2022年7月27日水曜日

研究室選びについて(2つの研究室に所属経験あり) 瀧田

 ~2つの研究室に所属した私から見た「研究室選び 1」~ 

こんにちは。 火曜担当の瀧田です。

前回に引き続き、誰もが悩むであろう”研究室選び”についてお話しします。

というのも、私自身学部と修士で分野が異なる研究室に所属したため、研究室の違いについて実体験に基づいてお話しできると考えているからです。

(どちらも研究室の学科は電気・情報系です)


~それぞれの研究テーマと内容~

・学部:テーマ「太陽光発電の電力予測における信頼区間推定」

   目的:電力量の予測精度において、幅を持たせて見積もることで、再生可能エネルギーの需給バランスをとること

機械をいじるハード系の実験と、深層学習などを用いて電力量を予測するソフトウェア系の実験どちらもあり

・修士:テーマ「多カーネル適応フィルタに基づく、時系列データの成分分析」

   目的:精度が高く・計算コストが小さいという特徴を持ち、様々な分野で応用可能なデータの分析・予測手法の構築

パソコン1台(とサーバー)さえあれば研究できるソフトウェア系のシミュレーションのみ


どちらも時々刻々と入出力データが変化する"時系列データ"の予測に関する研究ですが、学部では”統計学”からのアプローチ・修士では数学に基づいた”信号処理学”からのアプローチという点で異なります。

このように一見似たようなことを扱っていても、解決するためのツール=手段が異なれば、必要な学問も異なります。



~2つの研究室生活の違い~

次に、研究室の体制や雰囲気の相違点、共通点についてお話しします。

<共通点>

・1人1つのテーマで研究を進める(直属の先輩というものが存在しない)

・上半期、下半期それぞれ2回ずつゼミ全体の前で論文紹介や研究の進捗発表を行う

・コアタイムはなく、自宅で研究可能(ソフトウェア系はPCがあればどこでもシミュレーションできるから)

私の場合は)共同研究ではないため、企業とのミーティングなし

※情報系の場合、データの取得を自分で行うのは難しいケースが多いため、研究方法を検証するためのデータをいただけることは、企業との共同研究におけるメリットです。

しかし、月に1回以上企業向けの進捗報告がある / 企業とのディスカッションの時間を確保しなければならない / 自分の目的だけでなく企業にとって利益となるような目的も加わるため、研究の自由度が下がる可能性がある

など、時間・研究の自由度の面での制約は増えてしまうため、企業との共同研究かどうかも研究室を選ぶ際の軸としておくことをおすすめします。


<相違点>

大学院:国際学会での発表が目標

学部:国内学会での発表が目標

学部の研究内容は国内でも数多くの論文が多いのですが、大学院の研究内容は国内の論文より海外の論文が圧倒的に多いため、上記のような違いがあるのだと思います。

国際学会での発表が対面でできるとなると研究費で海外に行けるので、それも1つのモチベーションになるかもしれませんね。

 

大学院:グループミーティングあり

学部:グループミーティングなし(全体のゼミのみ)

大学院では全体のメンバーをテーマのある程度近い人同士で3グループに分け、毎週(隔週で先生も参加)進捗報告やディスカッションを行う制度が設けられています。

それによって直属のような先輩ができ、疑問点を質問しやすくなる・資料作成の際に添削をお願いしやすくなるためスキルアップに繋がる などの点から、グループ制orグループで1つのテーマを研究している所がおすすめです。

先生は想像していたより結構忙しいので、先輩がいた方が研究がスムーズに進みますよ。

ただ、グループでの進捗報告やその資料作成に時間を取られるため、自分から積極的に先輩と関係を築ける人には直属の先輩がいなくても良いかもしれません。



今回の内容は以上です。

次回は、就職活動を見据えた上での研究室選びや、やりたいことが決まっている人 / やりたいことがまだ見つかっていない人 それぞれに向けて、研究室選び第二弾を投稿予定です。

研究室選びで迷っている方がいらしたら、ぜひラーニングサポートデスクでご相談くださいね。



2022年7月25日月曜日

私のおすすめ本【2022年度金曜担当 見川】

 こんにちは。2022年度ラーニングサポート金曜担当の見川です。

おすすめ本紹介シリーズとして、今回私からは2冊紹介させていただきます。


量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために

まず1冊目は、清水明著の「量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために (新物理学ライブラリ)」(サイエンス社)です。

