2023年11月30日木曜日

大学院進学について ~外部進学と内部進学どっちがいいの?~(水曜担当 小野塚)

こんにちは!水曜担当の小野塚です。

学部3年生の皆さんはそろそろ研究室配属を意識し始める時期ではないでしょうか。

それと同時に、就職か大学院進学かを選択する時期でもあると思います。

一口に大学院進学と言っても、慶應に内部進学する場合と、他大学の大学院に外部進学する場合の2つに分かれます。


僕が学部1年生の頃、入学ガイダンスで某教授が

「皆さん大学院では東大東工大に行ってやろうと思っているかもしれませんが、最終的に大多数は慶應に進学することになります。」と仰っていました。

僕自身「東大東工大に行ってやろうと思っている」内の一人でした。

3年生くらいまでは外部受験を考えていましたが、結果として慶應に進学しています。

同期もほとんど慶應に進学していきました。

妥協したわけではなく、それなりのメリットがあったからです。

そこで今回は内部進学、外部進学それぞれのメリットとデメリットについてなるべくフラットな目線からお伝えしていきたいと思います。


1.研究内容

慶應の理工学部生は4年生になると研究室に配属され、研究生活が始まります。

夏ごろから本格的に自分の研究を始めることになりますが、ここで頭に入れておかなくてはならないことがあります。

研究内容を決定する際、内部進学生は少し大きめのプロジェクトに関わらせてもらえる可能性があるということです。

決して特別扱いを受けているわけではなく、きちんとした理由があります。

内部進学が決まっている学生は外部進学の学生や就職する学生よりも2年以上長くその研究に携わることが確定しています。

特に企業との共同研究の場合2,3年、長いと5年以上のプロジェクトになっている場合もあります。

指導教員や企業の方としては同じ学生が担当する方が助かりますよね。

このような理由から、内部進学生の方が研究内容決定においては少し有利になっています。


外部進学の場合にもメリットがあります。

外部進学をするということは、選択できる研究分野の幅が広がるということです。

例えば、同じ電気系の学科であっても大学ごとに特色があります。

慶應には強電系の研究室はあまりありませんが、一方で強電に力を入れている大学はたくさんあります。

慶應で3年間学んできたことで自分の興味の方向性もおおよそ定まってきた時期だと思います。

他大学の研究室も含めて研究室探しをしてみることで、ドンピシャな研究室に出会えるかもしれません。


2.受験

慶應の大学院に進学する場合、推薦制度があります。

成績上位者(GPAによって評価される)は推薦が貰えて試験無しで合格することができます。

もし推薦が貰えなかった場合、筆記試験や面接(口頭試問)を受験することになりますが、試験内容は学部の授業内容とリンクしているので、対策が容易です。

なので、他大学から慶應を受験する学生よりも圧倒的に有利です。

ただし、外部進学を表明すると成績上位者であっても推薦が貰えない場合があるようなので要注意です。


外部進学を目指す場合、無条件で筆記試験と面接を受けなくてはなりません。

ですが、先ほど述べたように院試の内容はその大学の授業内容とリンクしているため対策がとても大変です。

例え似たような学科を受験するとしても対策が難しい内容がどうしても出てきてしまいます。

複数の大学院に出願する場合にはその労力は2倍3倍に膨れ上がってしまいます。


3.学費

慶應が、というより私立大学はどこも学費が高いです。

大学院に進学すると多少安くなりますが、それでも年間110万円程度かかります。

一方で国公立大学に進学するとその半分で済みます。

これは非常に大きなメリットです。


4.就職

中には少しでも良いところに就職したくて外部進学を志す人もいるのではないでしょうか。

例えば東京大学大学院に進学した場合、その人は"東大の人"として企業から評価されます。

東大の方がなんとなく希望のところに行きやすそうな気はしますよね。

ですが、東大卒や東工大卒でないと就職できないところって実はあまりありません。

慶應のウェブサイトには過去の就職実績が掲載されているので、自分の行きたい企業があるか見てみると良いでしょう。

少なくとも、就職のためだけに外部進学をするのはオススメしません。


5.環境

内部進学であれば授業を通じてある程度教授の人となりが見えてきます。

また、学科の同期もなんとなく顔見知りなので大きく環境が変わることはありませんし、研究室に配属されてみて「想像と違った!」となる可能性は低いです。

ですが外部進学すると、大学院に入学するまで指導教員や他の学生の人となりが分かりません。

入学してみて波長が合わなかったら2年間辛い思いをしてしまいます。

そのため、念入りなリサーチが必要になります。


6.まとめ

様々な点から内部進学と外部進学を比較してみましたが、どちらも一長一短だと思います。

この記事で挙げたもの以外にも、皆さんが大学院に対して求めるものを思い浮かべて比較してみると良いのではないでしょうか。

少しでも進路選択の参考になれば幸いです。

また、分からないことや相談したいことがあればお気軽にラーニングサポートデスクまでお越しください。

お待ちしています!


小野塚


2023年11月28日火曜日

最近読んだおすすめの本の紹介(火曜担当 西出)

 

こんにちは!


