頂きます。

プロフィール

・学科:応用化学科

・研究室:藤原忍研究室

・研究内容:色素増感太陽電池の電極開発

・サークル:陸上競技同好会

研究について

私の研究テーマである色素増感太陽電池について簡単に紹介させて頂きます。

太陽電池には既存のもの・新規のものを含めて様々な種類があり、それぞれに実用上の長所と短所があります。例えば、建物の屋根等に設置されているシリコン太陽電池には発電効率が高いという長所がある一方、原材料・製造コストが高いという短所があります。シリコンは太陽電池以外にも様々な半導体製品に使用されるため、シリコン以外の材料を使った太陽電池の研究開発が進められています。

私が研究している色素増感太陽電池(Dye-sensitized solar cells: DSSCs)は、安価なコストと簡便な製造プロセス、毒性元素を使用しない安全性や曲げ伸ばし可能な加工性などを特徴とした環境に優しい太陽電池です。これらの特徴を生かし、パソコンのマウス(株式会社リコー)やヘッドホン(Exeger社)の電源として実用化されています。さらなる実用化への課題として発電効率や耐久性の向上が求められ、私はこれらの性能改善を目標に研究をおこなっています。

DSSCsの主な構成要素は、酸化物半導体、色素、電解液、対極です。高効率な色素の開発やより安全な電解液の開発というように、有機化学や電気化学など様々な専門分野から研究されています。僕の所属する無機構造科学研究室(藤原研究室)では、20年以上にわたって無機化学・固体化学の観点から酸化物半導体(酸化亜鉛など)電極を研究しています。私の研究では、発電効率を向上させるためにはどのような構造の酸化物電極が良いか、その構造を作製するためにはどのような方法・条件でおこなうと良いかを考え実験をしています。試料を作製した後は、電子顕微鏡などを使って解析し、太陽電池を組み立てて発電効率を測定することで、DSSCsの性能改善に取り組んでいます。

サークルについて

研究の少し硬い話が続きましたので、次に私が所属していたサークルについて紹介させて頂きます。

学部生の時に陸上競技同好会(陸同、りくどう)に所属していました。陸同では、記録更新を目標に陸上競技にがっつり取り組む人や、健康のためにジョギングする人など、様々な目的を持った人が日吉陸上競技場やその周辺で活動をしています。例えば、ジョギングパートではよく武蔵小杉までジョギングしているため、日吉周辺でジョギングしている集団を見かけたら、それは陸同のメンバーかもしれません。ちなみに私は長距離パートに所属し、1500m、5000mに取り組んでいました。

最後に陸同で個人的に一番好きなイベントである「マラソン合宿」について紹介させて頂きます。陸同ではマラソン合宿と題して、毎年11月に行われる富士山マラソンに参加しています。富士山マラソンと聞くと大変そうと思うかもしれませんが、実際に富士山を走るのではなく、富士山を見ながら河口湖湖畔を走ります。コースは42.195kmのフルマラソンですが、長距離パートやジョギングパートの人が練習の成果を発揮するのみでなく、普段は100mを専門としている人も参加し、みんなで自己ベスト更新や完走を目指すのが醍醐味です。完走後に振る舞われる豚汁は格別においしいです。マラソン合宿にはOB、OGの方々が参加され、働きながら日々ランニングをして毎年マラソンを完走している姿に刺激を受けました。私も社会人になってからまた参加したいなと思っています。

長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

杉原


2022年11月1日火曜日

はじめての国際学会 木村

*はじめに*

私は修士2年の9月に初めて国際学会に参加しました。
コロナ感染拡大の影響により、それまでの学会経験は修士1年のときに参加したオンラインの国内学会のみでした。

研究室活動も長い期間対面での活動がなかったため、初の対面・英語発表で緊張しまくりでした。
学会を通じて感じたことや流れを記します。

*国際学会概要*

私が参加した国際学会は
The 9th IFAC Symposium on Mechatronic Systems / 
The 16th International Conference on Motion and Vibration Control
です。IFACとMoViCの合併学会でThe University of California, Los Angele (UCLA)校で開催されました。

教授の参加はなく、初の国際学会は研究室の同期と二人のみでの参加となりました。
学会中は3つのセッションが別室で並行開催され、会場は一部屋40人ほど座れる教室のような感じでした。

私の発表タイトルは『Decision-Making Based On Reinforcement Learning And Model Predictive Control Considering Space Generation For Highway On-Ramp Merging』です。渋滞時の高速道路における合流行動に着目した研究内容を発表しました。
発表時間はQ&Aを含めて18分間でした。

*学会参加までの流れ*

3月 論文投稿

最初に論文を投稿します。私が投稿したのはMoViCでフルペーパー2段組み7枚です。
学会の規定上7枚以上になる場合は追加料金かかるため注意が必要です。

私は3月の提出に向けて昨年11月ごろにはMoViCに出したいと研究室の髙橋教授に相談していました。
テーマの絞り込みや論文のまとめ方、掲載する結果の内容の検討を重ね、日本語版の原稿執筆から始めました。教授に確認してもらった後に英語版原稿執筆、英語校正を経て提出を行いました。

慣れない英語での執筆は予想以上に時間がかかり、英語校正された後は赤線がみっちりと。頑張って直しました。

5月 採択通知

投稿した論文で学会に参加できるかの連絡が届きます。届いたメールには見事「Accept」の文字が!受理された場合には同時に査読者からの査読内容が届きます。その内容を見て最終投稿までに論文の加筆・修正を行います。
私の場合はほとんど直すことがなくラッキーでした。

7月 早期登録

最終版の原稿を書き終えた後は学会への参加登録、最終版論文提出を行います。

が、参加登録の選択肢が多すぎてどれに登録すればいいかわからない…
Student Registration、Early Registration、Full Registrationなどたくさんのカテゴリーがありました。まあStudentでしょうと思い、Student Registrationで登録。

見事に違いました。Student Registrationでは論文の投稿ができなかったのです。
学会組織委員会に慌てて連絡し、登録内容をFull Registrationへと変更してもらいました。

無事、最終版論文も提出完了です。
登録カテゴリーによって論文提出可能かどうか、バンケット(懇親会のようなもの)費が含まれているかも異なるため、参加形式によって入念に確認する必要があります。

私はFull Registrationにバンケット費が含まれていることに気付かず、二重でバンケット費を払っていることに後から気づきました…

8月 学会準備

登録を終えた後は学会直前まで運営側からは特に連絡はないので学会参加に向けて準備を進めます。行った準備はざっくりと以下の通り。
  • 航空券予約
  • ホテル予約
  • コロナ保険加入
  • ESTA申請
航空機に関しては時間帯と値段をいくつか用意して先生に相談して決めました。相談の結果、学会の前日に会場入りして、学会の一日後に帰国する便をとりました。

ホテルは上記日程を埋めるため、4泊分が必要です。初日から学会終了日前日までは学会側が安く用意してくれていたホテルを取りました。学会終了日に泊まるホテルは自分たちで探して予約しました。

保険に関してはコロナにかかった際に現地での治療に莫大なお金がかかることを危惧して加入しました。学校側からも国際学会に参加する際には必ず加入するようにと注意されていました。

ESTAとはアメリカに入国する際に必要な申請です。ビザの代わりになるそう。

コロナ関連も含めていろいろと準備が必要だったので事前に念入りに確認をしておくべきです。時期、国によっても必要書類・申請等は違うため、国の各省のサイトを確認する必要があります。

8,9月 発表準備

8月下旬に運営より学会のスケジュールが送られてきました。そこで私が発表するセッションが判明し、同時に他発表者がどのような発表内容なのか・専門分野は何かを確認しました。どんな方が聴いているか把握し、その方たちに理解してもらう資料を作成する必要があるため、同セッションのメンバー把握は重要だと思います。

発表資料を作成した後は、英語での発表練習を行いました。英語は得意な方ではなかったため、アクセントの練習や質問対策は念入りに練習しました。
18分の発表のうち、5分程度は質疑応答の時間を取りたかったため、13分で発表を終えられるようスライドの枚数は13枚程度、バックアップスライドは10枚程度用意していました。質問対策はもう数え切れないほど行いました。

9月 出発

初日

初日は移動日です。家から成田空港まで向かい、11時間かけてロサンゼルス空港へ。後日学会費用を申請するために領収書をもらうのを忘れてはいけません。航空券の半券も必須。

9月6日の14時に出発して6日の9時に着くというなんとも不思議な体験をしました。その日は学会会場へ向かい、ホテルへチェックイン。夕飯は学会が用意してくれたチケットを使って、食堂のような場所で食べました。

