~2つの研究室に所属した私から見た「研究室選び 1」~
こんにちは。 火曜担当の瀧田です。
前回に引き続き、誰もが悩むであろう”研究室選び”についてお話しします。
というのも、私自身学部と修士で分野が異なる研究室に所属したため、研究室の違いについて実体験に基づいてお話しできると考えているからです。
(どちらも研究室の学科は電気・情報系です)
~それぞれの研究テーマと内容~
・学部:テーマ「太陽光発電の電力予測における信頼区間推定」
目的:電力量の予測精度において、幅を持たせて見積もることで、再生可能エネルギーの需給バランスをとること
機械をいじるハード系の実験と、深層学習などを用いて電力量を予測するソフトウェア系の実験どちらもあり
・修士:テーマ「多カーネル適応フィルタに基づく、時系列データの成分分析」
目的:精度が高く・計算コストが小さいという特徴を持ち、様々な分野で応用可能なデータの分析・予測手法の構築
パソコン1台(とサーバー)さえあれば研究できるソフトウェア系のシミュレーションのみ
どちらも時々刻々と入出力データが変化する"時系列データ"の予測に関する研究ですが、学部では”統計学”からのアプローチ・修士では数学に基づいた”信号処理学”からのアプローチという点で異なります。
このように一見似たようなことを扱っていても、解決するためのツール=手段が異なれば、必要な学問も異なります。
~2つの研究室生活の違い~
次に、研究室の体制や雰囲気の相違点、共通点についてお話しします。
<共通点>
・1人1つのテーマで研究を進める(直属の先輩というものが存在しない)
・上半期、下半期それぞれ2回ずつゼミ全体の前で論文紹介や研究の進捗発表を行う
・コアタイムはなく、自宅で研究可能(ソフトウェア系はPCがあればどこでもシミュレーションできるから)
・(私の場合は)共同研究ではないため、企業とのミーティングなし
※情報系の場合、データの取得を自分で行うのは難しいケースが多いため、研究方法を検証するためのデータをいただけることは、企業との共同研究におけるメリットです。
しかし、月に1回以上企業向けの進捗報告がある / 企業とのディスカッションの時間を確保しなければならない / 自分の目的だけでなく企業にとって利益となるような目的も加わるため、研究の自由度が下がる可能性がある
など、時間・研究の自由度の面での制約は増えてしまうため、企業との共同研究かどうかも研究室を選ぶ際の軸としておくことをおすすめします。
<相違点>
大学院:国際学会での発表が目標
学部:国内学会での発表が目標
学部の研究内容は国内でも数多くの論文が多いのですが、大学院の研究内容は国内の論文より海外の論文が圧倒的に多いため、上記のような違いがあるのだと思います。
国際学会での発表が対面でできるとなると研究費で海外に行けるので、それも1つのモチベーションになるかもしれませんね。
大学院:グループミーティングあり
学部:グループミーティングなし(全体のゼミのみ)
大学院では全体のメンバーをテーマのある程度近い人同士で3グループに分け、毎週(隔週で先生も参加)進捗報告やディスカッションを行う制度が設けられています。
それによって直属のような先輩ができ、疑問点を質問しやすくなる・資料作成の際に添削をお願いしやすくなるためスキルアップに繋がる などの点から、グループ制orグループで1つのテーマを研究している所がおすすめです。
先生は想像していたより結構忙しいので、先輩がいた方が研究がスムーズに進みますよ。
ただ、グループでの進捗報告やその資料作成に時間を取られるため、自分から積極的に先輩と関係を築ける人には直属の先輩がいなくても良いかもしれません。
今回の内容は以上です。
次回は、就職活動を見据えた上での研究室選びや、やりたいことが決まっている人 / やりたいことがまだ見つかっていない人 それぞれに向けて、研究室選び第二弾を投稿予定です。
研究室選びで迷っている方がいらしたら、ぜひラーニングサポートデスクでご相談くださいね。