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990013283910204034

この本は、量子力学の初学者に読んで欲しい本です。

一般的な量子力学の教科書は、黒体放射から始まり二重スリット、粒子と波の二重性と続いています。こうした歴史にそって量子力学を勉強するのは、当時の物理学者のお気持ちなどがわかりやすいですが、量子力学の構造と非常に相性が悪いです。(逆にこういう風な本がお好きな方は朝永振一郎著の量子力学』を読んでみてください。)

従来の教科書にあるような歴史の流れなどは無視して、量子力学を数学の公理から始めるスタイルで書き直したのがこの本です。非常に流れがスッキリしており、キッチリと抑えておかなければならないのが公理としてあるので、学習もしやすくなっています。

数学的な説明が多いところがあるので、数学が苦手な方は別の本がおすすめですが、そうでない方は方はぜひお手に取ってみて下さい。


熱力学の基礎 第2版 I: 熱力学の基本構造

2冊目は、同じく清水明著の「熱力学の基礎 第2版 I: 熱力学の基本構造」(東京大学出版会)です。

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma9926495220504034

これも上記の本と同様に、公理みたいなものから熱力学を構成していく本で、非常にスッキリしています。しかし、エントロピーから始まり、そこから温度を定義するスタイルで初学者には非常にハードルが高いですが、別の本で熱力学を勉強した方ならおすすめの本となってます。

熱力学の本といえば、田崎著のものもありますが、清水熱力学のほうがスッキリしていて、自分には合っていないと感じました。

物情の熱力学も田崎熱力学が教科書として指定されていますが、もしわかりにくいと感じた方は清水熱力学に一度目を通してみてください。


ゲージ理論・一般相対性理論のための 微分幾何入門

3冊目は、佐古彰史著の「ゲージ理論・一般相対性理論のための微分幾何学入門」(森北出版会)です。

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma9926569913004034

みなさん一般相対性理論は聞いたことがあると思いますが、ゲージ理論はしっていますか?

電磁気学を勉強した方なら、ゲージ変換を知っているかと思いますが、このゲージ変換を量子力学などの別の分野に応用したものです。

このゲージ理論と一般相対性理論はともに微分幾何学を基礎としていて、微分幾何学を勉強することで、Maxwell方程式が一つの式にできたり、電磁気学と量子力学が同じ理論であることがわかるようになります。

また現代物理に移ると、すべての力は4つの力に分類でき、そのうち3つがゲージ理論でかかれています。物性理論ですと、20世紀三大物性発見のうちの一つの量子ホール効果やノーベル物理学賞最有力候補のBerry位相なども微分幾何学で理解されます。

非常にわくわくするようなゲージ理論や一般相対性理論などについて初学者がイメージしやすいように書かれた本がこの本です。簡単に書いて分かりやすさを優先したために数学的な厳密さなどが失われて、専門家の間では賛否が分かれていますが、初学者の方はあまり気にならないと思うので一度読んでみてください。気に入らないもしくはより厳密に知りたい方でしたら、より詳しい 中原幹夫著の『理論物理学のための幾何学とトポロジー』をおすすめします。

最後に

いかがでしたでしょうか。私の趣味趣向が色濃く反映した記事となっていますが、少しでも興味をもっていただければ幸いです。

(見川)

おすすめ本 程島 [2022 年 木曜日担当]

 こんにちは, 2022 年度ラーサポ木曜日担当の程島です. 今日はおすすめ本として1冊紹介したいと思います.

今回私がおすすめする本は 赤攝也(2014)「実数論講義」日本評論社 です. 

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990024118370204034

この本では "実数" とタイトルにありますが, 実数でけではなく, 自然数, 整数, 有理数というような "数" に着目して議論が展開されていきます.

私たちが日常生活や実験などでも何気なく使っている整数や小数というものにおいても深く考えてみると次のような疑問点が思い浮かびます.