二日目

いよいよ学会開始。朝の8時から始まります。最初に1時間著名な方のプレゼンを聞き、その後各セッションに移動します。流暢にこなされる発表・質疑応答を聞き、ますます緊張しました。夜は翌日の発表に向けて最終練習をしました。

三日目

朝一で私の発表だったため緊張で全然寝れませんでした。

しかしいざ発表が始まると全く緊張せず、いつもの自分らしい発表ができた気がします。質問者は全部で3名、すべて聴講者から頂けたので個人的には嬉しかったです。発表によっては質問がなく座長が一つだけ質問して終わるようなものもあったので。

質問内容はすべて質問対策に含まれているものでした。なので比較的すらすらと答えられたと思います。改めて事前準備の大切さを実感しました。

発表の際にはタイムキーパーのような人はおらず、大体の時間で区切られていました。なので日本の学会ほど時間にシビアになる必要はないかと思います。

四日目

学会最終日、既に発表を終えていたため気軽な気持ちで臨むことができました。

学会後

学会後は奨学金の申請準備をしました。領収書や成果報告書の準備をする必要があります。
僕が申請したKLL奨学金は学会後一週間以内という期限があったため、なるべく早く準備し、提出を行いました。


*学会を通じて*

まず第一に感じたことは、世界の人が自分の研究に興味を持ってくれることは嬉しいということです。発表終わりには声をかけてくださる人もいて名刺交換までしました。
国際学会という数少ない機会を活かすために積極的な交流ができてよかったと思います。

*最後に*

この記事を読んでいる方の中には私と同様に国際学会に不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。個人的には何とかなる精神が重要だと思います。
英語も、伝わらなかったらどうしようというより、なんで私の英語が伝わらないんだというメンタルを作っていました。これから国際学会に参加される方、頑張って下さい。

さいごに、今回の国際学会への参加にかかった費用は40万円程でした。私は奨学金と研究室の補助を利用させてもらったので大体の金額は返ってきますが、最初は自分で建て替える必要があるため大変でした。
学会の開催場所にもよりますが、余裕がない方は事前に教授と相談されるのが良いと思います…
KLL奨学金に関してですが、コロナ禍ということもあり海外保険代も支給対象でした。そのほか、参加費に含まれるバンケット費、PCR検査費、ESTA申請代も支給対象です。タイミングによってこれは異なる可能性があると思うので、参考程度にしてください。

木村

2022年10月27日木曜日

機械工学科のあれこれ(木曜担当 相良)

 こんにちは、ラーニングサポート木曜担当の相良です。

秋学期が始まり、少しずつ涼しい日も増えて、いよいよ今年度も折り返しだな、と感じるようになりました。学科説明会や研究室見学の機会が増えて、進路の選択に悩む時期ではないでしょうか。

今回は修士課程も含めて、わたしの所属している機械工学科の雰囲気や必修科目、研究室選びについてお話します。学科選択など進路選択の参考になれば幸いです。

機械工学科の雰囲気

 学科の選択に迷っていたB1の私は「機械工学科」と聞いて、機械油にまみれて作業をする場面や、スパナをもってボルトを締める場面をイメージして、ハードウェアをひたすら手作業で加工して実験をするような泥臭い学科なのかな、と考えていました。
しかし実際には、コンピュータシミュレーションを用いて設計を行ったり、時には機械学習を組み合わせて機械の新しい活用方法を考えたりと、手を汚して作業するだけではなくソフトウェアの分野に触れる場面も多い学科です。
 車や航空機、電車、バイクが大好きだから機械工学科を選びました!という人も勿論たくさんいますが、私のように乗り物に興味がない人も意外といるな、というのが印象です。力学が好き、ものづくりが好き、ピタゴラスイッチのようなからくりが好き、機械が好き、そんな人におすすめな学科です。

 詳細は後述しますが、精密機器のように小さいものから、工場プラントのように大きいものまで、全てのものづくりに通じる学問を学ぶことができるのが最大の魅力で、学問自体の幅が広いため、興味のあることに取り組みやすい学科だとおもいます。

 男女比はおよそ9:1のため、機械科女子は珍しがられることも多いですが、その分学科内で仲良くなりやすいように感じます。また、就職活動などでは、「機械科珍しいね!ものづくりが好きなの?」というように、面接官に興味を持ってもらえることも多かったです。

機械工学科で学ぶこと

 機械工学とは、機械やその部品の設計、材料の加工、製作から機械の使用方法、制御までの全ての項目を対象とする学問です。
機械工学科では、新しい機械を創造するために必要不可欠な四力(機械力学・材料力学・流体力学・熱力学)を必修科目として様々な分野について学びます。

いくつか特徴的な科目を挙げたいと思います。
・図形情報処理(B2・必修)
    CAD(コンピュータ支援設計)を用いて、立体図形のスケッチや製図の基本を学びます。自分が脳内で思い描く形状をコンピュータ上で再現し、図面に書き起こすことができるようになるのは、機械工学科の強みの一つだと思います。

・機械工学創造演習(B2・必修)
 自ら設定した研究テーマについて、秋学期をまるまる使って取り組み、学期末にはポスター発表を行うという少しハードな授業です。しかし、これからより専門性を深めていこう、という学部2年の時期に行う自主的な研究活動は、自分の興味について改めて向き合ういい機会になりました。
 テーマは本当に自由に設定することができたので、私は自分のオーケストラという趣味と絡めて、「折り畳み式の譜面台を最小にするための新しい折り畳み機構の提案」について取り組みました。実際に自分で設計した機構をつくる場面などもあり、新しい機構を実現することの難しさとものづくりの楽しさを感じた授業でした。

・機械工学ものづくりプロジェクト(B3・選択)
 企業の方に協力していただき、実際の製品改良事例について、グループ実習形式で疑似体験しながら学ぶ授業です。私のグループでは、トラックの導風板(運転席上部にある三角のパーツ)の形状について、トラックが受ける抵抗がより小さくなるように改善案の提案を行いました。自分たちの提案に対して企業の方から直接フィードバックをもらう機会は貴重であり、実際のものづくりの場面で発生する制約など机上の学びでは得られない学びを得ることができた授業でした。

このように、機能を満たすための機械を設計し、材料を選択、加工法を考えながら、ものとして実現させるまでの一連の流れを、講義形式だけでなく手を動かしながら学ぶことができるのが特徴です!

機械工学科の研究室

 機械工学科では多くの研究室に長時間のコアタイムが存在しないため、自分が興味を持って自主的に取り組むことのできる研究テーマ選び、ひいては研究室選びがより重要になってきます。 
 研究室選びの一つの軸として、実際にものづくり(もしくは実験)を行いたいかコンピュータ上でシミュレーションや機械学習を行いたいか、が挙げられると思います。他の学科と同様、B3の夏休みから秋学期ごろから研究室見学を行い、10月末頃に研究室進路希望を出すことになるので、B2やB3のときに受講した科目を振り返りながら、自分が手を動かしたいのか、それともシミュレーションを行いたいのかを考えておくと研究室が選びやすいと思います。
 また、別の軸としては、扱うもののスケールの大きさが挙げられます。たとえば、流体力学を中心に飛行機やロケットに関する研究を行う研究室もあれば、細胞やマイクロチップを研究対象とする研究室もあります。自分の研究がどのような場面で役立つのかということにも通ずる内容だと思うので、一度自分の興味対象についてスケールという観点から考えてみるのもいいかもしれません。
 

今回の内容は以上です。少しでも機械工学科について興味を持って頂けたら幸いです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

相良


2022年10月13日木曜日

留学について (火曜担当神部)

こんにちは、火曜担当の神部です。

最近、留学に興味を持つ学部生が増えたように感じます。

私もダブルディグリープログラムのフランス留学について聞かれることが増えたので、それについて今日は話します。

まずダブルディグリープログラムは、簡潔にいうと慶應の学部~修士課程の途中で留学することで、慶應の学位の代わりに留学先の学位と慶應の修士を取得できる留学プログラムです。

学部でのダブルディグリープログラムはフランスのEcole Centrale系列のグランゼコール(日本の大学にあたる)と提携しており、慶應の理工学部に2年間通い、次にフランスのグランゼコールに2年間留学、慶應での修士課程2年間を経た、計6年半(6年間+大学開始時期のずれ)のプログラムとなっています。

私はEcole Centrale de Lyonというフランスのリヨンにある大学で2年間勉強しましたが、フランス留学での特に良かった点と難しかった点を紹介しようと思います。