毎週火曜日14:00~15:30を担当しています、応用化学科修士2年の西出です。

今回は私が最近読んだおすすめの本を紹介させていただきます!

ズバリ、その本はスタンフォード式 最高の睡眠です!

👇KOSMOSでは以下のリンクから飛べます!👇

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990025443100204034

日吉、理工学メディアセンターにそれぞれ置かれている本ですので、興味のある方は読んでみてください!


睡眠について思うこと

”睡眠”、毎日当たり前のように行っており、人生の1/3を占めるものですが、私自身睡眠が得意とはあまり思いません。毎日やっているはずなのに、実はあまり睡眠のことを知らなかったりします。

寝つきがよくない日もあったり、長い時間寝たと思ってもなかなか疲れが抜けていなかったり、私と同じように睡眠について悩みを抱えている方は少なくないはずです。

私は平日は水曜日ぐらいから日中眠いと感じる時間が増え始め、金曜日に睡眠不足がピークに達し、土日のどちらかは多くの時間を睡眠に費やすという生活リズムで生きていました。しかし、今の生活リズムのままだと、平日の研究(将来は仕事)中心の生活になってしまい、自分の時間をあまり確保できなくなってしまう、、、ということに気づき、できるだけ1日の疲労はその日のうちに回復し週末は自分の時間を確保したい!そうすることで平日の研究に打ち込む時間の効率も必ず上がるはず!と考えるようになりました。

そんな背景もあり、手に取ってみたのが今回紹介する本です。きっかけはSNSでの紹介でした。”スタンフォード”、”最高の睡眠”、これらの言葉に惹かれたのもあり、本屋さんに行ってすぐに購入しました。


実際に本を読んでみて

この本を読んでみて、まず印象に残ったことは睡眠の重要性でした。睡眠不足になることは皆さんが思っている以上に日々の生活に悪影響を及ぼします。スタンフォードでは実際に睡眠不足がどんな悪影響を及ぼすかを実験しており、注意力などが睡眠不足によって著しく低下する結果も得られています。

またこの本では睡眠という現象について、実際に眠る時間だけでなく、布団に入ってから眠るまでに必要な時間、またその前の食事やお風呂の時間など、”最高の睡眠”のための準備時間から詳しく論じられています。睡眠は体温と密接な関係があることが明らかになっており、それにはお風呂に入った後での体温変化が深く関係しています。

また睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があることを聞いたことがある人は多いと思います。本書ではこの2種類の睡眠とその周期についても論じられており、睡眠の中でどの時間が最も重要なのかという話は非常に面白かったです!

この他にも人が電車に乗っていると眠くなる理由やそば殻まくらのいいところなど、私が知らなかった知識が多く記述されており非常に参考になりました!


さいごに

いかがでしたでしょうか?

最初にも述べたように、睡眠に悩みを抱えている方やもっと疲れを取りたい!と考えている方は多いと思います。もしここまで読んでいただいた皆様やお知り合いにそのような方がいらっしゃれば是非手に持ってもらえると良いと思います。

本書でも記述されていましたが、”人生の1/3(眠っている時間)を変えれば、残りの2/3(起きている時間)も動き出す”というフレーズはまさにその通りだと思います。

睡眠不足の生活から抜け出すためにもぜひぜひ読んでみて下さい!

ここまで読んでいただきありがとうございました!


西出

2023年11月14日火曜日

研究室選びについて(火曜担当 浦野)

2023年度秋学期ラーニングサポート火曜12:30~14:00担当の浦野です。

理工学メディアセンター本館1F レファレンスデスクにて、月曜~金曜12:30~15:30にラーニングサポートスタッフがお待ちしております。

スタッフの出身学科や研究室などはウェブサイトなどで確認できるので、ご希望のスタッフがいる日時にぜひお越しください。

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今回のテーマは研究室選びです。

学科により方法は異なるかと思いますが、そろそろ研究室見学が始まる時期なのではないでしょうか。

研究室選びの際、最も参考になるのが研究室見学です。

会社選びのためにインターンシップに行くのと同じイメージです。

今回は研究室見学において、気をつけるべきポイントをご紹介します。


① コアタイム

研究室によっては「原則何曜日の何時~何時は研究をしてほしい」というコアタイムがあります。キャンパス内でしか実験ができない学科に所属している研究室は概ねコアタイムがあります。勿論学生の本分は学業なので研究を優先すべきですが、学業が全てではないと私は考えています。プライベートも大事にするべきですし、「バイトと両立したい」でしたり、「学部4年の最初は就活に集中したい」といった事情があるかもしれません。コアタイムが存在しても、そういう場合に受け入れてくれる研究室かどうかは確認しておいた方がいいと思います。


② 大学院進学率

学科によってかなり異なりますが、研究室は学部1年間+修士(前期博士)2年間在籍できます。博士(後期博士)まで進む人は追加で3年間以上在籍できます。研究内容によっては、修士課程に入るのが前提でテーマが与えられる研究室もあります。学部で卒業予定の方は研究室の方針をしっかり確認しておきましょう。