  • $19980617$ という整数は何を意味しているのか ($1 \times 9 \times 9 \times 8 \times 0 \times 6 \times 1 \times 7$ とは違うのか)?
  • 整数 $n,m$ に対して, $n \leq m$ が成り立つことと, $n \lt m+1$ が成り立つことはなぜ同値なのか?
  • $\dfrac{1}{2}, \dfrac{2}{4}$ は同じ有理数とされているが, どういう観点で "同じ" と見なしているのか?
  • $\sqrt{2}$ は2乗すると $2$ になる正の実数として定義されているが, そんな実数は存在するのだろうか? そして, そのような実数はただ一つに定まるのだろうか?

このような疑問達に対して1ステップ1ステップ丁寧にこの本では議論されています.

また, この本では "数" の話だけではなく, 三角関数や指数関数に関する章もあり, これらに厳密な定義を与え, そこから $$\sin (\alpha+\beta)=\sin \alpha \cos \beta+\cos \alpha \sin \beta, \quad \log_{a} b=\dfrac{\log_{c} b}{\log_{c} a}$$ などの皆さんがよく使っている公式の証明をしていきます.

この 「実数論講義」は中々手を出しにくいような本のように見えますが, 数学3Aを通して「実数とは何なのか?」ということを思い始めた人に是非お勧めしたい本です.

私のおすすめ本【2022年度木曜担当 相良】

こんにちは。2022年度ラーニングサポート木曜担当の相良です。

今回は、私のおすすめ本として、 2冊の本を紹介します!


1冊目は、

『独学プログラマー:Python言語の基本から仕事のやりかたまで』 コーリー・アルソフ 著 清水川貴之 監訳(日経BP)

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990025811290204034

です。

この本は、研究室に配属され、研究のためにプログラミングを学ぶ必要性に迫られた私に研究室の同期がおすすめしてくれた本です。

pythonの基本文法知識から、バージョン管理の基礎、データ構造、アルゴリズムの初歩まで幅広く学習することができるだけでなく、オブジェクト指向の考え方やプログラマーの仕事についてなど、多角的な視点から「プログラミング」、ひいては「プログラマー」について学ぶことができるのが特徴です。

各章にその章の内容を振り返る演習問題がついている部分もおすすめポイントの一つです。

また、このようなプログラミング学習本は、分厚く、硬い文章が一辺倒に続くようなものが多数ですが、この本は比較的薄めで手にとりやすく、学部の必修科目でC言語をかじった程度の私でも理解しやすい語り口で書かれているため、これからプログラミングを学びたい、pythonを身に着けたいという方にお薦めです。

何か一つでもプログラミング言語を扱うことができるようになると、研究でのデータ整理など効率化に必ず役にたつとおもいます。pythonを始めてみたいけれど、何からはじめていいかわからないという方は是非一度読んでみてはいかがでしょうか。


2冊目は、

『製品開発のための統計解析学』松岡由幸編著(共立出版)

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990014861890204034

です。

この本では、統計学を用いた解析手法が、実際の使用例とともにコンパクトにまとめられており、研究活動をはじめたばかりの学部4年生におすすめしたい本です。また、巻末には「統計解析の誤用防止チェックリスト」が掲載されており、私自身、研究室に配属されたばかりの頃は、このチェックリストを見ながら解析を行っていました。

実験はどのように計画したらよいのか、実験結果はどの解析法を用いて、どのように解析すればよいのか、学部のときに座学で学んだ統計解析は何の役に立つのか、このような内容に悩んでいるひとに是非読んでほしい一冊です!

(ちなみに、著者の松岡先生は慶應義塾大学理工学部名誉教授です!)

相良



おすすめ本 吉川 (2022年度春、水曜担当)

こんにちは。春学期水曜担当の吉川です。

今回は僕のおすすめ本を紹介します。

学部2年、3年に進むと、微積分や線形代数が空気のように扱われるようになります。
そして、こうした技術的な部分でつまずいてしまい、講義の本題があまり理解できなかったという経験をした方は一定数いるのではないでしょうか。

少なくとも当時の僕はその一人です。

そこで今回は、学部2年、3年の時の自分が読んでおきたかった微積分、線形代数の本をテーマにおすすめ本を紹介しようと思います。

まず、微積分のおすすめはこの本です:




本書の特徴:

集合論の基礎や $\epsilon$-$\delta$ 論法、実関数の微積分からFourier 級数展開、Banach 空間上の微積分まで解析学の基礎的な内容を幅広く取り扱っています。

本書は次のような人におすすめです:
・学部1, 2年生の内容を復習したい人
・Banach 空間上の微積分の基礎を学びたい人

僕は学部4年の時にこの本を読み、主に Part 4 の Banach 空間(完備ノルム空間のこと、本書では Banach 空間という名前では書かれていない)上の微積分について学びました。

Part 4 では Fréchet 微分(全微分の一般化)、Banach 空間上の逆関数定理、陰関数定理、常微分方程式についてまとめられています。

僕の専門の微分方程式では、これらの内容は基礎知識として扱われ、日常的に使うので、微分方程式に興味のある方は本書を一読しておくことをおすすめします。

注意点:

Euclid 空間に限定した場合の逆関数定理、陰関数定理、常微分方程式については載っていないので、その場合だけを勉強したい方は別の本を参照すると良いでしょう(例えば杉浦光夫 (著)「解析入門Ⅰ、Ⅱ」や垣田高夫、入江昭二 (著)「常微分方程式 (応用解析の基礎)」)。ただし、Euclid 空間に限定した場合も証明はまったく同じです。

また、Fréchet 微分を勉強するにあたって、方向微分の一般化である Gâteaux 微分も勉強した方が良いと思うのですが、本書ではGâteaux 微分については扱われていません。(Gâteaux 微分については適当にネットの pdf を漁って勉強したのでおすすめの本はわからないです。すみません。 )

次に、線形代数のおすすめはこの本です:



本書の特徴:

$\mathbf{R}^N$ や $\mathbf{C}^N$ より一般の (有限次元) ベクトル空間についてすっきりとまとめられています。

本書では、最初から抽象的なベクトル空間の定義を行っており、最短で必要な理論を学ぶことができます。

多くの線形代数の本では、まず $\mathbf{R}^2$ や $\mathbf{R}^3$ について詳しく扱った後、$\mathbf{R}^N$ へと一般化し、最後に一般のベクトル空間の定義を行います。
初学者にとってはこのような順序で学ぶのが自然で理解しやすいと思いますが、一般のベクトル空間について最短で学びたい場合はやや回り道になります。

僕は学部3年で統計やホモロジー、多様体を学んだ時に、線形代数で苦労したので読み始めました。僕が読んだのはおおよそ1章から5章で、一部は飛ばしました。行間が少なく、スムーズに読み進められました。

注意点:

本書は理論として非常にきれいにまとまっているのですが、初学者には抽象的でつかみどころがなく、モチベーションを理解することが難しいです。

ある程度線形代数を学んだ後、応用で躓いた人にはおすすめできますが、完全な初学者がこの本を読む場合は $\mathbf{R}^2$ などから始めている本(例えば斎藤正彦 (著)「線型代数学入門」)と並行して読むと良いと思います。

また、最初から本書の内容をすべて理解しようとするのは避けたほうが良いです。
例えば、この本では $\mathbf{R}$ や $\mathbf{C}$ を一般化した体 $K$ 上でベクトル空間の定義を行っていますが、体を真面目に学んでから読もうとすると p.4 から先に進めません。

体の定義くらいならそれほど時間はかからないかもしれませんが、命題 1.2.12では $\dim_{ \mathbf{Q} } \mathbf{R} = \infty$ を証明するために $\pi$ が超越数であることが用いられています。ここで $\pi$ が超越数であることを証明してから読もうとすると詰みます。

なので、すべて理解しようとするのではなく、難しい部分はある程度流して読むことをおすすめします。

今回おすすめしたい本は以上です。誰かの参考になれば幸いです。それではまた。

(吉川)