良い点は、主に2つあります。一つ目は実践的な授業が多く、日本とは違った教育プログラムになっているという点です。例えば、1年目はブルーカラーのインターンシップ、2年目はエンジニア系のインターンシップが必修科目となっていたり、どの授業も5人くらいのグループワークでレポート・プレゼンがあります。バックグラウンドの全く違う学生・社員の方々と接しながら、こういった多様な経験を積めるのは自身の成長につながったと思います。

2つ目は、フランス語がかなり上達する(せざるを得ない)という点です。私自身、これは帰国後の就活のときにプラスになったと思います。

難しい点としては、留学先大学の卒業要件を満たす必要がある点です。自分の専門外の必修授業も多くある中、フランス語で単位を取るというのは想像以上に大変でした(コロナの影響でより大変でした)。粘り強く授業についていき、わからない点はすぐ聞くという積極性が重要だと感じました。

この他にも留学してよかったこと・大変だったこと等たくさんあるので、興味のある方はぜひ相談に来てください。また、フランス政府奨学金などの奨学金制度もあるので、フランスに留学したい方は調べてみるとよいと思います。


2022年7月27日水曜日

研究室選びについて(2つの研究室に所属経験あり) 瀧田

 ~2つの研究室に所属した私から見た「研究室選び 1」~ 

こんにちは。 火曜担当の瀧田です。

前回に引き続き、誰もが悩むであろう”研究室選び”についてお話しします。

というのも、私自身学部と修士で分野が異なる研究室に所属したため、研究室の違いについて実体験に基づいてお話しできると考えているからです。

(どちらも研究室の学科は電気・情報系です)


~それぞれの研究テーマと内容~

・学部:テーマ「太陽光発電の電力予測における信頼区間推定」

   目的:電力量の予測精度において、幅を持たせて見積もることで、再生可能エネルギーの需給バランスをとること

機械をいじるハード系の実験と、深層学習などを用いて電力量を予測するソフトウェア系の実験どちらもあり

・修士:テーマ「多カーネル適応フィルタに基づく、時系列データの成分分析」

   目的:精度が高く・計算コストが小さいという特徴を持ち、様々な分野で応用可能なデータの分析・予測手法の構築

パソコン1台(とサーバー)さえあれば研究できるソフトウェア系のシミュレーションのみ


どちらも時々刻々と入出力データが変化する"時系列データ"の予測に関する研究ですが、学部では”統計学”からのアプローチ・修士では数学に基づいた”信号処理学”からのアプローチという点で異なります。

このように一見似たようなことを扱っていても、解決するためのツール=手段が異なれば、必要な学問も異なります。



~2つの研究室生活の違い~

次に、研究室の体制や雰囲気の相違点、共通点についてお話しします。

<共通点>

・1人1つのテーマで研究を進める(直属の先輩というものが存在しない)

・上半期、下半期それぞれ2回ずつゼミ全体の前で論文紹介や研究の進捗発表を行う

・コアタイムはなく、自宅で研究可能(ソフトウェア系はPCがあればどこでもシミュレーションできるから)

私の場合は)共同研究ではないため、企業とのミーティングなし

※情報系の場合、データの取得を自分で行うのは難しいケースが多いため、研究方法を検証するためのデータをいただけることは、企業との共同研究におけるメリットです。

しかし、月に1回以上企業向けの進捗報告がある / 企業とのディスカッションの時間を確保しなければならない / 自分の目的だけでなく企業にとって利益となるような目的も加わるため、研究の自由度が下がる可能性がある

など、時間・研究の自由度の面での制約は増えてしまうため、企業との共同研究かどうかも研究室を選ぶ際の軸としておくことをおすすめします。


<相違点>

大学院:国際学会での発表が目標

学部:国内学会での発表が目標

学部の研究内容は国内でも数多くの論文が多いのですが、大学院の研究内容は国内の論文より海外の論文が圧倒的に多いため、上記のような違いがあるのだと思います。

国際学会での発表が対面でできるとなると研究費で海外に行けるので、それも1つのモチベーションになるかもしれませんね。

 

大学院:グループミーティングあり

学部:グループミーティングなし(全体のゼミのみ)

大学院では全体のメンバーをテーマのある程度近い人同士で3グループに分け、毎週(隔週で先生も参加)進捗報告やディスカッションを行う制度が設けられています。

それによって直属のような先輩ができ、疑問点を質問しやすくなる・資料作成の際に添削をお願いしやすくなるためスキルアップに繋がる などの点から、グループ制orグループで1つのテーマを研究している所がおすすめです。

先生は想像していたより結構忙しいので、先輩がいた方が研究がスムーズに進みますよ。

ただ、グループでの進捗報告やその資料作成に時間を取られるため、自分から積極的に先輩と関係を築ける人には直属の先輩がいなくても良いかもしれません。



今回の内容は以上です。

次回は、就職活動を見据えた上での研究室選びや、やりたいことが決まっている人 / やりたいことがまだ見つかっていない人 それぞれに向けて、研究室選び第二弾を投稿予定です。

研究室選びで迷っている方がいらしたら、ぜひラーニングサポートデスクでご相談くださいね。



2022年7月25日月曜日

私のおすすめ本【2022年度金曜担当 見川】

 こんにちは。2022年度ラーニングサポート金曜担当の見川です。

おすすめ本紹介シリーズとして、今回私からは2冊紹介させていただきます。


量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために

まず1冊目は、清水明著の「量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために (新物理学ライブラリ)」(サイエンス社)です。

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990013283910204034

この本は、量子力学の初学者に読んで欲しい本です。

一般的な量子力学の教科書は、黒体放射から始まり二重スリット、粒子と波の二重性と続いています。こうした歴史にそって量子力学を勉強するのは、当時の物理学者のお気持ちなどがわかりやすいですが、量子力学の構造と非常に相性が悪いです。(逆にこういう風な本がお好きな方は朝永振一郎著の量子力学』を読んでみてください。)

従来の教科書にあるような歴史の流れなどは無視して、量子力学を数学の公理から始めるスタイルで書き直したのがこの本です。非常に流れがスッキリしており、キッチリと抑えておかなければならないのが公理としてあるので、学習もしやすくなっています。

数学的な説明が多いところがあるので、数学が苦手な方は別の本がおすすめですが、そうでない方は方はぜひお手に取ってみて下さい。


熱力学の基礎 第2版 I: 熱力学の基本構造

2冊目は、同じく清水明著の「熱力学の基礎 第2版 I: 熱力学の基本構造」(東京大学出版会)です。

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma9926495220504034

これも上記の本と同様に、公理みたいなものから熱力学を構成していく本で、非常にスッキリしています。しかし、エントロピーから始まり、そこから温度を定義するスタイルで初学者には非常にハードルが高いですが、別の本で熱力学を勉強した方ならおすすめの本となってます。

熱力学の本といえば、田崎著のものもありますが、清水熱力学のほうがスッキリしていて、自分には合っていないと感じました。

物情の熱力学も田崎熱力学が教科書として指定されていますが、もしわかりにくいと感じた方は清水熱力学に一度目を通してみてください。


ゲージ理論・一般相対性理論のための 微分幾何入門

3冊目は、佐古彰史著の「ゲージ理論・一般相対性理論のための微分幾何学入門」(森北出版会)です。

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma9926569913004034

みなさん一般相対性理論は聞いたことがあると思いますが、ゲージ理論はしっていますか?

電磁気学を勉強した方なら、ゲージ変換を知っているかと思いますが、このゲージ変換を量子力学などの別の分野に応用したものです。

このゲージ理論と一般相対性理論はともに微分幾何学を基礎としていて、微分幾何学を勉強することで、Maxwell方程式が一つの式にできたり、電磁気学と量子力学が同じ理論であることがわかるようになります。

また現代物理に移ると、すべての力は4つの力に分類でき、そのうち3つがゲージ理論でかかれています。物性理論ですと、20世紀三大物性発見のうちの一つの量子ホール効果やノーベル物理学賞最有力候補のBerry位相なども微分幾何学で理解されます。

非常にわくわくするようなゲージ理論や一般相対性理論などについて初学者がイメージしやすいように書かれた本がこの本です。簡単に書いて分かりやすさを優先したために数学的な厳密さなどが失われて、専門家の間では賛否が分かれていますが、初学者の方はあまり気にならないと思うので一度読んでみてください。気に入らないもしくはより厳密に知りたい方でしたら、より詳しい 中原幹夫著の『理論物理学のための幾何学とトポロジー』をおすすめします。

最後に

いかがでしたでしょうか。私の趣味趣向が色濃く反映した記事となっていますが、少しでも興味をもっていただければ幸いです。

(見川)

おすすめ本 程島 [2022 年 木曜日担当]

 こんにちは, 2022 年度ラーサポ木曜日担当の程島です. 今日はおすすめ本として1冊紹介したいと思います.