③ 研究テーマ

1つの研究室でも研究テーマはたくさん!どういう研究テーマがあるのか教授や先輩に確認し、研究室見学のときには自分の希望をしっかりと伝えましょう。希望をしっかり伝えていないと、あまり自分にとって関心のないテーマになる可能性があります。


➃ 上記の他に自分が重視したいことを見つける

研究室見学では、教授か先輩と話す時間が貰えます。研究室に所属してから、重視したいことが満たされていないと判明したら大変です。教授や先輩と話す時間が貰えたら、確認事項はしっかり確認しておきましょう。


以上が研究室選びに関する私からのアドバイスです。

応用化学科出身のため、応用化学科に寄った内容になっているかもしれませんが、少しでも皆さんの研究室選びの参考になったら幸いです。

ラーニングサポートでは皆さんの研究室選びに関する相談も受け付けています。メディアセンターウェブサイトより各曜日のラーニングサポートスタッフの出身学科が確認できるので、ご都合が合えば是非お越しください!




2023年11月10日金曜日

SPring-8のサマースクールに参加して (金曜担当 大渕)

こんにちは、担当曜日が木曜日から金曜日にお引越しになりました、化学科の大渕です☺

学会や研究室内での発表に追われ、執筆がとても久しぶりになってしまいました、、気付けば11月。今年も残すところあと2ヶ月ですね。年内も健康に頑張っていきましょう!

さて、ここからは7月にサマースクールに参加するために足を運んだ放射光施設、SPring-8について紹介しようと思います。私は普段KEKという別の放射光施設を使っていて、あまり使わないのでそこまで詳しくはありませんが、SPring-8とKEKの似ている点、異なる点について紹介できたらなと思います。

   
何のための施設?

放射光と聞いて真っ先に何を思い浮かべるでしょうか?放射線と結び付けて身体に悪そうと感じる人がほとんどかもしれませんね。確かにかなり微量ではありますが放射線も生じています。しかし身体に被害が出るようなレベルではありません。

放射光施設では電子を大きなリングで高速回転させ、それにより発生する質の良いX線を利用し、表面を分析する様々な実験を行います。

SPring-8ではリングから放出されたX線が50個ほどから成る実験ステーションまで届くようになっており、そこで実験を行います。X線はエネルギーにより種類が異なり、エネルギーが高いと硬X線、低いと軟X線に分類され、それにより実験ステーションに設置する装置の外見が大きく異なります。SPring-8は日本最大級のリングを有しており、それに伴って放出できるX線のエネルギーも大きいため、ほとんどの実験ステーションが硬X線を利用しています。ちなみにKEKはリングが小さいので、軟X線、硬X線を使っているステーションは半々くらいです。


どこにあるの?

兵庫県相生(あいおい)市にあります。新幹線でJR相生駅まで行き、そこからさらに1時間ほどバスに乗ります。私の場合、自宅から4時間ほどかかりました。もっとかかりそうですが、案外短時間で行けて驚きました。

なかなか来ない駅なので記念に撮りました。新幹線の駅なのにとてもこじんまりとしていて周りには山しかなく、来て早々不安になりました。笑


標高が高いので7月だったのにとても涼しく、晴れていると遠くの方まで見渡すことができます。また高い建物がとても少ないので空が開けており、開放感のある施設です。街灯が少ないので、夜は星が良く見えます。この写真は友人と20:00頃にお散歩した際に撮影しました。

また敷地内では野生のシカを群れで何度か目撃しました。昔はもっと居たみたいですが、今では頭数が減少しているようです。

ここで1つマイナスポイントとしては敷地内にあるコンビニが18:00で閉店してしまい、1番近くのコンビニでもバスで2駅分かかるという点です。全くコンビニエンスじゃないといって話題になりました(笑)20:00頃にお菓子を食べたくなり、友人と1時間ほど歩いて近くのコンビニまで行きました。今となっては楽しい思い出ですが、よくよく考えてみると野生の動物が出てきて襲われたりしなくて良かったな、と思います。


何で移動するの?

施設が広いので基本的に自転車で移動します。自転車に乗れない人はかなり大変です、、、さらに驚くことに実験ホール内が広すぎて入口から真反対にあるビームラインまで歩くと30分ほどかかるので、実験ホール内も自転車で移動します。この写真を撮ったときはホールの見学中だったのでみんな歩いていますが、ここを自転車で移動します。かなりびっくりします。

ちなみにKEKの実験ホール内は歩いて移動できる数しか実験ステーションがないので、自転車で移動するのは実験ホール外のみです。


どこに泊まるの?

