2021年12月24日金曜日

音楽の授業

 こんにちは。金曜担当の冨田です。

慶應には変わった授業が色々とありますが、その中でも実際に楽器を演奏する授業があるのはご存じでしょうか。今回は私が学部2年のときから現在に至るまで履修し続けている音楽の授業についてお話しします。

慶應には日吉音楽学研究室というものがあり、座学をはじめ実際に演奏する授業や合唱の授業など様々な音楽の授業を開講しています。私は学部2年のときに音楽Ⅰ、Ⅱ「18世紀のオーケストラと演奏習慣」を履修し、学部3年から現在修士2年に至るまで教養研究センター設置の身体知・音楽Ⅰ、Ⅱ「古楽器を通じた歴史的音楽実践」を履修しています。前者はコレギウム・ムジクム・オーケストラとして冬に1回、後者は古楽アカデミーとして夏と冬に2回協生館の藤原洋記念ホールで演奏会を開催します。

コレギウム・ムジクム・オーケストラ

コレギウム・ムジクム・オーケストラでは基本的に学生各自が所有するモダン楽器を使用しますが、トランペットやトロンボーン、ホルン、ティンパニに関しては慶應義塾が所有するナチュラル・トランペットやアルト・トロンボーンといったピリオド楽器を用いて演奏します。現代ではあまり演奏されない18世紀の作品について取り扱うことが多く、授業では実際に演奏を通して演奏技法や作品の背景について勉強します。

古楽アカデミー

一方、古楽アカデミーでは現在一般的なオーケストラ等で使用されるモダン楽器ではなく、バロックの時代に使用された古楽器を用いて演奏します。楽器は基本的に慶應義塾が所有するもので授業を履修している学生に貸し出されます。また、ヴィオラ・ダ・ガンバやリュートの一種であるテオルボ、チェンバロといった普段見慣れない楽器も演奏に用いられるので現代のオーケストラではなかなか見られない編成に驚く方もいるでしょう。さらに使用ピッチがA=415Hzで、現在一般的に使用されるA=442Hzと比較して半音低いため最初は慣れない方もいるかもしれませんが、現代の楽器よりも暖かみのある音色に感動すること間違いなしです。

また、通常古楽器を習得するには年数がかかるため古楽アカデミーは複数年履修することを推奨しています。そのため、私のように4年以上履修したり、中には卒業した後も参加し続ける人も多くいます。

古楽アカデミーは授業であるため、部費や年会費など一切かかりません。そのうえひとりひとり楽器が貸し出され、バロック時代の音楽の技法を学ぶことができます。さらに、複数年にわたって履修することができるので、学生同士の仲も深まります。練習は土曜日に週1回と頻度も多くないのでそこまで負担にもならないでしょう。

おわりに

今回は「楽器を実際に演奏する」という慶應の少し変わった音楽の授業を紹介してきました。バロック時代の音楽に興味のある方、オーケストラや少人数アンサンブルで楽器を演奏したいという方は、是非授業を履修してみてはいかがでしょうか。

冨田

2021年12月23日木曜日

クラウドストレージ、どれを使う? 水曜担当 田中

 こんにちは!水曜担当の田中です!


今回は2021年度現在、慶應義塾大学が契約しているクラウドストレージサービスについて学生目線での使い分けについて書いていこうと思います。

現在学生の私たちが利用できるサービスは3つあります。Box、OneDrive、Google Driveです。順に利用するシチュエーションやおすすめの使い方を書いていきます


Box

Boxはオンラインのオンデマンド授業で利用することが多かったので、既に普段使いしている人も多いと思います。UIもシンプルでわかりやすく、学内関係者同士のファイル共有やフォルダのアクセス権を設定してのファイル提出など、3サービスのうち最も汎用的な使われ方をされています。そのため授業などで使うデータ(実験や発表など)などはとりあえずBoxに上げておくのがスタンダードであり、安心でしょう。


OneDrive

Boxの次点で使用頻度が高いのはこれでしょう。Microsoft Officeライセンスで利用できるソフトの一つではありますが、ExcelやPowerPointのデータをクラウドで(自動で)管理できることは大きな利点であり大変便利なソフトです。オフラインの実験や発表のために作成したデータを万が一大学に持参し忘れたとしても、オンラインに上がっていればきっと自分を助けてくれます。また、PC内のフォルダをクラウド上にクローンしてPC内部の重要データのバックアップ役としても便利です。


Google Drive

最後にGoogle Driveです。2017年度から大学がMicrosoft Officeライセンス等を契約し、最近では前2つのサービスだけを利用している人も多いと思います。基本的には前2つのサービスを利用すれば十分ではあると思いますが、例えばOneDriveの利用可能な容量は1 TBと制限されているため、データのバックアップを自動で行う際には容量無制限のこちらの使用がおすすめです。


みなさんもクラウドサービスを活用してバリバリ勉強と研究に励んでください!

