2020年6月15日月曜日

【読書のすゝめ】月曜日担当

こんにちは

ラーニングサポート 月曜日担当(建築系)の川本です
今回は私が学部1年生の頃に出会ったおすすめの本を5冊ほど紹介したいと思います


『赤と黒』 スタンダール著


「赤と黒」は実際に起きた事件などを題材にとった、フランスの作家スタンダールによる長編小説です。1954年に刊行されたサマセット・モームによる「世界の十大小説」に選ばれた古典作品でもありとても有名なものです。
主人公である野心的な青年、ジュリアン・ソレルを通して青春や恋愛を描いているとともに、「1830年代史」として実際に起きた事件などを題材として社会を鋭く批判しています。階層闘争から描かれた青年の野心に色々なことを考えさせられた作品です。

『ゴリオ爺さん』 バルザック著


「ゴリオ爺さん」は1819年のパリを舞台とした小説で、こちらも先に述べた「世界の十大小説」のひとつです。ゴリオが娘の不孝を嘆きながら孤独に死んでいく様が描かれた悲劇の作品であり、誠実さや愛情への裏切りがリアリティをもって表現されています。冒頭では登場人物と舞台設定を細かく説明しており、それらを把握することで読みやすくなると思います。

「地下室の手記」はロシアの小説家ドストエフスキーによる中編小説です。「罪と罰」や「カラマーゾフの兄弟」など著名な作品が多くありますが、なかでも私はこの「地下室の手記」が一番のおすすめです。
主人公の過剰なまでの自意識が面白くもどこかで共感できる作品です。自分の内面と向き合うきっかけになり得るおすすめの本です。

「ノルウェイの森」は村上春樹による長編小説です。とても有名な作品なので、知っている方も多いのではないでしょうか。主人公が学生時代を回想する視点で描かれているため、この本を大学入学したての頃「大学生活=ノルウェイの森」という想像(舞台は1970年頃なので実際は全く違いましたが)をしながら楽しく読みました。様々な小説や映画などの文化が引用され登場するので、そのような興味を広げていくきっかけになり得るおすすめの本です。

『辰野金吾』 河上眞理、清水重敦著


辰野金吾は東京駅や日本銀行本店をはじめとする建築作品を設計した日本建築界の礎を築いた建築家のひとりです。
工部大学校(現在の東大工学部)の第一回生として入学し、曾禰達蔵ら同期と切磋琢磨し学ぶ様子やヨーロッパで学んだ「建築」を日本に根付かせるために苦心した歴史が描かれています。
良い作品を設計し、国を発展させるために努力する姿勢にこの本を通じて触れることで、大学で学問を修めるうえでのモチベーションになるはずです!

今回は以上です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

川本

2020年6月9日火曜日

2020年度 木曜担当 自己紹介と参考書紹介

こんにちは.

今年度のラーニングサポート木曜日担当 数理科学科修士1年の富岡駿允です.

簡単な自己紹介をします.私は数理科学科の勝良研究室に所属しており,現在は作用素環論についての研究(というか勉強)をしています.私はもともと量子力学の数学的構造に興味があり,そのために関数解析という分野を少し勉強していました.作用素環論の勉強を始めたのは勝良研究室に所属してからです.作用素環論はvon Neumannという人が量子力学を記述するために必要な数学として導入したと言われています.勝良研は作用素環論の研究室なので,私の興味に合っています.また,趣味的にですが,私は幾何も面白いと思っているので,幾何の授業の質問があれば,私も一緒に考えて勉強したいなぁというつもりでいます(質問に答えられなかったらすみません).





さて今回は,大学1年生の皆さんに向けて,数学を自習できるように参考書をいくつか挙げてみようと思います.授業を聞くだけでなく,自分で本を読んで数学を勉強する時間はとても大切なので,ぜひここに挙げている参考書を活用してみてください(もちろん,ここに挙げている参考書以外の本で勉強するのもアリです).