SPring-8が運営している宿泊施設に泊まります。何棟かから成るマンションを思い浮かべてもらえれば良いかと思います。施設の出口から実験ホール入口までは歩いて約5分ほどで、普段学校まで1時間かかっている私にとってはかなり好立地でした。お部屋にはベッドとお風呂、机、トイレがあり、キッチンや洗濯機は共同でした。ここでとても便利だなと思ったのはKEKと違いユニットバスではないことです。普段利用しているKEKの部屋はユニットバスなので、SPring-8のお風呂がかなり広く感じました(笑)


サマースクールで学んだこと

サマースクールは4日間開催され、最初の2日で放射光やX線を使った研究の基礎を講義形式で学び、最後の2日で実際に放射光を使って実習を行うタイムテーブルでした。実習は事前に自分がやりたい内容を第6希望まで提出し、そのうち2つのテーマについてそれぞれ1日で測定から解析まで行うというものでした。私は普段行わない結晶の構造解析と、SPring-8ならではの硬X線を使った測定を選びました。装置の構造、測定手法が普段とは全く異なり、基礎的なことから学べたので良い機会になりました。また実習に携わってくださった先生方がとても和気あいあいとしていて雰囲気が良く、普段の測定中は先生とほとんど雑談をしない私にとっては何だか新鮮でした。研究に没頭することも大事ですが、休めるときは休んで、集中するときは集中して、というメリハリが取れているなと感じました。


皆さんにとって少しでも放射光施設が身近な施設となったら良いな、と思います。

今回私が参加した大きな理由は普段使っているKEKとSPring-8では何が違うのか、ということを肌で実感するためでした。SPring-8は日本最大級の放射光施設なのでとても広いということは聞いていましたが、実際に目の当たりにすると本当に大きくてKEKの施設がとても小さく感じました。特に実験ホールは一周するのに徒歩1時間もかかり、20分もあれば一周できるKEKとは大違いでした。

また座学、実習を通して放射光について学習できたことはもちろん、研究をしている同世代の友人ができたこともとても大きいなと思いました。普段から放射光を使った実験をしている人はもちろん、全く違う分野で研究しているけれど興味をもって参加した人もいて、どんな研究をしているのか、自分の研究の面白みはどこにあるのか、なぜ参加しようと思ったのかという理由に対してたくさんの意見があって、1つのことに対して多角的な意見があるのはとても面白いなと改めて感じました。また自分にとっての"当たり前"を良い意味で覆してくれ、発想することの楽しさを感じました。それぞれに研究に対する悩みや将来に対する悩みなどがあって、皆同じように悩んでいることに少し安心しました。


普段の環境から離れることに少なからず不安がありましたが、参加して良かったと思います。皆さんも参加しようか悩んでいる行事やイベントに少しでも参加してみてください。何か新しい学びや発見が得られるかもしれません。


ではでは!


大渕


2023年11月9日木曜日

化学科・理論化学研究室の実際(木曜担当近藤)

こんにちは!

毎週木曜12:30-14:00を担当しております、化学科修士1年の近藤です。

最近は研究室選びで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。私の所属する理論化学研究室(畑中研)は化学科で唯一実験を行わない研究室なので、他の研究室とはだいぶ毛色が違います。今回はそんな理論化学研究室について簡単に紹介させて頂きます。多くの方が抱いているであろう疑問に対して回答するというQ&A形式で進めたいと思います。


Q1. そもそも何をしている研究室なの?
A1. 実験以外のことは何でもやります


知りたいことが最初にあり、それを知るために有効そうなアプローチは何でも行います。畑中先生の授業を受けたことのある方は「機械学習の研究室」という印象を持たれているかもしれませんが、実際には機械学習以外にも、電子状態計算、反応経路探索、分子シミュレーション、量子コンピュータなど、あらゆる計算手法に手を広げています。これらの計算手法の中から研究テーマに合ったものを選んで(あるいは組み合わせて)、真理を探究しています。例えば私の場合、水分子の運動について研究しているので、水のシミュレーションを行っています。


Q2. 研究の良いところ、魅力は?

A2. アイデア次第でオリジナリティの高い研究が簡単に実現するところ


オリジナリティの高い研究をするためには、新しい研究手法の開発が不可欠です。実験の場合、新しい実験装置を用意する必要が出てくることもあり、全く新しい研究の実現には高いハードルが存在します。一方で、計算科学における実験装置はプログラムです。プログラムの書き方次第であらゆる計算を実現することができます。例えば、摩擦の存在しない世界をシミュレーションしたり、重力が3倍の世界をシミュレーションしたりといったことも可能です。何か新しい計算方法を思いついたら即座にプログラムを書いて実現できるのが計算科学の良いところです。あなたのオリジナル計算法を是非開発してみて下さい。


Q3. 大体の研究の流れは?