2021年12月17日金曜日

海外研修のすすめ

 こんにちは。金曜担当の冨田です。

今回は学部1年から修士2年までの間で私が今まで参加してきた海外研修についてお話しします。

慶應ではサマースクールや留学など様々なイベントがあり、海外で勉強や研究をしようと考えている学生や、海外生活に興味のある学生には絶好のチャンスです。私自身も慶應が主催する多くの海外研修のイベントに参加してきたので、ご紹介したいと思います。少しでも興味を持ったら説明会に足を運んだり実際に参加してみたりすると良い経験になるでしょう!

グローバルリーダーシップセミナー実地研修

まず1つ目はグローバルリーダーシップセミナー(通称GLS)という授業の実地研修です。私は学部1年のときにGLSの授業を取っていて、その授業内で実地研修というイベントがあると紹介されたので参加しました。私のときは台湾の淡江大学で行われ、合計3日間の研修でした。現地の学生と3,4人のグループを作り、与えられたテーマに沿ってディスカッションをして、最終日のプレゼンに備えて資料を共同で作成します。研修の間は四六時中ディスカッションをしているわけではなく、教員が淡江大学のキャンパスツアーをしてくれたり、現地の学生が台北の街を案内してくれたりと、堅苦しいイベントではないので安心してください。「日本語が通じない人たちと英語でディスカッションをしてみたい...!」という方は是非参加してみると良いでしょう。

Keio-Aachenサマースクール

2つ目はドイツのアーヘン工科大学にて行われるサマースクールです。私は学部2年のときにドイツ語セミ・インテンシブという授業を取っていて、そこで先生が紹介してくれて興味をもったので参加しました。8月の夏休み期間中に行われ、研修期間は約3週間です。このサマースクールでは基本的に午前中はドイツ語の授業を受け、午後はエンジニアリング入門講座と題し理工学(物理、化学、生物、機械)に関する授業を英語で受けます。また、この研修では慶應の学生1~2人に対してアーヘン工科大学の学生が1人バディーとしてついてくれます。何か生活で困ったりドイツ語の表現でわからないところがあったりしたらバディーに質問するとなんでも答えてくれたので、このバディー制度にはとても感謝しています。授業だけでなく、アーヘンの市内を観光する際にもバディーが何人か参加したり、バディーの家の屋上でバーベキューをしたりと、研修期間を通してとても仲が深まりました。

ちなみにアーヘンはドイツの中でも西に位置していて、ベルギーとオランダからとても近いです。ですので週末にふらっとドイツを抜け出して観光しに行くこともできるのです!といってもEU圏内なのでパスポートを見せる必要はありません。日本でいう県境のような感覚で、バスで移動していたらいつの間にかオランダに来ていたという感じでした。

Double Degree Program

最後に紹介するのはダブルディグリープログラムです。慶應には学部生対象および修士学生対象のダブルディグリープログラムがありますが、前者は授業が全部フランス語で行われる上に私はフランス語を履修していなかったため、後者のプログラムに参加しました。修士学生対象のダブルディグリープログラムではヨーロッパ6か国、12ほどの大学から留学先を選ぶことになります。私は、専門分野(化学)からスウェーデン王立工科大学を選択しました。

留学期間は約1年半で、私は修士1年の8月初めにスウェーデンへ渡り、最初の3週間はスウェーデン語のインテンシブコースを受講しました。最初の頃は留学生向けのイベントがたくさん開催されるので参加しておくと友達ができるのでおすすめです!8月下旬から授業がスタートし、最初の1年間は講義が中心ですが、最後の半年間は修士論文を書くための研究をすることになります。また、スウェーデンでは大学院の講義、研究は基本的にすべて英語で行われるので安心してください。スウェーデン人は英語が母語ではないのですが、同じゲルマン語系で似ているのでほぼ全員英語が流暢に話せます。そのため、スウェーデン語が分からなくても日常生活にそこまで支障はありません。

このダブルディグリープログラムに関しては留学先での生活や思い出などが多くあり、このブログに収まり切りません(笑)。ですが、このプログラムに参加することで最先端の研究に触れたり、同じ分野を研究する人脈が広がったり、国際色豊かな友達ができたり、周辺の国々を旅したりと、とても貴重な経験になること間違いないです!

さいごに

ここまで私が参加してきた海外研修について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。コロナ禍で様々な制限があるかもしれませんが、ここで紹介したもの以外にも様々な海外研修プログラムがあるので、少しでも興味を持って頂けたら理工学部のホームページからチェックしてみると良いでしょう。

冨田

MATLABのすゝめ 水曜担当 田中

 こんにちは!水曜担当の田中です!

今回は巷で話題のプログラミングについての記事です!