線形代数




微積分




集合・位相






定番な本や私が個人的に気に入っている本を挙げました.他にも本はたくさんあります.書店等で中身を見て自分に合ったものを選ぶのが良いです.線形代数と微積分については授業で教科書も配布されているはずなので,授業を理解するには教科書を参考にするのが一番だと思います.しかし,授業だけで重要事項すべてを扱えるわけではないので,やはり自分に合った参考書を一冊は持っておくことをお勧めします.また,本の記述が分かりにくかったり,定理の証明でめちゃくちゃメンドくさい議論をしていたりすることがあります.そういう場合は自分で証明を考えてみたり,あるいは他の本も見てみたりすると分かるようになるかもしれません.自分で証明を考えるときは,「用語の定義は何か,仮定は何か,示したい結論は何か,仮定と結論を論理式や数式で表すとどうなるか」をはじめに確認してから行うのが良いです.つまり,証明におけるスタート地点,ゴール地点,証明で使う道具の確認です.これらをせずにいきなり証明を考えようとしても,何を議論すべきなのかも分からない状態では議論のしようがありません.簡単な命題なら,この機械的な作業だけで証明が終わることがありますし,この作業を通じて自分の頭の中を整理することができ,論理的に考える良い訓練になると思います.






いかがだったでしょうか.大学1年生で習う数学は基礎として本当に大切なので,この記事が皆さんにとって少しでも役に立てたなら幸いです.




それでは今回はこの辺で.See you next time !

富岡





























2020年6月5日金曜日

水曜担当 自己紹介&研究紹介(1)

初めまして!
今年度のラーニングサポートで水曜前半を担当する修士1年の東です。

今回は自己紹介と研究紹介をさせていただきます!

私は慶應の物理学科を卒業し、今は大学院理工学研究科の物理学専修に属しています。
私の研究室は、統計物理学の理論研究を行なっています。私の具体的な研究テーマは次回で紹介することにして、今回は統計物理学の魅力についてお話ししたいと思います。


物理学というと、まず思い浮かべるのは、宇宙論や素粒子論などかも知れません。これらの分野は、相対性理論や量子力学を駆使し、宇宙の構造や宇宙の果て、物質の究極の構成単位を研究していく分野です。よく物理学の花形と言われるだけあって、非常に魅力的ですね。

しかし、統計物理学にも、宇宙論や素粒子論に劣らない独自の魅力があるんです!
統計物理学は、簡単に言うと、粒子がたくさん集まった系を研究する分野です。素粒子論とは真逆の方向性ですね。

粒子がたくさん集まった系?
なんでそんなもの研究する必要があるの?
面白いの?

と思われるかもしれませんが、魅力があると言える理由は主に二つあります(もっとあるかも知れませんが、修士1年の自分が思いつく範囲でご容赦ください)。

1つは、粒子がたくさん集まると、系の構成要素一つ一つを追いかけているだけでは思いもよらなかった現象が起こり得るからです。超伝導がいい例ですね。超伝導は、ある温度以下で電気抵抗が0となる現象です。超伝導の原理は、原子や電子(あるいはクォークなどの素粒子)を一個ずつ調べても決して分からないわけですね。
このように、構成要素が多数集まることで、少数のときには思いもよらなかった現象が起きるという事実は、統計物理学の面白さの一つなのではないでしょうか?

二つ目を話します。我々が普段目にしている物質は、アヴォガドロ数(約6×10²³)程度の原子や分子が集まってできています。
粒子が一つや二つなら、古典力学の運動方程式や、量子力学のシュレディンガー方程式を解くことで、挙動を予想できます。しかし、粒子が三つ集まった場合(三体問題)は、一般に解けないことが知られています(古典力学においては、ポアンカレによって数学的に証明されている!)。
厳密に解けなくても、粒子が少数のときは、連立方程式(運動方程式やシュレディンガー方程式)の近似解をコンピューターで計算できます。しかし、アヴォガドロ数オーダーの連立方程式は、計算量が膨大すぎて、どんなに高性能のコンピューターを用いても、近似解を求めることすら不可能なわけです。
しかし、粒子の数が膨大で、無限大とみなせる場合は、また話が違ってきます。なぜなら、平均値や分散といった量が意味を持ってくるからです。つまり、粒子数が無限大とみなせる場合は、力学に確率論や統計学を組み合わせることで、むしろ厳密な計算が可能となります。これが統計物理学の二つ目の魅力です!


