2021年12月24日金曜日

音楽の授業

 こんにちは。金曜担当の冨田です。

慶應には変わった授業が色々とありますが、その中でも実際に楽器を演奏する授業があるのはご存じでしょうか。今回は私が学部2年のときから現在に至るまで履修し続けている音楽の授業についてお話しします。

慶應には日吉音楽学研究室というものがあり、座学をはじめ実際に演奏する授業や合唱の授業など様々な音楽の授業を開講しています。私は学部2年のときに音楽Ⅰ、Ⅱ「18世紀のオーケストラと演奏習慣」を履修し、学部3年から現在修士2年に至るまで教養研究センター設置の身体知・音楽Ⅰ、Ⅱ「古楽器を通じた歴史的音楽実践」を履修しています。前者はコレギウム・ムジクム・オーケストラとして冬に1回、後者は古楽アカデミーとして夏と冬に2回協生館の藤原洋記念ホールで演奏会を開催します。

コレギウム・ムジクム・オーケストラ

コレギウム・ムジクム・オーケストラでは基本的に学生各自が所有するモダン楽器を使用しますが、トランペットやトロンボーン、ホルン、ティンパニに関しては慶應義塾が所有するナチュラル・トランペットやアルト・トロンボーンといったピリオド楽器を用いて演奏します。現代ではあまり演奏されない18世紀の作品について取り扱うことが多く、授業では実際に演奏を通して演奏技法や作品の背景について勉強します。

古楽アカデミー

一方、古楽アカデミーでは現在一般的なオーケストラ等で使用されるモダン楽器ではなく、バロックの時代に使用された古楽器を用いて演奏します。楽器は基本的に慶應義塾が所有するもので授業を履修している学生に貸し出されます。また、ヴィオラ・ダ・ガンバやリュートの一種であるテオルボ、チェンバロといった普段見慣れない楽器も演奏に用いられるので現代のオーケストラではなかなか見られない編成に驚く方もいるでしょう。さらに使用ピッチがA=415Hzで、現在一般的に使用されるA=442Hzと比較して半音低いため最初は慣れない方もいるかもしれませんが、現代の楽器よりも暖かみのある音色に感動すること間違いなしです。

また、通常古楽器を習得するには年数がかかるため古楽アカデミーは複数年履修することを推奨しています。そのため、私のように4年以上履修したり、中には卒業した後も参加し続ける人も多くいます。

古楽アカデミーは授業であるため、部費や年会費など一切かかりません。そのうえひとりひとり楽器が貸し出され、バロック時代の音楽の技法を学ぶことができます。さらに、複数年にわたって履修することができるので、学生同士の仲も深まります。練習は土曜日に週1回と頻度も多くないのでそこまで負担にもならないでしょう。

おわりに

今回は「楽器を実際に演奏する」という慶應の少し変わった音楽の授業を紹介してきました。バロック時代の音楽に興味のある方、オーケストラや少人数アンサンブルで楽器を演奏したいという方は、是非授業を履修してみてはいかがでしょうか。

冨田

2021年12月23日木曜日

クラウドストレージ、どれを使う? 水曜担当 田中

 こんにちは!水曜担当の田中です!


今回は2021年度現在、慶應義塾大学が契約しているクラウドストレージサービスについて学生目線での使い分けについて書いていこうと思います。

現在学生の私たちが利用できるサービスは3つあります。Box、OneDrive、Google Driveです。順に利用するシチュエーションやおすすめの使い方を書いていきます


Box

Boxはオンラインのオンデマンド授業で利用することが多かったので、既に普段使いしている人も多いと思います。UIもシンプルでわかりやすく、学内関係者同士のファイル共有やフォルダのアクセス権を設定してのファイル提出など、3サービスのうち最も汎用的な使われ方をされています。そのため授業などで使うデータ(実験や発表など)などはとりあえずBoxに上げておくのがスタンダードであり、安心でしょう。


OneDrive

Boxの次点で使用頻度が高いのはこれでしょう。Microsoft Officeライセンスで利用できるソフトの一つではありますが、ExcelやPowerPointのデータをクラウドで(自動で)管理できることは大きな利点であり大変便利なソフトです。オフラインの実験や発表のために作成したデータを万が一大学に持参し忘れたとしても、オンラインに上がっていればきっと自分を助けてくれます。また、PC内のフォルダをクラウド上にクローンしてPC内部の重要データのバックアップ役としても便利です。


Google Drive

最後にGoogle Driveです。2017年度から大学がMicrosoft Officeライセンス等を契約し、最近では前2つのサービスだけを利用している人も多いと思います。基本的には前2つのサービスを利用すれば十分ではあると思いますが、例えばOneDriveの利用可能な容量は1 TBと制限されているため、データのバックアップを自動で行う際には容量無制限のこちらの使用がおすすめです。


みなさんもクラウドサービスを活用してバリバリ勉強と研究に励んでください!