主に学部生向けに、実験科目でのデータ整理など、はじめてプログラミングに触れる状況を想定して簡単なMATLABの紹介と扱い方についてお話します。プログラミングの強者の方たちには他の記事を参照することをお勧めします(笑)。


MATLABとは

MATLAB(マトラボ、マットラブ)とはMathWorks社の開発した数値解析ソフトであり、同時にその中で使われるプログラミング言語です。数値解析はもちろん、データの可視化や簡単なシミュレーションを行うことができます。慶應義塾ではMathWorksとライセンス契約しており(2021年12月現在)、ITCワークステーションやメディアセンター設置のITCパソコンではもちろん、学生は手持ちのPCにインストールして利用することができます。MATLABの利用については以下のリンク先の情報を参考にしてください。

[理工学ITC: MATLAB]

https://secure.itc.keio.ac.jp/c/a/st/ja/software_matlab_individual.html


どんなときに役立つの?

例えば実験レポートのデータ整理です。みなさんは普段の実験レポートのデータ整理にはExcelなどを使っているのでしょうか?MATLABではExcelでできること以上に多くの処理が関数化されており、その豊富なライブラリを利用して精度高くデータを処理することができます。加えてグラフや図の作成においてMATLABはグラフの3次元化や複数のグラフを重ねるなど、Excel以上に結果を見やすく整理できます。以下のリンク先では、MATLABの基本的なプロット関数を紹介しています。

[MathWorks: 基本プロット関数]

https://jp.mathworks.com/help/matlab/learn_matlab/basic-plotting-functions.html

代数計算にもMATLABは力を発揮します。方程式の求解や微分計算、式の単純化など幅広く利用できます。数学の課題を解くときなど、幅広く勉強に利用できるはずです。以下のリンク先では、MATLABの基本的な代数処理を紹介しています。

[MathWorks: Symbolic Math Toolboxの計算数学]

https://jp.mathworks.com/help/symbolic/computational-mathematics-in-symbolic-math-toolbox.html

最後に、みなさんが大学に入って初めて学んだ物理法則の記述にも使われる微分方程式も、MATLABでは数値的に積分しシミュレーションをすることができます。例えば以下のような微小振幅でない単振子の運動方程式は非線形であるために解析的には解くことができません。

\[ \frac{d^{2}\theta}{dt^{2}} +\sin{\theta} = 0 \]

しかしMATLABでは微分方程式のソルバーが提供されており、簡単に方程式を数値的に解くことができます。以下のリンク先では、MATLABの常微分方程式のソルバーを紹介しています。

[MathWorks: ode45]
https://jp.mathworks.com/help/matlab/ref/ode45.html


おわりに

研究室配属後にはMATLABを毎日のように利用することになるので、早めに使いこなせるようになっておくといいスタートダッシュが切れると思います。大学卒業後はMATLABのライセンスを利用できませんが、その場合は比較的互換性の高いOctaveなどを利用したり、MATLAB同様にライブラリが充実して無料で利用できるPythonのNumPyを利用したりなど、MATLABをきっかけにプログラミングに慣れていくと、将来的にさらなるスキルが身についてくると思います。またレポートや卒論の執筆については過去の記事でも紹介している$\LaTeX$を利用することでさらに美しいレポートに仕上がるので、ぜひ取り組んでみてください。

2021年11月5日金曜日

金曜担当 自己紹介 冨田

 はじめまして、こんにちは! 今年度秋学期金曜の前半(12:30~14:00)を担当します応用化学科修士2年の冨田です。

化学A・Cや無機化学をはじめ物理化学やマテリアル科学に関する相談を中心に受け付けています。2019年8月から2021年3月にかけてスウェーデンのKTH(スウェーデン王立工科大学)という大学で勉強しており、ダブルディグリーや留学に関する相談も受け付けています。

専門分野は無機構造科学で現在は太陽電池に使われる半導体の合成の研究をしています。

今回は太陽電池の仕組みと無機化学の面白さについてお話ししようと思います。

太陽電池の仕組み

太陽電池にはシリコン太陽電池や色素増感太陽電池、さらには最近注目を浴びているペロブスカイト太陽電池などさまざまな種類があります。このような太陽電池に共通して言えるのは基本的に電荷分離、電荷輸送という現象が内部で起きているということです。物理や化学を勉強していないとなかなか理解するのが難しいですが、簡単なシリコン太陽電池を例にとって説明しようと思います。

シリコン太陽電池はp型半導体とn型半導体が接合した構造をとっています。ここでpやnというのはpositiveとnegativeの頭文字をとったもので、それぞれ正の電荷(ホール)、負の電荷(電子)を流します。これらの半導体を接合した部分をpn接合といい、接合面付近でホールと電子が結合することで電荷が消滅し空乏層が生まれます。