今回私がおすすめする本は 赤攝也(2014)「実数論講義」日本評論社 です. 

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990024118370204034

この本では "実数" とタイトルにありますが, 実数でけではなく, 自然数, 整数, 有理数というような "数" に着目して議論が展開されていきます.

私たちが日常生活や実験などでも何気なく使っている整数や小数というものにおいても深く考えてみると次のような疑問点が思い浮かびます.

  • $19980617$ という整数は何を意味しているのか ($1 \times 9 \times 9 \times 8 \times 0 \times 6 \times 1 \times 7$ とは違うのか)?
  • 整数 $n,m$ に対して, $n \leq m$ が成り立つことと, $n \lt m+1$ が成り立つことはなぜ同値なのか?
  • $\dfrac{1}{2}, \dfrac{2}{4}$ は同じ有理数とされているが, どういう観点で "同じ" と見なしているのか?
  • $\sqrt{2}$ は2乗すると $2$ になる正の実数として定義されているが, そんな実数は存在するのだろうか? そして, そのような実数はただ一つに定まるのだろうか?

このような疑問達に対して1ステップ1ステップ丁寧にこの本では議論されています.

また, この本では "数" の話だけではなく, 三角関数や指数関数に関する章もあり, これらに厳密な定義を与え, そこから $$\sin (\alpha+\beta)=\sin \alpha \cos \beta+\cos \alpha \sin \beta, \quad \log_{a} b=\dfrac{\log_{c} b}{\log_{c} a}$$ などの皆さんがよく使っている公式の証明をしていきます.

この 「実数論講義」は中々手を出しにくいような本のように見えますが, 数学3Aを通して「実数とは何なのか?」ということを思い始めた人に是非お勧めしたい本です.

私のおすすめ本【2022年度木曜担当 相良】

こんにちは。2022年度ラーニングサポート木曜担当の相良です。

今回は、私のおすすめ本として、 2冊の本を紹介します!


1冊目は、

『独学プログラマー:Python言語の基本から仕事のやりかたまで』 コーリー・アルソフ 著 清水川貴之 監訳(日経BP)

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990025811290204034

です。

この本は、研究室に配属され、研究のためにプログラミングを学ぶ必要性に迫られた私に研究室の同期がおすすめしてくれた本です。

pythonの基本文法知識から、バージョン管理の基礎、データ構造、アルゴリズムの初歩まで幅広く学習することができるだけでなく、オブジェクト指向の考え方やプログラマーの仕事についてなど、多角的な視点から「プログラミング」、ひいては「プログラマー」について学ぶことができるのが特徴です。

各章にその章の内容を振り返る演習問題がついている部分もおすすめポイントの一つです。

また、このようなプログラミング学習本は、分厚く、硬い文章が一辺倒に続くようなものが多数ですが、この本は比較的薄めで手にとりやすく、学部の必修科目でC言語をかじった程度の私でも理解しやすい語り口で書かれているため、これからプログラミングを学びたい、pythonを身に着けたいという方にお薦めです。

何か一つでもプログラミング言語を扱うことができるようになると、研究でのデータ整理など効率化に必ず役にたつとおもいます。pythonを始めてみたいけれど、何からはじめていいかわからないという方は是非一度読んでみてはいかがでしょうか。


2冊目は、

『製品開発のための統計解析学』松岡由幸編著(共立出版)

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990014861890204034

です。

この本では、統計学を用いた解析手法が、実際の使用例とともにコンパクトにまとめられており、研究活動をはじめたばかりの学部4年生におすすめしたい本です。また、巻末には「統計解析の誤用防止チェックリスト」が掲載されており、私自身、研究室に配属されたばかりの頃は、このチェックリストを見ながら解析を行っていました。

実験はどのように計画したらよいのか、実験結果はどの解析法を用いて、どのように解析すればよいのか、学部のときに座学で学んだ統計解析は何の役に立つのか、このような内容に悩んでいるひとに是非読んでほしい一冊です!

(ちなみに、著者の松岡先生は慶應義塾大学理工学部名誉教授です!)

相良



おすすめ本 吉川 (2022年度春、水曜担当)

こんにちは。春学期水曜担当の吉川です。

今回は僕のおすすめ本を紹介します。

学部2年、3年に進むと、微積分や線形代数が空気のように扱われるようになります。
そして、こうした技術的な部分でつまずいてしまい、講義の本題があまり理解できなかったという経験をした方は一定数いるのではないでしょうか。

少なくとも当時の僕はその一人です。

そこで今回は、学部2年、3年の時の自分が読んでおきたかった微積分、線形代数の本をテーマにおすすめ本を紹介しようと思います。

まず、微積分のおすすめはこの本です:




本書の特徴:

集合論の基礎や $\epsilon$-$\delta$ 論法、実関数の微積分からFourier 級数展開、Banach 空間上の微積分まで解析学の基礎的な内容を幅広く取り扱っています。

本書は次のような人におすすめです:
・学部1, 2年生の内容を復習したい人
・Banach 空間上の微積分の基礎を学びたい人

僕は学部4年の時にこの本を読み、主に Part 4 の Banach 空間(完備ノルム空間のこと、本書では Banach 空間という名前では書かれていない)上の微積分について学びました。

Part 4 では Fréchet 微分(全微分の一般化)、Banach 空間上の逆関数定理、陰関数定理、常微分方程式についてまとめられています。

僕の専門の微分方程式では、これらの内容は基礎知識として扱われ、日常的に使うので、微分方程式に興味のある方は本書を一読しておくことをおすすめします。

注意点:

Euclid 空間に限定した場合の逆関数定理、陰関数定理、常微分方程式については載っていないので、その場合だけを勉強したい方は別の本を参照すると良いでしょう(例えば杉浦光夫 (著)「解析入門Ⅰ、Ⅱ」や垣田高夫、入江昭二 (著)「常微分方程式 (応用解析の基礎)」)。ただし、Euclid 空間に限定した場合も証明はまったく同じです。

また、Fréchet 微分を勉強するにあたって、方向微分の一般化である Gâteaux 微分も勉強した方が良いと思うのですが、本書ではGâteaux 微分については扱われていません。(Gâteaux 微分については適当にネットの pdf を漁って勉強したのでおすすめの本はわからないです。すみません。 )

次に、線形代数のおすすめはこの本です:



本書の特徴:

$\mathbf{R}^N$ や $\mathbf{C}^N$ より一般の (有限次元) ベクトル空間についてすっきりとまとめられています。

本書では、最初から抽象的なベクトル空間の定義を行っており、最短で必要な理論を学ぶことができます。

多くの線形代数の本では、まず $\mathbf{R}^2$ や $\mathbf{R}^3$ について詳しく扱った後、$\mathbf{R}^N$ へと一般化し、最後に一般のベクトル空間の定義を行います。
初学者にとってはこのような順序で学ぶのが自然で理解しやすいと思いますが、一般のベクトル空間について最短で学びたい場合はやや回り道になります。

僕は学部3年で統計やホモロジー、多様体を学んだ時に、線形代数で苦労したので読み始めました。僕が読んだのはおおよそ1章から5章で、一部は飛ばしました。行間が少なく、スムーズに読み進められました。

注意点:

本書は理論として非常にきれいにまとまっているのですが、初学者には抽象的でつかみどころがなく、モチベーションを理解することが難しいです。

ある程度線形代数を学んだ後、応用で躓いた人にはおすすめできますが、完全な初学者がこの本を読む場合は $\mathbf{R}^2$ などから始めている本(例えば斎藤正彦 (著)「線型代数学入門」)と並行して読むと良いと思います。

また、最初から本書の内容をすべて理解しようとするのは避けたほうが良いです。
例えば、この本では $\mathbf{R}$ や $\mathbf{C}$ を一般化した体 $K$ 上でベクトル空間の定義を行っていますが、体を真面目に学んでから読もうとすると p.4 から先に進めません。

体の定義くらいならそれほど時間はかからないかもしれませんが、命題 1.2.12では $\dim_{ \mathbf{Q} } \mathbf{R} = \infty$ を証明するために $\pi$ が超越数であることが用いられています。ここで $\pi$ が超越数であることを証明してから読もうとすると詰みます。