2021年12月17日金曜日

海外研修のすすめ

 こんにちは。金曜担当の冨田です。

今回は学部1年から修士2年までの間で私が今まで参加してきた海外研修についてお話しします。

慶應ではサマースクールや留学など様々なイベントがあり、海外で勉強や研究をしようと考えている学生や、海外生活に興味のある学生には絶好のチャンスです。私自身も慶應が主催する多くの海外研修のイベントに参加してきたので、ご紹介したいと思います。少しでも興味を持ったら説明会に足を運んだり実際に参加してみたりすると良い経験になるでしょう!

グローバルリーダーシップセミナー実地研修

まず1つ目はグローバルリーダーシップセミナー(通称GLS)という授業の実地研修です。私は学部1年のときにGLSの授業を取っていて、その授業内で実地研修というイベントがあると紹介されたので参加しました。私のときは台湾の淡江大学で行われ、合計3日間の研修でした。現地の学生と3,4人のグループを作り、与えられたテーマに沿ってディスカッションをして、最終日のプレゼンに備えて資料を共同で作成します。研修の間は四六時中ディスカッションをしているわけではなく、教員が淡江大学のキャンパスツアーをしてくれたり、現地の学生が台北の街を案内してくれたりと、堅苦しいイベントではないので安心してください。「日本語が通じない人たちと英語でディスカッションをしてみたい...!」という方は是非参加してみると良いでしょう。

Keio-Aachenサマースクール

2つ目はドイツのアーヘン工科大学にて行われるサマースクールです。私は学部2年のときにドイツ語セミ・インテンシブという授業を取っていて、そこで先生が紹介してくれて興味をもったので参加しました。8月の夏休み期間中に行われ、研修期間は約3週間です。このサマースクールでは基本的に午前中はドイツ語の授業を受け、午後はエンジニアリング入門講座と題し理工学(物理、化学、生物、機械)に関する授業を英語で受けます。また、この研修では慶應の学生1~2人に対してアーヘン工科大学の学生が1人バディーとしてついてくれます。何か生活で困ったりドイツ語の表現でわからないところがあったりしたらバディーに質問するとなんでも答えてくれたので、このバディー制度にはとても感謝しています。授業だけでなく、アーヘンの市内を観光する際にもバディーが何人か参加したり、バディーの家の屋上でバーベキューをしたりと、研修期間を通してとても仲が深まりました。

ちなみにアーヘンはドイツの中でも西に位置していて、ベルギーとオランダからとても近いです。ですので週末にふらっとドイツを抜け出して観光しに行くこともできるのです!といってもEU圏内なのでパスポートを見せる必要はありません。日本でいう県境のような感覚で、バスで移動していたらいつの間にかオランダに来ていたという感じでした。

Double Degree Program

最後に紹介するのはダブルディグリープログラムです。慶應には学部生対象および修士学生対象のダブルディグリープログラムがありますが、前者は授業が全部フランス語で行われる上に私はフランス語を履修していなかったため、後者のプログラムに参加しました。修士学生対象のダブルディグリープログラムではヨーロッパ6か国、12ほどの大学から留学先を選ぶことになります。私は、専門分野(化学)からスウェーデン王立工科大学を選択しました。

留学期間は約1年半で、私は修士1年の8月初めにスウェーデンへ渡り、最初の3週間はスウェーデン語のインテンシブコースを受講しました。最初の頃は留学生向けのイベントがたくさん開催されるので参加しておくと友達ができるのでおすすめです!8月下旬から授業がスタートし、最初の1年間は講義が中心ですが、最後の半年間は修士論文を書くための研究をすることになります。また、スウェーデンでは大学院の講義、研究は基本的にすべて英語で行われるので安心してください。スウェーデン人は英語が母語ではないのですが、同じゲルマン語系で似ているのでほぼ全員英語が流暢に話せます。そのため、スウェーデン語が分からなくても日常生活にそこまで支障はありません。

このダブルディグリープログラムに関しては留学先での生活や思い出などが多くあり、このブログに収まり切りません(笑)。ですが、このプログラムに参加することで最先端の研究に触れたり、同じ分野を研究する人脈が広がったり、国際色豊かな友達ができたり、周辺の国々を旅したりと、とても貴重な経験になること間違いないです!