光というのはある程度のエネルギーを持っており、太陽電池ではこの光エネルギーを電荷分離に使います。空乏層中では内蔵電場が生じており、太陽光が照射することによって分離した電子とホールは、その内蔵電場によってそれぞれn型、p型半導体に移動します。そして、光が照射されている状態でn型、p型半導体を外部回路につなぐと電子が外部を流れて電流が発生する、といった仕組みなのです。

専門用語が多く理解するのが難しいと思われるかもしれませんが、エネルギー変換材料は勉強すればするほど奥が深くとても面白いです。応用化学科無機構造科学研究室では、太陽電池のみならず振動発電材料や熱電変換材料の研究テーマも扱っているので、機能性無機材料やエネルギー変換材料を合成して創り出すことに興味のある方は、是非ホームページを覗いたり実際に見学してみてはいかがでしょうか(宣伝)。

無機化学の面白さ

無機化学や固体化学の分野で研究をするためには、周期表とお友達になる必要があります。周期表というのはすべての元素を物理的、化学的な性質が似たもの同士が並ぶように決められた規則に従って配列した表のことです。

H He Li Be B C N O F Ne...

原子番号20のCa(カルシウム)までなら語呂合わせとともに覚えている方も多いのではないでしょうか。しかし、無機化学を研究するのであれば後半のランタノイドや第6周期も扱うことがあるため、周期表に書かれた元素の性質を幅広く理解する必要があります。

現在周期表にある元素は118種類あり全部を頭に入れるのはとても大変ですが、性質が似ているものは同じ列や行にあるのでそれらの性質を理解することが重要になります。例えば第17族のハロゲン元素は電子を1個受け取ると閉殻構造になるため一価の陰イオンになりやすく、第1族のアルカリ金属は電子を1個失って一価の陽イオンになりやすいという特徴があります。

周期表に慣れ親しんでおくと、実際の研究において材料の特性や性質を理解するのにも役立ちます。少々専門的な内容になりますが、例えばCaTiO₃(チタン酸カルシウム)という物質はペロブスカイト型の結晶構造をとる典型的な物質で、その構造の歪みを利用し希土類イオンを少量添加することで蛍光体などへの応用が期待されています。Caは第2族アルカリ土類金属第4周期の元素ですが、第5周期のSr(ストロンチウム)や第6周期のBa(バリウム)に置き換えたSrTiO₃(チタン酸ストロンチウム)やBaTiO₃(チタン酸バリウム)もCaTiO₃と同じくペロブスカイト型の結晶構造をとり、主に熱電変換材料や誘電体材料として応用されています。

さらにこれらの物質のうち、第4族第4周期のTi(チタン)を第5周期のZr(ジルコニウム)に置き換えた物質も存在するので、周期表を眺めながら様々な材料を探索したり、新たに作り出したりすることができるのです。


少々難しい内容かもしれませんが、無機化学の分野での研究に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

冨田

2021年11月2日火曜日

学部時代最大の壁?実験レポートの乗り越え方について

 こんにちは、木曜ラーサポ担当の大島です!


 この記事では、理工学部生が多かれ少なかれ苦しむであろう実験レポートの乗り越え方について紹介していこうと思います。


 いきなりですが、このブログを読んでいる人は実験レポートにどんな印象があるでしょう? 


「過去レポがあれば問題ないんじゃないの」

「まとめなくちゃいけないことが多すぎて混乱する」

「考察に何を書けばいいかわからない」

「量が多い」

「ずっと過去レポで乗り切ってきた」

「参考文献は何を見ればいいのか」

「授業との両立ができない」

「何でもいいのでとりあえず過去レポください……」


 大体こんな感じではないでしょうか。ただでさえ実験は時間もかかって疲れるのに、ここにさらにレポートが加わるわけですから大変ですよね。私も学部時代にかなり苦労しました。(何度、朝刊配達のバイク音を聞いたことやら……)

 しかも最近は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、実験も大部分がオンラインになったと聞きます。対面に比べてさらに学びにくい環境ですので、その負担は非常に大きいと思います。ただ、学生実験は多様な分野にわたっているので、一つ一つについて説明することは難しいです。そこで本記事では、私の過去の体験を踏まえて、

「実験レポートをできるだけ効率的に進める方法」

に絞って紹介していきたいと思います!


 ※ここで掲載する情報は、コロナ禍以前の話を元にしているので、現在と異なる点があることを念頭に置いてください。


 まず初めに:過去レポについて

 過去レポがあればいいんじゃないの、と考える人はいると思います。間違ってはいないです。考察のきっかけを掴みたい、どれぐらい書けばいいのか目安が知りたいという時には参考になります。でも、そればかりに頼るのはやめたほうがいいですし、丸写しは問題外です。剽窃は絶対にやってはいけないことであり、さらに言うと、採点側は長年多くのレポートをチェックしてきた百戦錬磨の人なので必ずバレます。過去レポはあくまで参考程度にしておきましょう。



 コツ1:緒言と実験方法は実験前/直後に終わらせる!