なので、すべて理解しようとするのではなく、難しい部分はある程度流して読むことをおすすめします。

今回おすすめしたい本は以上です。誰かの参考になれば幸いです。それではまた。

(吉川)

私のおすすめ本 火曜担当 大久保

 こんにちは!春学期火曜担当の大久保です!
 今回は僕のおすすめしたい本📚を紹介します。僕がおすすめする本は、プログラミングに関する本です。大学でプログラミング💻に関する授業を皆さん履修すると思いますが、今まで全くプログラミングに触れてこなかったという方々は、なかなか苦労しませんか??僕はかなり苦労しました💦 実を言うと、僕が学部2年生のときは、先生が授業中に教えてくださるコードを写すのに手一杯で、プログラミングの中身なんかほとんど理解できていなかったと思います(笑)
 ですが、研究室に入るとプログラミングを書く必要があることは明らかで、このままではまずいと思いました。そこで、改めてプログラミングを学び直そうと思って手に取ったのが、今回紹介する本です!この本をきっかけに、プログラミングに対する苦手意識がなくなり、今では考えていることを大体コーディングできるようになりました!非常におすすめです😆

松浦健一郎, 司ゆき. わかるPython : 決定版. 東京, SBクリエイティブ, 2018, ISBN9784797395440.


 この本📚の良いところは主に3つあります!
 1つ目は、Pythonを自分のパソコンで使用するための環境構築方法が丁寧に記載されているところです。よくプログラミングは"Hello world!"を表示することが1番難しいと言われます。これは、プログラミングは環境構築で1番つまづきやすいということを意味します。なので、WindowsでもmacOSでも、つまづかないように誰でもPythonの環境構築ができる本書は、とても親切です🙆 僕も一切つまづかずに環境構築を終えることができました~
 2つ目は、読みやすく簡単そうにプログラミングを教えてくれるところです。これも非常に重要です!たまにプログラミングに関する本で、厳かで文字ばかりの本を見かけますよね、、、。ああいう本って本当に難しそうに見えますし、読む気が失せますよね💦 その点こちらの本は、色遣いも良く、非常に読み進めやすくなっています!
 3つ目は、サンプルコードを配布してくれているところです。プログラミングを勉強するときには、自分で手を動かしながら書いた方がもちろん力になります。ですが、一から全部のコードを書くのは骨が折れますよね、、。この本はサンプルコードを配布してくれているので、自分でコードを書く手間は最低限に、でも少しは手を動かしつつ勉強することができます!
 以上の3つの理由から、僕はこの本を選びました!実際にこの本を使って勉強したのは3年生の春休み頃です。1カ月程度で勉強し終えることができたので、皆さんもこの夏休みに取り組んでみてはいかがでしょうか??

私のおすすめ本(村野:2022年度春 火曜担当)

 

こんにちは

2022年度春学期 火曜担当 の 化学科 修士1年 村野 です

担当時間は 12:30 ~ 15:30 です


・学部の化学系科目で分からないことがある

・化学系科目の宿題のヒントがほしい

・実験レポートの書き方で悩んでいる


という方は,ぜひ質問・相談に来てみてください

もちろん,授業以外の学生生活に関することでも大丈夫です


今日は,私のおすすめの参考書 を紹介します



必修科目の参考書(理工学部 1年)

◆ 化学 A(量子化学)

化学 A では 物理化学 の基盤 となる 量子化学 を学びます

量子化学 は 物理化学 の 一分野 として,物理化学の参考書 で解説されているほか,量子化学のみを取り扱った参考書 もあります

量子化学 は それだけで厚い参考書がつくれてしまうぐらい,広くて深い学問領域です

とはいえ,化学 A で扱うのは 物理化学の基盤としての量子化学 なので,まずは 物理化学全般を扱った参考書 で勉強するのがよいと思います 


おすすめ の 参考書

 ● 物理化学:分子論的アプローチ,D. A. McQuarrie & J. D. Simon 著,千原秀昭ら訳(東京化学同人)

⇒ 平易な語り口で親しみやすい一方,内容は充実しています

⇒ 演習問題が多く掲載されていて,学んだ内容をしっかりと確認できます

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma992636342830403

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma9926363428204034

 ● Problems and solutions to accompany McQuarrie and Simon Physical Chemistry: a molecular approach, Heather Cox (University Science Books)

⇒ 演習問題の解き方が丁寧に解説されています

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990014320340204034


◆ 化学 D(有機化学)

化学 D では 有機化学 の基本的な考え方と いくつかの典型的な反応例 を学びます

2年次以降の有機化学で学ぶ 様々な反応パターン を理解するうえで 重要な知識 です

有機化学の授業では, ボルハルト・ショアーの「現代有機化学」が教科書として指定されていることが多いですが,かなり厚い本なので,初めて 有機化学を学ぼう という人には 少しハードルが高いかもしれません

そこで,まずは 有機化学の 基本のき だけを抽出したような 易しい参考書 で勉強してみては いかがでしょうか


おすすめの参考書

Fundamentals of organic chemistry, John McMurry, 7th ed. (Cengage Learning)

⇒ 難しい概念も 平易な絵図で イメージが湧きやすいです

⇒ たくさんの演習問題を解くうちに,いつの間にか 反応例 を覚えてしまいます

⇒ 平易な英語なので,英語で有機化学を勉強したい という方にもおすすめです

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990014320340204034


Study guide and solutions manual, Fundamentals of organic chemistry, John McMurry, 7th ed. (Cengage Learning)

⇒ 演習問題の解き方が丁寧に解説されています

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022035820204034

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990025680850204034


有機化学概説,John McMurry著,伊東椒ら訳(東京化学同人)

⇒ 少し版が古いですが,日本語訳もあります

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990013274210204034


研究室に入る前に読みたい本

◆ 理系英語

研究室に入ると,英語を使って,科学の文章を読んだり書いたりする機会が多くなります

また,英語で 専門的な内容を発表したり,議論したりすることも増えます

そんなとき,日常会話とは異なる 理系特有の 言い回し や 文章構造 にあたふたしないために,理系英語のパターン を知っておきましょう


おすすめの本

理系たまごの英語40日間トレーニングキット,Kit 1 ~ 3(アルク)

⇒ 理系英語 をどう読むべきか,書くべきか が丁寧に解説されています

⇒ 数学,化学,物理学,生物学 の基本的な用語 がまとめられています

⇒ 演習問題を解きながら,40日間で無理なく効率的に学習可能です

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022772310204034

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022772330204034

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022772350204034


理系英語のライティング,野口ジュディーら著(アルク)

⇒ 英語で 専門的な内容を 論理的に伝えるトレーニングができます

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma9926452908704034


以上です

最後まで読んでくださり,ありがとうございます


村野


おすすめの本 神部(2022年度春月曜担当 神部)

こんにちは。ラーニングサポート月曜担当の神部です。

今回は、私のおすすめの本として2冊の本を紹介します。

まず、1冊目は、斎藤 康毅 (2016)『ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装』オライリージャパン社 です。

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990025281120204034

この本は私が研究室に所属するときに先輩に紹介された本で、ディープラーニングの入門者にぴったりな本です。

Pythonの使い方をある程度知っている必要はありますが、ディープラーニングの理論を数式を用いて説明しつつ、実装用のコードも載っており、実際に手を動かしながらディープラーニングを基礎から学べる本です。

ディープラーニングをなんとなく理解したまま学習を進めている方、用語は知っているけど実際の中身は知らない方にお薦めな本です。

2冊目は、安西 祐一郎 (2011)『心と脳――認知科学入門』 岩波新書

です。

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022469610204034

この本も私が研究室に所属するときに紹介された本ですが、人工知能を用いた研究をされたい方にぜひ読んでいただきたい本です。

著者の安西先生は慶應義塾大学の名誉教授で元塾長です。

人工知能と認知科学は繋がっており、人工知能と人との関わり方を考える上で認知科学はとても重要です。この本ではその認知科学の全体像を掴むことができます。

人工知能と聞くと、つい技術的な面や数式へと意識が集中しがちですが、歴史的な側面等も含め俯瞰的に研究を進めるため、これから研究を始めるという方にお薦めの本です。

神部


2022年7月11日月曜日

2022年度 金曜担当 見川 【自己紹介】

初めまして、2022年度ラーニングサポート金曜の担当になりました修士1年の見川です。

今回は自己紹介として自分の研究について簡単に紹介します。


量子力学

私は物理情報工学科で、量子力学の分野、その中でも特に量子センサーについて研究をしています。

量子力学というと、今までの常識から乖離していてとっつきにくい分野ですが、逆にそこが驚きと感動を与えてくれる量子力学のいいところだと思います。

今は量子コンピューターや半導体で社会が賑わっていて、時代が量子人材を求めているといっても過言ではありません。

これを機にぜひ量子力学について勉強してみてはいかがでしょうか。

最近では新しい量子力学の教科書が多数出版されていて、以前より初学者でもわかりやすい新しい教科書が多数出版されています。

おすすめの教科書を挙げておきます。

  • 量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために(清水明 著)
  • 現代の量子力学(J. J. Sakurai & Napolitano 著)
  • 現代量子力学入門(井田大輔 著)
  • 入門 現代の量子力学 量子情報・量子測定を中心として(堀田昌寛 著)
  • 量子力学(朝永振一郎 著)