私のおすすめ本 火曜担当 大久保

 こんにちは!春学期火曜担当の大久保です!
 今回は僕のおすすめしたい本📚を紹介します。僕がおすすめする本は、プログラミングに関する本です。大学でプログラミング💻に関する授業を皆さん履修すると思いますが、今まで全くプログラミングに触れてこなかったという方々は、なかなか苦労しませんか??僕はかなり苦労しました💦 実を言うと、僕が学部2年生のときは、先生が授業中に教えてくださるコードを写すのに手一杯で、プログラミングの中身なんかほとんど理解できていなかったと思います(笑)
 ですが、研究室に入るとプログラミングを書く必要があることは明らかで、このままではまずいと思いました。そこで、改めてプログラミングを学び直そうと思って手に取ったのが、今回紹介する本です!この本をきっかけに、プログラミングに対する苦手意識がなくなり、今では考えていることを大体コーディングできるようになりました!非常におすすめです😆

松浦健一郎, 司ゆき. わかるPython : 決定版. 東京, SBクリエイティブ, 2018, ISBN9784797395440.


 この本📚の良いところは主に3つあります!
 1つ目は、Pythonを自分のパソコンで使用するための環境構築方法が丁寧に記載されているところです。よくプログラミングは"Hello world!"を表示することが1番難しいと言われます。これは、プログラミングは環境構築で1番つまづきやすいということを意味します。なので、WindowsでもmacOSでも、つまづかないように誰でもPythonの環境構築ができる本書は、とても親切です🙆 僕も一切つまづかずに環境構築を終えることができました~
 2つ目は、読みやすく簡単そうにプログラミングを教えてくれるところです。これも非常に重要です!たまにプログラミングに関する本で、厳かで文字ばかりの本を見かけますよね、、、。ああいう本って本当に難しそうに見えますし、読む気が失せますよね💦 その点こちらの本は、色遣いも良く、非常に読み進めやすくなっています!
 3つ目は、サンプルコードを配布してくれているところです。プログラミングを勉強するときには、自分で手を動かしながら書いた方がもちろん力になります。ですが、一から全部のコードを書くのは骨が折れますよね、、。この本はサンプルコードを配布してくれているので、自分でコードを書く手間は最低限に、でも少しは手を動かしつつ勉強することができます!
 以上の3つの理由から、僕はこの本を選びました!実際にこの本を使って勉強したのは3年生の春休み頃です。1カ月程度で勉強し終えることができたので、皆さんもこの夏休みに取り組んでみてはいかがでしょうか??

私のおすすめ本(村野:2022年度春 火曜担当)

 

こんにちは

2022年度春学期 火曜担当 の 化学科 修士1年 村野 です

担当時間は 12:30 ~ 15:30 です


・学部の化学系科目で分からないことがある

・化学系科目の宿題のヒントがほしい

・実験レポートの書き方で悩んでいる


という方は,ぜひ質問・相談に来てみてください

もちろん,授業以外の学生生活に関することでも大丈夫です


今日は,私のおすすめの参考書 を紹介します



必修科目の参考書(理工学部 1年)

◆ 化学 A(量子化学)

化学 A では 物理化学 の基盤 となる 量子化学 を学びます

量子化学 は 物理化学 の 一分野 として,物理化学の参考書 で解説されているほか,量子化学のみを取り扱った参考書 もあります

量子化学 は それだけで厚い参考書がつくれてしまうぐらい,広くて深い学問領域です

とはいえ,化学 A で扱うのは 物理化学の基盤としての量子化学 なので,まずは 物理化学全般を扱った参考書 で勉強するのがよいと思います 


おすすめ の 参考書

 ● 物理化学:分子論的アプローチ,D. A. McQuarrie & J. D. Simon 著,千原秀昭ら訳(東京化学同人)

⇒ 平易な語り口で親しみやすい一方,内容は充実しています

⇒ 演習問題が多く掲載されていて,学んだ内容をしっかりと確認できます

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma992636342830403

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma9926363428204034

 ● Problems and solutions to accompany McQuarrie and Simon Physical Chemistry: a molecular approach, Heather Cox (University Science Books)

⇒ 演習問題の解き方が丁寧に解説されています

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990014320340204034


◆ 化学 D(有機化学)

化学 D では 有機化学 の基本的な考え方と いくつかの典型的な反応例 を学びます

2年次以降の有機化学で学ぶ 様々な反応パターン を理解するうえで 重要な知識 です

有機化学の授業では, ボルハルト・ショアーの「現代有機化学」が教科書として指定されていることが多いですが,かなり厚い本なので,初めて 有機化学を学ぼう という人には 少しハードルが高いかもしれません