 実験レポートで一番労力を使うのは結果と考察であり、採点に関わる項目もここです。裏を返すと、ここにかける時間が増えれば増えるほど、当然レポートの点も上がるというわけです。なので、緒言と実験方法はできるだけ早めに書き終えて、結果と考察に入りましょう。緒言の内容は実験書、実験方法も同じく実験書と実験ノートから書くことができます。当日実験書にないことをしたら、後から書き足すだけです。



 コツ2:参考文献は先に借りるべき

 結構あるのが、「参考文献として紹介された本を借りに行ったら、もう借りられていた!!」という展開です。別の文献やオンラインの論文を探すのは余計な手間暇がかかります。なので資料は、次のテーマの実験日の直前に借りておくと安心です(あまり早くても、別の実験班がその実験をやっているので、やはり資料が借りられている可能性があります。実験が切り替わるタイミングでメディアセンターに行くのがベストでしょう)

 また、メディアセンターでは貸出中の資料を予約することもできます。目当ての資料が人気でしたら、あらかじめ予約で押さえておけば、返された瞬間に別の人に一歩早く借りられてしまった……という悲しい事態も回避することができます。積極的に使っていきましょう。

KOSMOSのページはこちら



 コツ3:結果を書く時はショートカットとテンプレートで高速化すべし

 結果のデータをまとめるのは何気に大変です。「2時間くらいでできるかな~」と呑気に構えていたら、細かいところが気になってあれこれ修正しているうちに気付けば4時間……なんてこともよくある話(細部に拘りすぎる傾向がある私の性格は、一旦棚上げしときます)。しかしここは考察に使うデータを整理するところ。できるだけ簡潔に、そして早く終わらせたほうがいいです。でないと考察に入れない。

 というわけで、まず初めにOfficeのショートカットキーをどんどん覚えて使いましょう。Ctrl+C,Vは基本中の基本。ここに下付き、上付き、全選択、置換、前の動作の繰り返し……etc と、挙げ始めればキリがないですが、全部は紹介しません。今、皆さんがこのブログを読んでいるパソコンなりスマホなりで「Word ショートカット」と検索すれば全部出てきます。Excelも同じです。これを使うだけでかなり作業効率が上がるので、覚えておいて損は絶対にないです。最初は大変ですが、がんばりましょう!

 次にExcelグラフのテンプレートを作りましょう。これも同じく検索すればいくらでもやり方が出てきます。通常の近似曲線つきのグラフ、対数用のグラフを作っておくだけでもかなり負担が違います。あとはデータを取ってExcelの所定の位置にコピーするだけ。一瞬でグラフの完成です。



 ……というわけで、ここまで実験レポートを効率よく終わらせるコツをお伝えしてきました。もう知っている/実践しているという人はそれでいいですが、こう思った人もいるのではないでしょうか。


 最初からそんなにできるわけがない


 その通りです(←!?) 最初からこの3つのコツを完璧にこなせるなら、そもそもレポートに苦労しません。大事なことは少しづつ習慣づけて、スピードアップしていくことです。初めは中々できなくて苦労するかもしれませんが、そこで諦めずに踏ん張ってみましょう。まずは自分ができる範囲から、例えば参考資料を事前に借りて緒言を書くところから始めていくのはどうでしょうか。


 実験と座学の両立は難しいと思います。ですが、ここでしっかりと知識と技術を身に着けていくことで、将来研究室に入ったときにきっと役立つはずです。


 この記事を読んで、少しでも役に立ったと感じていただければ幸いです。



 大島


2021年10月29日金曜日

選書ツアーに参加してきました

こんにちは。

金曜日担当の江口です。

9月の中旬に開催された選書ツアーに参加してきました。今回はその感想についてお話しできたらと思います。


選書ツアーとは

選書ツアーとは、わたしたちラーニングサポートのスタッフが書店に行き、図書館に新しく入れる本を選ぶ企画のことです。


紀伊國屋新宿本店

今回の選書ツアーでは、JR新宿駅東口より徒歩三分の紀伊國屋書店新宿本店に行ってきました。

地下1階から7階までのビル1棟すべてと別館のワンフロアが売場となっている、非常に大きな書店でした。売場面積は1500坪で、書店では都内で三番目に大きな売場面積だそうです。

参加したラーニングサポートスタッフはわたしを含めて3名、これにメディアセンター職員の方2名を加えた総勢5名で本を選んできました。選んでいた時間は約2時間で、各自バラバラに書店内を回り、興味のある本を選んでいきました。