量子センサ

量子力学は私達が生活しているスケールであるマクロな領域では発現されず、ミクロな領域領域で顕著に表れてくる学問です。
これは量子力学的性質がそれほど壊れやすいということを意味しています。
壊れやすさは外部のノイズとかに敏感に反応する結果であり、この量子力学的性質を用いて、様々な物理量を高感度に測定しようという試みが活発になっています。
私は量子センサを用いて微小な領域の磁場分布を測定することを研究しています。

また、このような応用科学にとどまらずに、量子センサが量子力学的対象として好ましい性質をもつことを利用して、純粋物理などの研究に利用することも考えています。

最後に

物理情報工学科は量子力学から制御、プログラミングなど様々な分野が横断しているます。
これを機に量子力学が専門でない方も、少し興味を持ってくれたのなら幸いです。
また、私からの話が聞きたければ金曜日に理工学メディアセンターで待ってますので、ぜひお越し下さい!



2022年7月7日木曜日

国内学会について 2022年度月曜担当 神部

 こんにちは!2022年度春学期月曜担当の神部です。

先週、人生で初めて国内学会(人工知能学会)に出席したので、今回は学会について執筆します。コロナで対面での学会がここ2年間なくなっていましたが、最近復活してきたようです。国内学会に初めて参加する方は参考にしていただければと思います。

人工知能学会は色々なセッションで構成されており、様々な企業が集まるインタラクティブセッション、研究成果を発表する一般発表セッションやインタラクティブ発表(ポスター発表)などがあります。

私は以下の題目で発表しましたが、一般発表セクションは15分間の発表+5分間の質疑応答でした(この発表時間は厳守で、過ぎてはいけません)。

題目:「会話の引き継ぎ支援に向けた話者交代前後における話題構造分析」
(ロボットと実世界:一般、2022年6月16日15:50-16:10 2022年度 人工知能学会全国大会(第36回))

企業、大学の先生方、学生と様々な方の前で発表するのは緊張しましたが、最先端の研究を見ることができるのはやはり大変刺激になります。

さて、初めて学会発表することになったときに一番気になるのは服装です。これは学会によって違いますが、ほとんどの学会ではスーツが無難です。ちなみに、人工知能学会はジーンズ+スニーカーでも、逆にスーツでも特に問題ありませんでした。

また、学会に参加するとき、ぜひ企業が集まるインタラクティブセッションも行ってみてください。ぶらぶら眺めながら歩いていると、企業の方が最先端の製品について説明してくださいます。ここで重要なのは名刺を作っていくことです。名刺交換をしたり、話が盛り上がるとノベルティ(モバイルバッテリーやノートなど)をくださったりします。

国際学会もハイブリッド形式で対面でも出席できるところが増えてきたみたいです。学会にオンラインでしか参加したことがなく、対面で参加してみたいという方は今年こそ対面で参加できそうです。

今回は以上です。参考になれば幸いです。



2022年6月30日木曜日

2022 年度 木曜担当 程島 自己紹介

 こんにちは. 2022年度ラーニングサポート木曜日担当の修士2年の程島 [ホドシマ] です. 1年間よろしくお願いします.

今回は初回なので, 自己紹介をしたいと思います.

プロフィール

  • 学年: 修士2年生
  • 学科: 数理科学科
  • 所属: 勝良研究室
  • 趣味
    • 競技プログラミング: 現在, AtCoder (Algorithm部門) では黄色レートになっています (2022年06月09日現在). この黄色レートというのは上位3%に入ります. ですが, まだまだ勉強中です.
    • 坂道シリーズの応援 (特に, 櫻坂46). 最近だと, 卒業コンサートの2日目に行きました.

研究について

私が所属している研究室では主に $C^*$ 環というものについて研究しています.
$C^*$ とは, 行列の概念を拡張させたものになります.
行列には次のような演算が備わっています.
  • 行列同士の和,差 $$\begin{pmatrix} a_{11} & \cdots & a_{1n} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{m1} & \cdots & a_{mn} \end{pmatrix} \pm \begin{pmatrix} b_{11} & \cdots & b_{1n} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ b_{m1} & \cdots & b_{mn} \end{pmatrix}:= \begin{pmatrix} a_{11} \pm b_{11} & \cdots & a_{1n} \pm b_{1n} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{m1} \pm b_{m1} & \cdots & a_{mn} \pm b_{mn} \end{pmatrix}$$
  • 行列同士のスカラー倍 $$\lambda \begin{pmatrix} a_{11} & \cdots & a_{1n} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{m1} & \cdots & a_{mn} \end{pmatrix}:= \begin{pmatrix} \lambda a_{11} & \cdots & \lambda a_{1n} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ \lambda a_{m1} & \cdots & \lambda a_{mn} \end{pmatrix}$$
  • 行列同士の積 $$\begin{pmatrix} a_{11} & \cdots & a_{1n} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{m1} & \cdots & a_{mn} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} b_{11} & \cdots & b_{1p} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ b_{n1} & \cdots & b_{np} \end{pmatrix}:= \begin{pmatrix} \sum_{k=1}^n a_{1k}b_{k1} & \cdots & \sum_{k=1}^n a_{1k}b_{kp} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ \sum_{k=1}^p a_{nk}b_{kp} & \cdots & \sum_{k=1}^n a_{nk}b_{kp} \end{pmatrix}$$
  • 行列の共役転置 $$\lambda \begin{pmatrix} a_{11} & \cdots & a_{1n} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{m1} & \cdots & a_{mn} \end{pmatrix}^*:= \begin{pmatrix} \overline{a_{11}} & \cdots & \overline{a_{m1}} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ \overline{a_{1n}} & \cdots & \overline{a_{nm}} \end{pmatrix}$$
このような演算たちから次のような概念などが登場します.
  • 固有値
  • 正則行列, 逆行列
  • 正規行列, 射影行列
  • トレース
これらの概念をもっと広い世界から見てみようというのが $C^*$ 環の動機になります.

最後に

理工学のどの分野においても数学の知識はどこかしらで必要不可欠になっていきます. もしわからないことが出てきたときには是非ラーニングサポートに相談してみてください.

2022年6月23日木曜日

自己紹介  村野(2022年度春, 火曜担当)

はじめまして

2022年度春学期 火曜担当 の 化学科 修士1年 村野 です

担当時間は 12:30 ~ 15:30 です


・学部の化学系科目で分からないことがある

・化学系科目の宿題のヒントがほしい

・実験レポートの書き方で悩んでいる


という方は,ぜひ質問・相談に来てみてください

もちろん,授業以外の学生生活に関することでも大丈夫です


今日は,簡単な自己紹介をします


研究内容

わたしは 化学科 の 近藤寛 研究室に所属しています

近藤寛 研究室 は 表面化学 をテーマにした研究室です(表面化学 については,また別の機会にお話しします)

そこで 触媒の反応メカニズム を研究しています

触媒とは 直接反応には関与しないけれども,反応が進行する際に必要なエネルギーを小さくしてくれる物質 のことです

触媒 にも色々な種類がありますが,わたしが研究しているのは,エチレンと酸素からエチレンオキシドを生成する 銀触媒 です

エチレンオキシドは プラスチック や 不凍液,洗剤など,わたしたちの身の回りの多くの製品をつくるのに必要な化学物質です

このことから,この反応系は 産業的に 重要な役割を担っており,そのメカニズムを解明することにより,より高性能な触媒を設計するヒントが得られる と考えています


ティーチングアシスタント

また,塾内のアルバイトとして,メディアセンターのラーニングサポートのほかに,近藤先生が担当する 学部1年生の必修科目 化学A の ティーチングアシスタント をしています

