ラーニングサポート水曜日担当の高瀬です。
今年ももうすぐ終わろうとしています。去年の今頃何をしていたか、ふと考えてみると、卒論執筆していました。卒論を書くのは根気のいる作業だったのを覚えています。懐かしいですね。
今年も、就活や研究で大変ですが、充実した日々を送っています。
そんなこんなで、最近はなかなか本を読めていませんが、今回は私が大好きな小説を3つ紹介したいと思います。
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』BUN@914@Y100@1 (芝共立)
2004年出版。著者は、作家であり、ロシア語同時通訳でもある米原万里さん。彼女の両親は共産主義者ということもあり、少女時代をプラハのソビエト学校で過ごしていました。その経験をもとに、当時彼女のクラスメートであったギリシャ人、ルーマニア人、ボスニア人の3人の少女の消息をたどっていく作品です。共産主義やイデオロギーの対立といった大人たちの都合で翻弄されるそれぞれの少女の生き様が生々しく描写されています。読む中で、祖国とは何か、ルーツとは何か、を改めて考えさせられました。
文章は読みやすく、人物描写も巧みであるため、ストーリーにどんどん引きこまれていきます。
そして著者と彼女の友人との友情にも胸が熱くなる作品ですので、ぜひ一読してみてください。
『服従』B@953@Ho1@3B (日吉)
2015年出版。著者は、フランス人作家のミシェル・ウエルベック。日本ではあまり読まれない作家ですが、フランスではたえず論議を呼びおこす作家です。『服従』を発表した日に、シャルリー・エブド襲撃事件が起き、フランス国内外で大きな反響を呼び、フランスでは、60万部を超えるベストセラーとなりました。この作品は近未来のSF小説で、フランス大統領選挙で、イスラム政権が誕生するところから物語は始まります。その中で一人の大学教授が、金と若い妻を持てることに釣られ、イスラム政権に取り込まれていきます。最終的に、イスラム教に改宗し、自ら進んで”服従”していきます。イスラムの脅威に怯えながらも、排斥できない知識人の苦悩と受容を表現した小説です。
パリやブリュッセルの同時多発テロを予見したとして、欧米や中東で評判になった作品ですので、ぜひ読んでみてください。
『山椒魚戦争』B@989@Ca1@1 (日吉)
1936年発表。著者は、「ロボット」という言葉を作ったチェコ人作家のカレル・チャペック。この作品は、優れた能力を持つ山椒魚が家畜となり、人々の生活に普及したものの、やがて対立し、人類を追いつめるまでを描いたSFです。主題は主に2つあり、1つ目は、人間が生み出したものによって、人類が滅ぼされるという科学技術に対する風刺。2つ目は、山椒魚が人類を滅ぼそうとするときでさえ、人間同士は争いをやめないというナショナリズムに対する批判です。この作品の特徴は、人類と山椒魚について新聞記事や学術レポートが文章中に挿入される形式で、小説というより真実に迫っていくノンフィクションに近いスタイルであるところです。
科学技術の進歩の先に人間がたどり着いたものとは何だったのか、21世紀を生きる私たちにも問いかける作品です。
以上が私がおすすめする冬休みに読んでほしい小説です。
最近、スマホの普及で中高生の日本語の読解力が低下しているという記事を目にしました。同じ日本人として、日本語の文章を読んで正しく意味を取れないのは少し残念です。もちろん、読書の目的は、読解力の向上だけではなく、本を読むことで、想像力が高まったり、リラックスしたりすることだと思います。
冬休みは、まとまった時間が取れると思うので、ぜひ本を読んでみてください。
0 件のコメント:
コメントを投稿