A3. 目標設定→研究方法の模索→計算→卒論


最初に先生と相談し、研究テーマを決めます。強い希望があれば別ですが、毎年先生がそれなりの数のテーマ案を提示してくれるので、その中から選ぶ人がほとんどです。実は、このテーマ決めの前にプログラミング講座と簡単なレポート課題があり、それが性格診断の役割を担っているので、その結果をもとに各メンバーに合ったテーマを勧めてくれます(勧められたテーマを選ばなくても大丈夫です)。テーマが決まったら、その研究のために勉強すべきことが何か、先生が教えてくれます。その指示をもとに、計算のやり方や計算対象についての勉強を始めることになります。勉強にはそれなりの時間がかかるので、春学期は勉強だけで終わると思った方がよいです。といっても、座学だけでなく、実際に簡単な計算をしたりプログラミングを書いたりすることはあるので、結構楽しいです。秋学期に入り、必要な知識が集まったら本格的な計算が始まります。予想通りの計算結果がすんなり得られることは稀です。ほとんど場合、予想と違ったり、よく分からないバグと遭遇したりします。計算結果は先生に報告し、ディスカッションを通して計算結果を考察したり、新たな方針を考えたりします。そしてまた計算です。計算とディスカッションを繰り返し、ある程度結果がまとまったところで、卒論の執筆が始まります。これを書き上げ、提出すれば4年生としての研究は一段落です。


Q4. ブラックですか?

A4. 化学科の中ではかなりホワイト


研究を家でもできるということがプラスに働いています。コアタイムは10:00-16:00ということになっていますが、厳密なものではなく、研究室に来ない日もざらにあります。また、一度計算機に命令を出したら寝ていても研究が進みます(実際には計算が問題なく進んでいるか確認する必要はありますが)。他の研究室では平日に実験を行い、土曜に論文紹介や進捗報告を行うところもあるようですが、畑中研では土曜は完全休日です。ただし、2、3週間に1回の頻度で進捗報告を行うので、あまりにも研究をさぼっていると先生から詰められます。ぬるい研究室ではありません。


Q5. 就職先はどうなの?

A5. IT系が多い(化学系もあり)


最近人気の高まっているITコンサルやシンクタンクに行く人が多い印象です。研究で機械学習に熟達していると、インターンのときにアピールしやすいようです。一方で、最近は化学メーカーの計算科学者需要も高まっており、そちらに行った先輩もいます。具体的な企業名を知りたい方は研究室見学にお越し下さい。


Q6. 研究室の雰囲気はどう?

A6. まったり穏やかな雰囲気


2023年度の理論化学研究室のメンバーは畑中先生、稲垣先生をはじめとして、特任助教が1人、D2が1人、M2が4人、M1が4人、B4が4人の計16人です。メンバーは全員穏やかな性格ですが、畑中先生を中心としてお酒好きな人が何人かいるので、飲み会のときは盛り上がります(アルハラはないので安心してください)。先生が女性で、且つ女子メンバーが2名在籍していることもあり、女子学生さんにとっても過ごしやすい環境だと思います。また、畑中先生も稲垣先生も面倒見のいい先生で、研究やそれ以外のことに関しても相談すると真摯に対応してくださります。お二人とも、学生を放っておくタイプではないので、研究をしていく中で完全に途方に暮れることはないと思います。


Q7. プログラミングとかしたことないんですが...

A7. 未経験者歓迎(マジ)


新4年生は3月に畑中研に来てプログラミングを学ぶところから始めます。畑中研は初心者向けのプログラミング教材が充実している上、先生の教え方もうまいので、1か月足らずで最低限のコードは書けるようになります。元未経験者として保証します。


Q8. 数学が得意じゃないんですが...

A8. 全く使わないわけではないが、得意である必要はない


教科書や論文の中で数式が出てくることはあるので、数式アレルギーはない方がいいです。また、プログラムを書く上で線形代数の知識があると得をすることがあります。とはいえ、自分で手計算をする機会はそこまでありませんし、計算内容も高校数学以下のレベルであることがほとんどです。大学レベルのマニアックな微積分などはほぼありません。高校数学+基礎レベルの線形代数の知識で十分です。


Q9. 研究室の短所・気になる点は?

A9. 他のメンバーの研究が理解しきれないところ


上述の通り、理論化学研究室の研究範囲は広く、同じ研究室のメンバーでも全然別のことをやっていたりします。その上、各々の専門性が高いため、同期ですら何をやっているのか分からないことがあります。進捗報告で他のメンバーの研究の話を聞く機会はあるのですが、それを理解することが難しいです(私が不勉強なだけかもしれませんが)。とはいえ、自分から少し離れた研究の話を聞けるのは魅力でもあります。細部を理解できなくても気にせず、大枠で理解しようと頑張っているところです。それと、誤解のないよう断っておくと、個々人が完全に孤立しているわけではありません。全然別の研究をしている人がいる一方で、似たような研究を行っているメンバーもいます。特に、計算ツールの使い方などは先輩に聞けるので、そこから交友が広がったりします


Q10. 研究室に入る前にやっておいた方がいいことはありますか?