あまり授業に顔を出す機会はありませんが,化学A の質問には 積極的に答えたいし,一緒に考えたい と思っています

化学A に関することで,質問や相談があるという人は,ぜひ ラーニングサポート を訪れてみてください


趣味

最後になりましたが,わたしの趣味である 読書 について少し,お話しさせてください

主に読むのは 長編小説 で,最近では カズオ・イシグロ の「わたしを離さないで」や 村上龍 の「歌うクジラ」を読みました

少し古いものだと,ジョージ・オーウェル の「1984」や ラドヤード・キプリング の「キム」なども 面白かったです

どれも ストーリー,語り口ともに魅力的ですが,やはり鋭い社会風刺には目を見張ります

世の中には 山ほどの小説 があるので,楽しみが尽きませんね


以上です

最後まで読んでくださり,ありがとうございます


村野

2022年6月20日月曜日

2022年度 木曜担当 相良 【自己紹介】

こんにちは! 2022年度ラーニングサポート木曜担当 修士2年の相良桃子です🏃
1回目の執筆なので、自己紹介をさせていただこうとおもいます。

プロフィール

*学年         :修士2年
*学科         :機械工学科
*研究室      :竹村研究室
*研究テーマ:振動センサで取得した振動情報から触感を推定する機械学習モデルの構築
*課外活動   :オーケストラ、ヴィオラの演奏

研究内容について

コロナウイルスの流行によって習慣化したマスク、みなさんは購入するときにどのような点を気にするでしょうか。機能性はもちろんのこと、色や形などデザイン性も重視されるかと思いますが、「肌触りの良さ」も重要な項目の一つだとおもいます。
このように「触感」というのは、製品の重要な付加価値とされる一方で、定量的な評価方法が確立されていないことが課題となっています。

竹村研「触覚班」では、振動センサで対象物の表面をなぞった際の振動情報を取得して、「さらさら」や「つるつる」といった触感評価点の定量的評価法を検討したり、超音波振動子を用いて、実際には存在しない触感を再現するデバイスを製作したりしています。

私はその中でも、人は対象物の触感を確かめる際に指を往復させる、という点に注目して、振動情報の時間変化に関する情報から触感を推定する機械学習モデルの構築に取り組んでいます。
センサを設計したり、被験者を集めてサンプルの触感を評価してもらう実験を行ったり、取得した振動情報を周波数解析にかけたり、機械学習のモデルを構築したり、、
「機械工学科」ですが、メカ設計に限らず、プログラミングも使いこなしながら研究活動を進めています。

竹村研究室には、私が所属する「触覚班」以外にも「細胞班」と「ソフトロボット班」があり、超音波振動を用いて細胞培養の課題を解決しよう!と取り組んでいるメンバーや、ヒトと調和性の高い柔らかいロボットの設計に取り組んでいるメンバーがいます。
先輩からの引継ぎテーマもありますが、基本的には好きなテーマを選択し、一人ひとり違うテーマで研究をおこなっているため、自分とは全く異なる分野の研究の話を身近に聞くことができるのが私の研究室の魅力の一つです。

課外活動について

学部生の4年間はワグネル・ソサィエティー・オーケストラに所属していました。このブログを読んでくださっている方が、興味を持ってワグネルの演奏会に足を運んでくれることを願って、ここでは少しだけ紹介させていただきます。

ワグネルは、1901年に創立された日本最古のアマチュア学生音楽団体です。年3回の定期演奏会にむけて、週3回活動をおこなっています。もう少しわかりやすく、ワグネルのイメージを持ってもらうとすると、入学式の際に前方で演奏していたオーケストラ、といえばよいでしょうか。

クラシック音楽、というと、眠たくなる音楽・お堅い音楽、などのイメージを持たれがちですが、今流行っているポップスの原点にあたる音楽で、知れば知るほどのめりこんでいく奥深い音楽です。(多くの場合、歌詞がないので研究や課題など作業用bgmとして最適、という利点も付け加えておきます)是非、先入観にとらわれず、一度聴いてみてはいかがでしょうか。

さいごに

2022年度ラーニングサポートスタッフの中で唯一の機械工学科出身なので、機械工学科のことでなにかわからないことがありましたら、デスクにてお気軽にご相談ください!
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

相良




2022年6月9日木曜日

就職活動について 大久保(2022年度春, 火曜担当)

こんにちは。春学期火曜担当の大久保です。
今回は、就職活動について執筆します。学部3年生の方や修士1年生の方は就職活動を始める時期なのではないでしょうか?就職活動ではどんな対策をすればいいのか、インターンに行く必要があるのかなど、気になることが多いと思うので、就職活動の流れについて紹介できればと思います。

就職活動の流れ

就職活動は、以下のようなスケジュールが主流です。
・夏インターン(6~9月)
・秋インターン(10, 11月)
・冬インターン(12, 1月)
・早期選考(10~4月)
・本選考(2~6月)
の流れで進みます。
今回は夏インターンの概要について紹介しようと思います。

夏インターンの概要

多くの人が最初に行う就職活動が夏インターンだと思います。エントリーシート (ES) の提出が5, 6月ごろから始まり、面接やグループディスカッションが6, 7月ごろ、実際にインターンに参加するのが7月下旬から9月といった流れです。
この時期に多くの就活生は「どれくらい出したらいいの?」「どれくらい受かるの?」「どんな企業に出せばいいの?」といった悩みを抱えるでしょう。僕もそうでした。ですが、この時期にこういった悩みを解消しておけば、後々の就職活動が多少なりとも楽になると思います。なので、しっかりと目的意識をもってインターンに応募することが必要です。

夏インターンのゴール

去年の就職活動を経て、僕が設定した方がいいと思う夏インターンのゴールは2つあります。
1つ目は、「自分の志望業界・志望職種を見つけること」です。理系学生はテクノロジーを活用した業界・職種に興味があることが多いと思いますが、理系らしい仕事といっても、意外と幅広いです。SIer, IT系、メーカ、コンサル、シンクタンク etc. 一口に理系職といっても、仕事内容は大きく変わってきます。自分の志望する業界を知ることは夏インターンの1つのゴールと言えるでしょう。
2つ目は、「各種選考対策の基盤をつくること」です。就職活動には、ES、Webテスト、グループディスカッション、面接といった選考があります。本選考でぶっつけ本番、、なんてことにならないように、夏の時期からしっかり対策をしておきましょう。この時期に基盤をつくっておけば、秋・冬インターンや本選考を経て、どんどん精度の高い対策を行えるようになるでしょう。(受験みたいですね)

最後に

さて、就職活動・夏インターンについてイメージを掴んで頂けたでしょうか。不安は多いと思いますが、我武者羅に応募するのではなく、上述したように、しっかりと目的意識をもって取り組むと、きっと有意義な就職活動になると思います!応援してます!
機会があれば、秋・冬インターンや本選考についても投稿しようと思います~

2022年6月8日水曜日

2022年度 月曜担当 瀧田【自己紹介】

こんにちは。初めまして。

月曜14:00~15:30担当の瀧田です。今回は1回目の執筆ということで、自己紹介をさせていただこうと思います。


~プロフィール~

・学年:M2

・学科:電気情報工学科

・研究室:湯川研究室

・研究内容:機械学習におけるアルゴリズム構築とその数理最適化

情報系と見せかけたゴリゴリの数学のようです(研究室に入ってから受けた講義が、実は数学科が2年かけて勉強する内容だったことを後々知りました…)

・趣味:中学の部活から続けているテニス(最近は体力的にきつくてヨガに通い始めました)

    カフェ巡り(コーヒーが好きで、カフェでアルバイトをしていたこともありました)

最近はお家で過ごす時間が増えたことをきっかけに、カフェ巡りの代わりに美味しい紅茶やハーブティーを入れて楽しんでます。


~研究室について~

次回は私の研究室選びの軸や経緯についてお話したいと思うのですが、その前に今回は研究内容について軽く触れておきますね。


まず、研究室では一人一人違うテーマで研究を進めています。情報系の研究室は基本一人で研究することが多いですよね。

メンバーに共通するキーワードは"(凸)最適化" "機械学習(×深層学習)" などですね。機械学習において、数学的観点からみてどのように解を求めていくべきかを考える=最適化する。

私の所属する研究室では最適化する際、"スパース性"や"外れ値に対してロバストか(頑健性があるか)"といったことを考慮している方が多いです。

スパース性とは、簡単に言うとほとんどの信号が0でたまに1があるような性質です。ほとんど0ということは必要な情報だけ少数をとっておきその他は無視することで、効率良く計算したり情報を保持しておくことが可能になる というとイメージしやすいでしょうか。

外れ値はノイズとは言えないほど、その現象を表す関数から大幅に外れた値のことだと認識してもらえれば問題ないです。外れ値に引っ張られない関数をいかに作るかというのが、精度に大きく影響してきますが、これを考慮するのはとても難しい問題のようです。


ざっとまとめると、 "工学的な視点×数学的な視点" で研究を進めており、電気系統の学科では珍しく 数学の理論も突き詰められることが当研究室の魅力の1つです。


数多くの研究室を訪問することは少し腰が重い方もいらっしゃるかもしれませんが、一生に1度(or2度?)の研究室選びの際にはぜひ色々な研究室のお話を幅広く聞いた上で選んでいただくことをおすすめします。

似たようなことをやっているように見えても、先生の方針が違っていて研究の進め方も違うことがありますよ。

(基礎固め→応用に活かす or 応用をかっちり決める→手法を模索 …)


もちろん、研究室選びでわからないことや迷っていることがありましたら、いつでもラーニングサポートのデスクにてお気軽にご相談ください!