わたしの選定基準


選んだ本が理工学メディアセンターの蔵書に加わるとのことだったため、「個人的に理工学メディアセンターにあったらいいな」と思えるような本を選ぶつもりでした。ですが、書店内の本棚をめぐっているうちにそのような気持ちは薄れてゆき、結局はわたしが現在気になっている本をただただピックアップしてしまいました。

選んだジャンルとしては、「問題解決」関連の本が一番多くなったかなと思います。就活でも、「問題解決能力」のある人を欲している企業はわりとあると思いますし、授業や研究、人間関係についても日々過ごしていると何らかの問題が起こって、それを解決していくことが多いと思いますので。

最終的に、わたしは2時間で39冊の本を選びました。そのすべてが蔵書されるわけではなく、実際に蔵書されるのはその一部(半分程度?)にはなるかと思いますが、どれも読んでみるとなかなかおもしろいと思います。おすすめです。

わたしたちラーニングサポートスタッフが選書ツアーで選んだ本は、理工学メディアセンター創想館1階にて12月頃より展示される予定です。ラーニングサポートスタッフがどんな本を選んだのか、注目です!統一されたテーマではなく、様々なジャンルの本が選書されているので、自分の読書の幅を広げるきっかけにもなるかもしれません。興味を惹かれた本があったらぜひ借りていってください。


さいごに


わたし自身、図書館に蔵書される本を選ぶという貴重な体験ができて楽しかったです。
余談ですが、本を選んでいる間に面白そうな本を発見し、うっかり4冊ほど本を購入してしまい、思わぬ出費になりました・・・。最近はオンラインで本を買うことがほとんどだったのですが、本棚にずらっと陳列されている本の中からふと目に留まったを手に取り、面白そうだから購入するという、実際の書店ならではの偶然性を伴った本との出遭いもなかなか良いものだと改めて認識しました。



次回は、わたしが選書ツアーで選んだ本について紹介したいと思います。

それでは!

江口

2021年10月27日水曜日

機械工学科での6年 水曜担当田中


こんにちは!ラーサポ水曜担当の田中です!


今回は僕自身の経験を踏まえながら、修士課程を含めた機械工学科での6年間についてお話します。学部や学科選び等進路選択の助けになれば幸いです。


B1 学科選び

B1のときは正確には学科に所属していませんね。僕は学問1(2021年の学門制だと学門Aに相当)で慶応理工に入学しました。当時は漠然と物理に関することがやりたいと思ってこの学門を選択しました。就職にも強いだろうという気持ちで(あまり学門に臨む姿勢として正しくはないかもしれないが)、機械工学科と電気電子工学科(2021年現在は電気情報工学科)を進路として選べる点も魅力に感じていたのも正直な理由です。

そして実際に講義や学生実験に取り組む中で、物理の中でもさらに目に見える力学に興味を抱くようになりました。特に質点の挙動を微分方程式で記述でき、さらにはそれをコンピュータ上でシミュレーションできることに感動したことを今でも覚えています。そのため力学について詳しく学ぶことができる機械工学科に進学することを決めました。


B2 基礎科目を学び学問を深める

晴れて希望通り機械工学科に進学できました。ここでは高校の剛体力学の延長である機械力学や初めて触れる流体力学など多くの力学を必修科目として学びました。学期末になると課題やレポートの締め切りが重なって大変だった思い出があります( ´∀` )。この頃選択科目で学んだフーリエ変換やラプラス変換の証明は今でも役に立っているので、この時期は自分の中で知識の基盤を築けた期間だと感じています。


B3 興味のある分野を絞り研究室を決める

この時期からシミュレーションに関する講義が増えてきて自然とプログラミングに興味を持つようになりました。そして流体力学を学ぶ中で出くわす、解析的には解けないもののコンピュータによるシミュレーションを行うことで近似的な計算結果を得られるNavier-Stokes方程式に興味を抱き、流体関係の研究室への配属を希望しました。


B4 進路選択と卒業研究

研究室に入った当初は勉強会が続き、ひたすら研究の下地を整えていました。またそれと並行して進路について、大学院に進むか、就職するかで迷っていました。しかしある企業の説明会で、キャリアを充実させるためにも大学院で修士号を取得することを勧められたことをきっかけに、大学院への進学を決めました。

研究分野を大まかに理解した夏ごろに、卒業研究に本格的に着手し始めました。当時の僕のテーマはコンピュータによるシミュレーションであったので、先輩にアドバイスをもらいながらどうにか計算を回し、卒業論文を書き上げました。わからないことが多分にある中で、筋道をつけてテーマを発表することは、緊張感がありながらも楽しい経験でした。


M1 コロナと研究と就活と

この年の春からちょうど新型コロナの感染拡大が世論を騒がせ始めました。そのため4月や5月ごろは大学にも入れなかったので、家で論文を読んだり、当時流行っていた「あつまれどうぶつの森」に興じていました。そしてその夏から就活のインターン選考などが始まりました。修論の中間発表なども並行しながら就活に時間を割き、精神的に参っていた時期でもあります。