A10. 特にない


化学Aや分子量子化学の復習をしても良いですが、研究室に入ると「輪講」という勉強会に参加することになるので、そこで量子化学を復習できます。余裕を持って輪講に臨みたいのであれば、量子化学の復習をしておくのもありだと思いますが、絶対にやるべきことと言う程ではありません。それと、PCの操作に慣れていない人はブラインドタッチ(キーボードを見ずにタイピングすること)の練習をしておくと少しだけ得できます。ブラウザで遊べるタイピングゲームが幾つかあるので、それらを活用してみてください。とはいえ、これに関してもそこまで重要ではありません。研究室でプログラミングしているうちにタイピングは自然と速くなります。


最後に


ここまで読んで頂き、ありがとうございました。現在(11月)、畑中研では研究室見学を受け付けております。畑中研ホームページから見学可能な日を確認できますので、見学希望の方はそちらで日時を決めてから畑中先生にメールでお問い合わせ下さい。冷やかしも大歓迎です!無理やり勧誘するようなことはしないので、是非覗いて行って下さい。
また、化学科の研究室選びで悩んでいることがあれば、是非ラーニングサポートまでお越し下さい。ご相談お待ちしております。

近藤

2023年11月7日火曜日

卒論と戦う理系大学生へ LaTeXのすゝめ(水曜担当 武田)

 ご覧いただきありがとうございます!

水曜12:30~14:00にデスク(メディアセンター本館の自動ドアを過ぎた先すぐ)におります、武田です。

この記事では、卒業論文をこれから書く大学生に向けて、LaTeXの便利な機能や使い方について説明します。なんとなく便利そうだなと思ってもらえれば嬉しいです。

何かありましたら、遠慮なくお聞きください。お待ちしております!


◎LaTeXってなんだ?


簡単に言えば、Wordのように文書を作成できるもの、です!
個人的には、数式に強い文書組版ソフト、と認識しています。
LaTeXに関する記事は、ラーニングサポートブログでも度々書かれており、気になる方は以下の記事も読んでみると面白いと思います。
LaTeXのすゝめ(2018年12月14日)
https://riko-learningsupport.blogspot.com/2018/12/latex.html
LaTeXエディタのすすめ(2022年12月9日)
https://riko-learningsupport.blogspot.com/2022/12/latex.html

実際にLaTeXを使って書いた数式が以下になります。





このような数式は、WordやPowerPointなどでも「数式の挿入」という機能を使うことで再現できます。しかし、使いたい数式を探すのが大変であったり、そもそも見つからなかったりします。また、卒論などで大量の数式や図、表を挿入すると、動作が重くなることもあるかと思います…
ところがLaTeXでは、簡単に数式が入力でき、文書を書いている間に動作が重くなることもほとんどありません。(コンパイルに時間がかかることはありますが!)
少し練習が必要ですが、慣れてしまえば大変便利なソフトです。

※「コンパイル」とはここでは、私たちが書いた命令をもとに、実際の文書を組み上げる行為のことです。


◎便利な機能


では、LaTeXではどんなことが出来るのか、そのイメージを紹介します。
具体的に実行する方法は、最後に載せてある文献を参考にしてください。また、ネットを調べても色々なサイトが出てくると思います!

  • 自動的に、論文のタイトルや著者名、目次、本論などの構成を組み、作成してくれる
    • これがLaTeXの1番の特徴です。LaTeXでは、自分で文字のフォントやサイズを指定する必要がありません(もちろん、自分で指定することも可能です)。私たちは、タイトルには○○を書く、第1章の第1節には△△を書く、まとめには■■を書く、などと命令するだけでよいのです。その命令をもとに、章の題名や本文など、それぞれに適したフォントやサイズで自動的に文書を作成してくれます。

  • 式や表、図の番号を自動で振ってくれる
    • 理系の皆さんは数式や表、図に番号を振ることは必須だと思います。LaTeXでは、私たちが直接書かなくても、登場する順番で番号を振ってくれます。途中に書き足した場合も、自動で振りなおしてくれるため、大変便利です。もちろん、本文中で引用する際の番号もその都度、更新してくれます。
  • 分割してコンパイル、まとめてコンパイルをすることができる
    • 個人的には1番役に立った機能です。卒論など大量のページにわたる文書を、毎回全てコンパイルしていては時間がかかります。例えば、章ごとに分けて文書を作成し、最後にまとめてコンパイルする、といったことが可能です。
  • 参考文献を引用の順番で書いてくれる
    • 本文に登場する順番で、最後の参考文献を自動的に並び替えることができます。卒業論文レベルでは、あまり気にしない人もいるかもしれませんが、揃っていると綺麗な論文という印象を受けます。
    • 他にも、bibtexというデータベースも利用できます。これは、本文で引用した場合に、参考文献に入れてくれるという機能です。引用したもののみを、自動で参考文献リストに入れてくれる便利なものです。


調べてみると、さらに多くの機能があると分かります。
私の経験則ですが、私や皆さんが考えることは既に先人も考えています。こんな機能があったら便利だな、、、と思ったら色々調べてみましょう!
きっと、既に誰かが用意してくれています!