2022年6月6日月曜日

2022年度 月曜担当 神部 自己紹介

こんにちは!2022年度ラーニングサポート月曜担当修士1年の神部です。

今日は軽く私の研究を紹介をしたいと思います。

研究内容

私の専攻は情報工学で、ヒューマンエージェントインタラクション研究室に所属しています。
ヒューマンエージェントインタラクション(よくHAIと略されます)は人間とエージェント(ロボット)のインタラクションに関する研究です。

最近、ロボット店員が接客するカフェが話題になっていますが、あのロボットは全自動ではなく、遠隔操作ロボットです。つまり、人(オペレーター)がリモートでロボットの言動を操作しています。しかし、同一の人が常にロボットを休みなく操作できるわけではありません。途中で交代する必要があります。問題は、ロボットが人と対話しているときに交代した場合です。ロボットの対話者は操作者が見えないので、会話の文脈が交代後もうまく引き継がれないと違和感・不快感を抱いてしまいます。

そこで、私はロボットと人の対話場面において、オペレーターが途中で入れ替わった場合、どう会話を引き継ぐかという研究をしています。
現段階の技術では難しい部分もあり、今は試行錯誤しながら研究を頑張っているところです!

さいごに

いざ研究を始めてみると、何から始めてよいのかわからず戸惑うこともあると思います。私も最初はわからず、研究室の先輩方に教えていただきながら手探りで始めていました。しかし、試行錯誤で進める上で新しい発見や気づきがあり、半年経った今では楽しみながら研究を行っています。

これから研究室に所属するという方は、先輩方の研究内容等を聞きながら自分の興味のあるテーマを探してみると、より具体的に自分の研究生活をイメージできるかもしれません。

2022年5月10日火曜日

2022年度 火曜担当 自己紹介 大久保


こんにちは!2022年度ラーニングサポート火曜担当 修士2年の大久保拓真です。
今回は、僕の自己紹介を簡単にさせて頂こうと思います~💪

プロフィール

  • 学科  :システムデザイン工学科
  • 研究室 :髙橋正樹 研究室
  • 研究内容:AI物流ロボット
  • 課外活動:昨年2月~11月にかけて、チームでゼロから自律走行ロボットを開発する   
         CanSat活動に参加しました。
  • 趣味  :歌うことが好きで、学部時代に2年間ボイトレに通っていました。  
         小学校から高校まで10年間野球を続けていて、スポーツ全般も好きです!

研究についてー組合せ最適化ー

僕が行っているAI物流ロボットの研究に関して、紹介させて頂きます。
僕の研究では、工場内におけるロボットの荷物の運搬をより効率的にすることを目的にしています。というのも現在、インダストリー4.0という概念が登場し、工場内の物流活動の効率性を高めることに対する需要が高まっているからです。

そこで僕は、ロボットによる荷物の運搬を「組合せ最適化問題」に落とし込み、ロボットに移動コストを抑えた効率的な運搬を行わせる手法を提案しています。組合せ最適化とは、様々な制約の下で多くの選択肢の中から、ある指標(価値)を最も良くする変数の値(組合せ)を求めることです。僕の研究テーマだけでなく、施設配置問題やスケジューリング問題など、様々な実社会の問題を、組合せ最適化問題に落とし込んで解決することができます。皆さんも社会課題解決などに興味が湧いたら、組合せ最適化というワードを思い出してみてください~!

課外活動について

CanSat活動についても紹介させて頂きます。
この活動は、毎年僕の研究室で有志のメンバーが参加する開発の課外活動です。研究だけでは得られない、チームでゼロからものづくりをする経験を得ることが目的とされています。

活動中は大会に向けて、宇宙開発に役立つ技術をテーマとし、缶サイズのローバ(自律走行ロボット)を製作します。大会では、チームで事前に設定した宇宙開発に役立つミッションを実行します。ローバの完成度だけでなく、ミッションの内容も重要な評価ポイントとなります。そのため、活動はミッションを決定する段階から始まり、最終的にそれを実現できるローバの完成を目指すことになります。

僕はこの活動を通して、「何もないところから行う開発経験」や「ものづくりの難しさ・面白さ」を学ぶことができました。
皆さんも興味があれば是非参加してみてください!

2022年5月4日水曜日

2022年度 春 水曜担当 木村の自己紹介

 はじめまして!今年度春のラーニングサポート水曜担当になりました木村です!


自己紹介として私の研究について少し書ければと思います.

私の専攻は制御工学です!制御工学ってなんだかわかりますか?


制御工学


簡単に言うと,ものを動かすための学問です.

例えばロボット.腕を伸ばして机の上のペットボトルをつかんでほしい!じゃあどんな指令をロボットに与えればよいでしょうか?

ロボットには各関節にモータが入っていて,それに目標の値を与えてあげることで腕を操作します.でも目標値を与えてあげるだけでロボットはちゃんと動くのでしょうか.


例えば,ちゃんと目標値に到達しても,ものすごい時間がかかってしまう.逆に動きが速すぎて目標の場所を通りすぎてしまった.そんなことがあっては困ってしまいますよね.

このように,任意の対象を思い通りに「制御」する方法を学ぶ学問が制御工学です!


実は制御って身近なものに使われてるんです.

自動車,エレベータ,炊飯器,ドライヤー…逆に制御されていない電気製品を見つける方が難しいですね.


研究内容


では木村は何を制御しているのかと申しますと,私の研究対象は「自動運転車」です.

先述の例で自動車を挙げたので,なんとなくタイヤを制御して走るんだろうという想像はつくかもしれません.

ただ,自動運転での難しさの一つに,「意思決定」と呼ばれるものがあります.


皆さんは運転するでしょうか.運転場面だけでなくても,人間は知らず知らずのうちに意思決定をたくさんしています.「そろそろ車線変更しとこうかな」「ヒトとぶつかりそうだから避けよう」「味噌汁はここに配膳しよう」.これが意思決定です.

意思決定して何かしら行動した人に「なんでその行動したの?」って聞くと,「なんとなく」っていうんじゃないでしょうか.

この「なんとなく」はロボットと人が共存し,自然な生活をするためには必要不可欠な要素でありながら最も難しい概念でもあるんです.人と同じような行動をロボットにしてほしくてもどんな状況でどんな行動をとってほしいかなんて指令をつくるのは難しそうですよね.


私は自動運転の中でも,高速道路の合流部に着目してます.ここではたくさんの意思決定が必要です.「どの車の後ろに合流しよう」「いつ合流しよう」「やばいそろそろ加速車線終わっちゃうから強引にでも合流しちゃおう」.この意思決定は明確なルールがない分,制御だけでは対応できません.ただ,この意思決定は自動車自体の動きにも関わってくるので制御とは切り離せません.このような意思決定×制御の分野に着目して研究しているのです.


そこで私が着目している技術に機械学習があります.最近よく聞くニューラルネットワークとかです.でも長くなってきたのでこれ以降の話はまたいつか…


さいごに


これを読んでいる方は遅かれ早かれ「研究」という壁にぶつかるでしょう.


自分ってなにを研究したいんだろう,研究したいものなんてないよ.


そう思う気持ちも大変わかります.僕もそう思ってました.でも研究していくといろんなことを知ってだんだん楽しくなるものです.

まずは,自分が何に興味があるのか知ることから初めてみてはいかがでしょうか.



木村