M2 修論

どうにか夏前には就活を終え、ついに修論に本腰を入れ始めます。卒論のときとは打って変わって、実験寄りのテーマであったのでB4のとき以上に大学に入り浸るようになります。夏ごろは実験装置の調整に時間を要し、秋に入って修論用の実験データを集め続けました。10月現在ではそれらデータを解析し、修論用にまとめ上げる作業をしています。修論の実験はB4以前よりも、科学現象を理解できている実感があり、これまでの学生生活の中で一番楽しい時間でした。これを修論としてまとめ、発表することが修士課程で求められることなのだと実感しています。


以上が僕の機械工学科での6年間であります。漠然とした興味から工学の分野に進み、その後流体力学という分野に進むとは入学当時は思ってもみませんでした。しかし、いくつもの選択をする中で徐々に自分の興味ややりたいことが鮮明になり、修了後の進路も満足いく結果に決めることができました。これから大学に進学したり、学科を選ぶ後輩の皆さんには恐れずに自分の興味と可能性を信じて進路選択をしていただければと思います。


田中





2021年7月21日水曜日

22卒 オンライン就職活動および役に立つ機材

  こんにちは。ラーサポ月曜担当の田中です!

今回は私が先日まで行っていたオンラインでの就職活動、特に役に立つ機材についてお話します!


22 卒の就活とは 

まず前提として私の就活のスケジュールを示します。主に日系企業を想定したものです。

新型コロナウイルスの流行に伴い、私はほぼ対面で選考を受けることはなく、インターネットを介したオンライン面接によって就職活動をこなしました。

     ・インターン1)はM1(3年生)の6月から申し込み開始。

     ・会社説明会はインターンと称して8月ごろから活発になる。

     ・OB訪問2)時期を選ばず行われる。

     ・M1(3年生)の3月からプレエントリー3)開始。(いわゆる就活解禁)

     ・エントリーシート4)やWEBテスト5)を行い、本エントリー6)を進めてる。

     ・早い企業は1月頃から面接するところもあり。

     ・M2(4年生)の3月から面接ラッシュ。


1) インターン                …理想的には就業体験。私が参加したものはオンラインGD(グループディスカッション)と会社説明会がセットになったものばかりでした。会社によって本選考に関わるものとそうでないものがあります。オンラインということもあり会社によっては例年の時期、内容と異なる可能性が多々あります。そのため就活情報サイトの情報だけに頼らず、自分で会社の情報をキャッチしていくことが重要です。

2) OB訪問       …学校のOBOGに話を聞きに行くこと。受ける会社の内情や選考のアドバイスなど伺うのがスタンダードです。

3) プレエントリー   …本エントリー前の情報を登録するだけの段階。選考に関する情報が得られるようになるので大事です。

4) エントリーシート  …履歴書のこと。「志望動機」「学生時代頑張ったこと」がメイン。別途、研究概要書の提出も求められます。形式は会社によって千差万別なので要チェック。

5) WEBテスト      …プレエントリー後にパソコンから受けるテスト。足切りとして機能します。感染症対策のため例年はテスト会場で試験を受ける企業も、今年は家で受けるものに変更していたところが多かったです。

6) 本エントリー               …採用面接に申し込むこと。


ンライン就活用機材

面接やGDをオンラインで行う、といったこと以外には特段例年の就活との違いはなかったと思います。そのため今回はオンラインでの就活を進める上で必要な機材を紹介します。私が使ってみて良かったと感じたもの順に挙げます。


・照明

    カメラに付随して照明も用意するとカメラ映りが明るくなります。化粧用のLEDリングライトが3000円ほどで購入できます。

・24インチほどのモニター

    面接やGDでは相手の顔を見たり、資料を見る機会が多々あります。そういった緊張する場面においてノートパソコンの小さな画面で作業等すると単純に疲れますし、小さな情報を読み取るためにしかめっ面になってしまいます。特に理系の就活の場合、研究概要書を見ながら面接官に研究内容を紹介する機会が多いので、画面は大きいものである必要があります。私は24インチのHPのモニターを利用しました。

・webカメラ

    オンライン面接では顔出しでテレビ電話を行うため必須です。またラップトップパソコン、デスクトップパソコン問わず、カメラの高さを自分の目線に合わせると印象が良いので別途スタンド等があると良いです。

    私は古いiPhoneをwebカメラとして代用し、スマホスタンドで位置を固定していました。webカメラアプリにはReincubate Camoを使い、Macに接続して利用していました。画質も良く、細かい光度の設定もできます。