さいごに

ここまで私が参加してきた海外研修について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。コロナ禍で様々な制限があるかもしれませんが、ここで紹介したもの以外にも様々な海外研修プログラムがあるので、少しでも興味を持って頂けたら理工学部のホームページからチェックしてみると良いでしょう。

冨田

MATLABのすゝめ 水曜担当 田中

 こんにちは!水曜担当の田中です!

今回は巷で話題のプログラミングについての記事です!

主に学部生向けに、実験科目でのデータ整理など、はじめてプログラミングに触れる状況を想定して簡単なMATLABの紹介と扱い方についてお話します。プログラミングの強者の方たちには他の記事を参照することをお勧めします(笑)。


MATLABとは

MATLAB(マトラボ、マットラブ)とはMathWorks社の開発した数値解析ソフトであり、同時にその中で使われるプログラミング言語です。数値解析はもちろん、データの可視化や簡単なシミュレーションを行うことができます。慶應義塾ではMathWorksとライセンス契約しており(2021年12月現在)、ITCワークステーションやメディアセンター設置のITCパソコンではもちろん、学生は手持ちのPCにインストールして利用することができます。MATLABの利用については以下のリンク先の情報を参考にしてください。

[理工学ITC: MATLAB]

https://secure.itc.keio.ac.jp/c/a/st/ja/software_matlab_individual.html


どんなときに役立つの?

例えば実験レポートのデータ整理です。みなさんは普段の実験レポートのデータ整理にはExcelなどを使っているのでしょうか?MATLABではExcelでできること以上に多くの処理が関数化されており、その豊富なライブラリを利用して精度高くデータを処理することができます。加えてグラフや図の作成においてMATLABはグラフの3次元化や複数のグラフを重ねるなど、Excel以上に結果を見やすく整理できます。以下のリンク先では、MATLABの基本的なプロット関数を紹介しています。

[MathWorks: 基本プロット関数]

https://jp.mathworks.com/help/matlab/learn_matlab/basic-plotting-functions.html

代数計算にもMATLABは力を発揮します。方程式の求解や微分計算、式の単純化など幅広く利用できます。数学の課題を解くときなど、幅広く勉強に利用できるはずです。以下のリンク先では、MATLABの基本的な代数処理を紹介しています。

[MathWorks: Symbolic Math Toolboxの計算数学]

https://jp.mathworks.com/help/symbolic/computational-mathematics-in-symbolic-math-toolbox.html

最後に、みなさんが大学に入って初めて学んだ物理法則の記述にも使われる微分方程式も、MATLABでは数値的に積分しシミュレーションをすることができます。例えば以下のような微小振幅でない単振子の運動方程式は非線形であるために解析的には解くことができません。

\[ \frac{d^{2}\theta}{dt^{2}} +\sin{\theta} = 0 \]

しかしMATLABでは微分方程式のソルバーが提供されており、簡単に方程式を数値的に解くことができます。以下のリンク先では、MATLABの常微分方程式のソルバーを紹介しています。

[MathWorks: ode45]
https://jp.mathworks.com/help/matlab/ref/ode45.html


おわりに

研究室配属後にはMATLABを毎日のように利用することになるので、早めに使いこなせるようになっておくといいスタートダッシュが切れると思います。大学卒業後はMATLABのライセンスを利用できませんが、その場合は比較的互換性の高いOctaveなどを利用したり、MATLAB同様にライブラリが充実して無料で利用できるPythonのNumPyを利用したりなど、MATLABをきっかけにプログラミングに慣れていくと、将来的にさらなるスキルが身についてくると思います。またレポートや卒論の執筆については過去の記事でも紹介している$\LaTeX$を利用することでさらに美しいレポートに仕上がるので、ぜひ取り組んでみてください。