◎参考文献


LATEX2ε 美文書作成入門 / 奥村晴彦, 黒木裕介著

                
最近?(2020年)に改訂版が出版されており、長く愛されている本と分かります。
私はこの本と共に、LaTeXの導入から様々な機能の拡張、卒業論文の執筆まで行いました。
理工学メディアセンターにも蔵書がありますので、一度手に取ってみてはいかがでしょうか?
皆さんの研究生活や卒論執筆を応援しております。


武田



2023年11月6日月曜日

サイエンスカフェの感想(木曜担当 高城) 

こんにちは!
ラーニングサポート木曜日担当の 高城 です。

・機械系の授業でわからないことがある

・研究で困っている

・学校生活に関して相談したい

という方、是非お気軽にお声掛けください!
毎週木曜日 14:00~15:30 理工学メディアセンター本館1階 レファレンスデスク
にてお待ちしています。

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皆さんは理工学メディアセンターでイベントが開催されていることを知っていますか?
先日10/18には「第23回 サイエンスカフェ」と呼ばれる講演会形式のイベントが開催されました。
そこで私は司会進行役を務めてきたので、その雰囲気と感想を紹介したいと思います。

今回のサイエンスカフェは、機械工学科の佐野友彦先生をゲストスピーカーにお迎えし『しなやかさのすゝめ』という演題でご講演いただきました。

サイエンスカフェの司会進行は毎回メディアセンターの院生スタッフが担当することとなっており、今回は機械工学科の私が担当しました。
佐野先生とは授業での関わりや研究室見学にお邪魔したというご縁もあり、久しぶりにお話しすることができてとても嬉しかったです。


ここからは当日の様子をいくつか紹介します。

①たくさんの参加者

当日は現地で20名程度、オンラインで10名程度の参加者がいました。
学部1年生の学生から大学院博士課程の学生、先生方や、矢上キャンパスの職員の方など様々な方が来場されていてとても驚きました。
事前申込制ではありましたが、当日急遽参加する方もおり、気軽に参加できるハードルの低さが魅力だと感じました。

会場の様子

②飲み物とお菓子をもらえる!

私は今回サイエンスカフェに初めて参加しましたが、なんと、開会前に飲み物とお菓子を頂きました!(下部写真参照)
飲み物はお茶や紅茶、コーヒー、ジュースなど8種類くらいの中から選ぶことができました。
講演中、イベントエリアの中であればこれらを飲食することもでき、皆さんリラックスして参加されていました。
他にもメディアセンターグッズ(バッグや付箋など)ももらえました!嬉しい!

当日の配布物

③和やかな雰囲気と活発な質疑応答

講演内容は、佐野先生の生い立ちから始まり、とても和やかな雰囲気でした(所々笑い声もあがりました)。
学部生や専門外の人にもとても分かりやすい内容で、終始興味深い講演でした。
また、ポスドク時代のスイスでの研究など、どのような研究に取り組み、どのような経緯で現在に至ったのかを楽しく聞くことができました。

講演後には質疑応答の時間が設けられましたが、来場者、オンライン参加者問わず、多くの人から質問が挙がりました。
途中何度か笑いもあり、全体としてとても楽しい雰囲気だったと思います。

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最後に

メディアセンター主催のイベント。
学内で宣伝ポスターを見かけたり、関心があったりしても、堅いイメージや参加しづらい印象を持っている人いませんか?
今回の記事で実際の和やかな雰囲気をお伝えできていると嬉しいです。

実は気軽に参加していいサイエンスカフェ。次回の参加をお待ちしています♪

高城

機械工学科ってどんなとこ?(木曜担当 高城)

こんにちは!
ラーニングサポート木曜日担当の 高城 です。

・機械系の授業でわからないことがある

・研究で困っている

・学校生活に関して相談したい

という方、是非お気軽にお声掛けください!
毎週木曜日 14:00~15:30 理工学メディアセンター本館1階 レファレンスデスク
にてお待ちしています。

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さて、今回は私の所属する【機械工学科】について紹介したいと思います。

塾生はよく知っていることと思いますが、慶應義塾大学理工学部では「学門制」を導入しています。

(出願)     学門A~Eのいずれかを選択し受験
(学部1年)  自分の興味や関心に応じて学びたい分野を絞る
(学部1年冬頃)希望する学科を選択(基本的には成績上位順に希望が通る)
(学部2年)  各学科へ進級

学部2年生に進級する直前に「学科」を選択するわけですが、それぞれの学門から進める学科には原則として制限があり、その中から1つを選択することとなります。
(例えば、学門Aからは物理学科、物理情報工学科、電気情報工学科、機械工学科のいずれかに進むことができます。)

今回紹介する機械工学科へ進むことができるのは「学門Aのうちの20%」と「学門Dのうちの50%」です。
学科分けを控えている学門A、Dの1年生や、出願する学門を悩んでいる受験生の参考になれば幸いです。

機械工学科の魅力

①4力が学べる
4力とは「機械力学・材料力学・流体力学・熱力学」の4つの力学のことです。
近年、どんどんと最新技術が発達していますが、4力はあらゆる先端技術に共通して必要となる基礎的な知識です。
機械工学科に進学すると、4力を学部2年生から必修として学び、さらには「機械工学創造演習」をはじめとする豊富な実技科目で応用します。
最終的には卒業研究で最先端の研究に取り組むことになりますが、学んだ4力の知識はとても役に立ちます。