・マイク

    イヤホンに備え付けのマイクでも良いですが、別途スタンドマイクを買うことをおすすめします。雑音が入るとそれだけで印象が良くない可能性があると思われるからです。私はFIFINE製の指向性コンデンサマイクを使っていました。自分の周囲の音を拾わずに声だけを拾ってくれました。3000円で購入できます。

・イヤホン

    特段派手なものでなければ問題ないと思います。ノイズキャンセリング機能があると面接の音声に集中できるので、その機能があるものを使うのがおすすめです。


以上が私のおすすめする機材です。これとは別に安定した通信をするための有線環境やある程度のスペックのPCも用意できると安心だと思います。また、パソコンの機能を通して、オンライン模擬面接の様子を録画などして見返すと、それをダイレクトに面接に活かすことができることもオンライン面接の利点だと思います。


いごに

今年度以降もオンラインでの面接は継続されると思いますが、その環境を整えることでオンライン面接の難易度も下げることができると思います。そして面接の基本となる、明るい笑顔を絶やさないこと、チームでの活動経験をアピールすること、自分の研究内容をストーリーを持って話すことを意識すれば就職活動も恐るるに足りません。頑張ってください。


田中

2021年7月6日火曜日

オンライン国際学会体験記

こんにちは。ラーサポ月曜担当の田中です!

今回は私が先日参加したオンラインでの国際学会についてお話します!


際学会とは 

国内外から研究者や学生が集まって各々の研究内容について発表や議論をし合う場です。

発表の形式には、研究内容を1枚の紙にまとめたポスター発表と複数枚のスライドにまとめた口頭発表があります。

主に大学院生以上の方が参加することが多いですが、大学問わず研究室によっては学部生の頃から参加する人もいるようです。

私はB4の卒論を終えた直後から学会の準備を始め、プロシーディング(学会用の論文)を書きました。


初の予定

私の場合、元々は昨年の秋頃にベルギーに行って、ポスター発表をする予定でした。

しかしコロナによって学会は半年以上延期になり、最終的にはオンラインで実施することとなりました。

(ベルギーで本場のワッフルを食べたかった...)


ンライン国際学会

満を持して、修士二年の春にオンラインの国際学会に参加することとなりました。

私が参加した学会は、事前に録画した研究発表動画をオンライン上で流して、並行して質疑応答をチャットで行う、といったものでした。

発表動画の録画は、まるでYouTuberになったようで面白かったです。加えてオンラインながらも、英語でのポスター作成は私にとって初めての経験ではありましたが、必要な情報を盛り込むと同時に見やすさを意識したりと勉強になりました。得るものは大きかったと思います。


いごに

論文の執筆やポスターの作成、その後の発表方法などたとえオンラインでも学べる点は多くあったので、みなさんも奮って国際学会での発表に挑戦して欲しいです!

田中

2021年5月12日水曜日

2021年度春 月曜担当 自己紹介

 こんにちは!今年度春のラーニングサポート 月曜担当の田中です!

専攻は機械工学で、研究室では泡に関する研究をしています(なんてニッチな)。最近の趣味は競技プログラミングで、AtCoderのコンテストにもよく参加しています。

今回は、過去のラーサポ学生の専攻でも珍しい(と私は聞いた)機械工学科と、私の趣味に関して紹介したいと思います。学部1年生の学科選びの参考になると嬉しいです。

機械工学科

主に高校で学んだ力学の延長のようなことを学ぶ学科である、と考えておけば誤解が少ないと思います。高校や学部1年で学ぶ微積分や線形代数などを基礎に、機械力学・材料力学・熱力学・流体力学といった諸々の巨視的な力について勉強していきます。もちろん、学科の名前から連想されるような設計、加工、制御なども勉強しますが、どちらかというと基礎的な座学がメインです。「ものづくり」がしたい!と思ってこの学科を選ぶと少し違和感を感じるかもしれません。その場合のお勧めはロボットサークルなどに入ることですかね。

私がこの学科に入って良かったと思ったことを挙げると、当初の予想よりも幅広い分野に触れられたことでしょうか。力学や設計だけでなく電子回路やプログラミングなどいろいろなことを広く知ることができました。

競技プログラミング

理工系の学生だと私と同じように取り組んでいる人も多いのではないでしょうか。これはプログラミングの中でも特にアルゴリズムの実装を行うもので、提示された問題に対して誰が速くかつ正確なコードを提出するかを競う、ある種のe-sportsです(ネットゲームともいう)。

そんな競技プログラミング、実は情報系の学生以外にもお勧めできます。というのも、研究ではデータの整理など分野を問わずプログラミングをする必要があるため、競技プログラミングをしておくとその作業がうんと楽かつ速くなります。最近では英語と並んで必須スキルになりつつあるプログラミングを、皆さんもはじめてみませんか。

さいごに

学科の勉強だけでなく研究室選びについてなど、なんでもご相談をお待ちしてます!


田中