少し長くなってしまいましたが、統計物理学の魅力が伝わったでしょうか?
関連したヨビノリ たくみの動画も、とても参考になるのでお勧めします!
https://www.youtube.com/watch?v=jTB-_bxv8ps
最後まで読んで頂きありがとうございます!

2020年6月1日月曜日

【自宅でできること】化学実験レポート作成に役立つ『化学書資料館』を利用しよう



こんにちは。
火曜担当修士1年の江口です。

ついに、春学期の授業が始まりましたね。オンラインでの授業ということで、なかなか勝手がわからない点もあるかと思います。


特に大変だと思われるのが、実験系の授業です。
やはり実験の授業というのは、自分の手を動かして測定して、データを取って、その結果をレポートにしてまとめる、というものだと思います。

しかし、春学期は実験もオンライン授業で実施されます。
自分の手を動かさないから、なんだか実感が湧かず、レポートを書くのも一苦労。
そんな人が少なからずいるかと思われます。

加えて、外出自粛・活動自粛で、図書館が閉鎖されていて、レポートの参考文献を探しに行くことが出来ない状況にある人がほとんどだと思います。

今回は、化学系の実験レポート作成に役立つ文献データベース、『化学書資料館』をオンラインで利用する方法について、二つの方法を紹介します。


【方法1】理工学メディアセンターHPからアクセスする
1. 理工学メディアセンターHP(https://www.lib.keio.ac.jp/scitech/)にアクセス、
 「おすすめデータベース」>「化学書資料館」をクリック



2. リモートアクセスサービスの画面へ飛ぶので、「サービスを利用開始」をクリック


3. 慶應IDの認証画面へ飛ぶので自分のIDとパスワードを入力、「OK」をクリック



4. 注意事項が出てくるので、内容を確認し「同意する」をクリック



5. 「化学書資料館」へのリンクが表示されるのでクリック

すると・・・


アクセス成功です!


【方法2】KOSMOS経由でアクセスする
1. KOSMOS(https://search.lib.keio.ac.jp/)にアクセスし、検索欄に「実験化学講座」と入力し検索する。



2. 画面上部、おすすめのデータベースという欄がでてくるのでそこにある「GO」ボタンをクリック

3. 【方法1】と同じように、リモートアクセスの認証画面へ飛びます。
 【方法1】の手順2~5と同じように操作すると、

これも同様に「化学書資料館」にアクセスできました。




このデータベースでは、『化学便覧』や『実験化学講座』といった文献がオンラインで閲覧できるため、大変便利です。



【使用例】
・化合物○○の物性(密度、融点など)が知りたい→化学便覧や化合物検索で調べる

・実験で使った装置、測定手法が知りたい→実験化学講座で調べる

文献値が欲しくて探し回ったけど、ソースのよくわからないサイトの数値しか見つからない・・・
そんな情報も、このデータベースに載っているかもしれません。

また、学生実験でやるような測定は確実に、『実験化学講座』で触れられています。
この本を引用すれば、チェックする先生もにっこりでしょう。



さらに、このサービスはkeio.jpのアカウントがあればいつでも利用できます。
実験レポートあるあるだと思うのですが、『実験化学講座』の紙の本を借りようと思ったけど、他の人に借りられてしまっていたという状況になることがあります。
返却期限を待っていてはレポートの提出期限が過ぎてしまう。どうしよう・・・

そんな時にも、「化学書資料館」は使えば、オンラインでその内容を閲覧することができます。便利ですね。


以上、化学実験レポート作成に役立つデータベース、「化学書資料館」の紹介でした。
ぜひ活用してみて下さい!

江口