②実践的な科目が多い
機械工学科の必修科目にはハードウエアの企画・設計・製作を実体験できる「図形情報処理」や「形状情報の表現」などの授業があります。
また、学生一人ひとりが独自の課題を立案・研究し、ポスターにまとめて発表する「機械工学創造演習」という授業もあります。
このように、座学だけでなく技術的なノウハウを学ぶ機会や課題設定力・解決力を養う機会があることも、機械工学科の魅力の一つと言えます。

③人数が多く友達も増える!
機械工学科には1学年130人以上が在籍し、理工学部内で最も大きな学科です。
学部2年、3年の必修の授業ではグループワーク、グループ実験もたくさんあり、友達を作りやすい環境にあると言えます。
私も同じグループで仲良くなった友達はたくさんいて、学内で見かけて「久しぶり!最近どう?」なんて会話は頻繁に起こります。
また、女子もそれなりにいるため、女子同士みんな仲良くなります。
(女子比率は少ないですが…)

機械工学科のその先(進路)

公式HPによると、機械工学科の学生は学部4年間を卒業後、約70%が大学院前期博士課程(修士課程)に進学し、その内の約10〜20%が大学院後期博士課程(博士課程)に進学するそうです。

また、機械工学は非常に幅広い領域に通じる学問であるため、卒業生の就職先は多様です。
主に、メーカー(電子機器・自動車・ロボット・医療機器・化学・食品)、IT/通信会社、ソフトウエア開発会社、インフラ系(電気・ガス・運輸関連)などが多いですが、
他にも商社、広告代理店、建設会社、大学教員、公的機関の研究者、起業家など、多岐にわたります。

私もこの夏インターンシップに参加しましたが、そのほとんどがコンサルティング系の会社でした。
理系的な知識だけでなく、研究活動内で培った論理的思考力や課題の整理能力、発表スキルなど、理工学部で学んだことが多く活かされたと感じています。

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最後に

実は学科によってカラー(雰囲気)は全然違います。
とにかく必修が多い学科や実験のための登校が多い学科、レポートが多い学科、女子が多い学科などなど。
学科選択に迷ったら知り合いの先輩に相談してみるのといいと思います。
もちろん、ラーニングサポートの活用も大歓迎です。
お待ちしております😆

高城

機械工学科HP:https://www.mech.keio.ac.jp/

2023年11月1日水曜日

電気情報工学科について(水曜担当 小野塚)

 

こんにちは!

水曜担当の小野塚です。


今回は、私が所属している電気情報工学科についてご紹介します。

長い学科名なので、電情、あるいはE科などと略して呼ばれています。

機械工学科、応用化学科と並んで理工学部の中で最も歴史が長い学科ですが、一方であまり人気が無かったり(?)、何をしているのか見えにくい部分も多々あります。

そこで、電情5年目の私がその魅力をお伝えしたいと思います!

学科分けを控えている1年生や、研究室配属を考え始めた3年生の参考になれば幸いです。


何ができるの?

電気情報工学科とは、一言で言うと「世の中の目に見えるモノがどんな仕組みで動いているのかが分かるようになるところ」です。

詳しく説明していきます。

電情の研究分野は大きく分けて以下の3つの分野に分かれています。

①半導体や回路を扱うエレクトロニクス

②レーザーや光通信を扱うフォトニクス

③信号処理や無線通信、制御を扱うインフォマティクス

専門的な内容は研究室配属後に改めて学ぶことになるので、3年生まではそれぞれの概要を横断的に学習できるようにカリキュラムが組まれています。

これら3つは一見バラバラの内容に見えますが、密接に関わりあって様々なサービスやシステムを実現しています。


例えば携帯電話にはどのような技術が用いられているでしょうか。

携帯電話を分解すると内部には半導体、集積回路が用いられています。携帯電話の小型化、高機能化が進んだのは、半導体の微細化が進んだおかげだと言えます。(エレクトロニクス)

しかし半導体を組み込むだけでは携帯電話は動作しません。様々な信号処理を行うことで初めて人が扱えるようになります。扱う信号はアナログ方式とデジタル方式の2種類に分けられ、それぞれの目的に応じた回路を設計する必要があります。(インフォマティクス・エレクトロニクス)

また、携帯電話同士を繋ぎ、情報伝送を行うための通信ネットワークも必要です。ネットワーク部分には無線通信が用いられているのはもちろんですが、基幹部分には光通信も用いられています。(フォトニクス・インフォマティクス)

携帯電話はあくまで一例ですが、他にも自動車や鉄道、ロボットなど、電気で動いているシステム全てが電情で扱う対象になります。

これらのシステムに対して様々な角度からアプローチできるのが電情の魅力です。

扱う対象が広いからこそ、将来やってみたいことがまだ決まっていない人に電情は向いていると思います。


就職先について

インフラ関係に就職する人が若干多めですが、他にもメーカー、コンサル、ベンチャー企業など、様々な分野に就職しています。

どのような仕事に就くことになったとしても、電情で学ぶ知識や考え方は必ず役に立ちます。


少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。

また、研究室配属や学科分けで迷うことがあればいつでもご相談お待ちしています。

最後までご覧頂きありがとうございました!