そこで,まずは 有機化学の 基本のき だけを抽出したような 易しい参考書 で勉強してみては いかがでしょうか


おすすめの参考書

Fundamentals of organic chemistry, John McMurry, 7th ed. (Cengage Learning)

⇒ 難しい概念も 平易な絵図で イメージが湧きやすいです

⇒ たくさんの演習問題を解くうちに,いつの間にか 反応例 を覚えてしまいます

⇒ 平易な英語なので,英語で有機化学を勉強したい という方にもおすすめです

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990014320340204034


Study guide and solutions manual, Fundamentals of organic chemistry, John McMurry, 7th ed. (Cengage Learning)

⇒ 演習問題の解き方が丁寧に解説されています

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022035820204034

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990025680850204034


有機化学概説,John McMurry著,伊東椒ら訳(東京化学同人)

⇒ 少し版が古いですが,日本語訳もあります

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990013274210204034


研究室に入る前に読みたい本

◆ 理系英語

研究室に入ると,英語を使って,科学の文章を読んだり書いたりする機会が多くなります

また,英語で 専門的な内容を発表したり,議論したりすることも増えます

そんなとき,日常会話とは異なる 理系特有の 言い回し や 文章構造 にあたふたしないために,理系英語のパターン を知っておきましょう


おすすめの本

理系たまごの英語40日間トレーニングキット,Kit 1 ~ 3(アルク)

⇒ 理系英語 をどう読むべきか,書くべきか が丁寧に解説されています

⇒ 数学,化学,物理学,生物学 の基本的な用語 がまとめられています

⇒ 演習問題を解きながら,40日間で無理なく効率的に学習可能です

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022772310204034

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022772330204034

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022772350204034


理系英語のライティング,野口ジュディーら著(アルク)

⇒ 英語で 専門的な内容を 論理的に伝えるトレーニングができます

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma9926452908704034


以上です

最後まで読んでくださり,ありがとうございます


村野


おすすめの本 神部(2022年度春月曜担当 神部)

こんにちは。ラーニングサポート月曜担当の神部です。

今回は、私のおすすめの本として2冊の本を紹介します。

まず、1冊目は、斎藤 康毅 (2016)『ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装』オライリージャパン社 です。

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990025281120204034

この本は私が研究室に所属するときに先輩に紹介された本で、ディープラーニングの入門者にぴったりな本です。

Pythonの使い方をある程度知っている必要はありますが、ディープラーニングの理論を数式を用いて説明しつつ、実装用のコードも載っており、実際に手を動かしながらディープラーニングを基礎から学べる本です。

ディープラーニングをなんとなく理解したまま学習を進めている方、用語は知っているけど実際の中身は知らない方にお薦めな本です。

2冊目は、安西 祐一郎 (2011)『心と脳――認知科学入門』 岩波新書

です。

https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022469610204034

この本も私が研究室に所属するときに紹介された本ですが、人工知能を用いた研究をされたい方にぜひ読んでいただきたい本です。

著者の安西先生は慶應義塾大学の名誉教授で元塾長です。

人工知能と認知科学は繋がっており、人工知能と人との関わり方を考える上で認知科学はとても重要です。この本ではその認知科学の全体像を掴むことができます。

人工知能と聞くと、つい技術的な面や数式へと意識が集中しがちですが、歴史的な側面等も含め俯瞰的に研究を進めるため、これから研究を始めるという方にお薦めの本です。

神部


2022年7月11日月曜日

2022年度 金曜担当 見川 【自己紹介】

初めまして、2022年度ラーニングサポート金曜の担当になりました修士1年の見川です。

今回は自己紹介として自分の研究について簡単に紹介します。


量子力学

私は物理情報工学科で、量子力学の分野、その中でも特に量子センサーについて研究をしています。

量子力学というと、今までの常識から乖離していてとっつきにくい分野ですが、逆にそこが驚きと感動を与えてくれる量子力学のいいところだと思います。

今は量子コンピューターや半導体で社会が賑わっていて、時代が量子人材を求めているといっても過言ではありません。

これを機にぜひ量子力学について勉強してみてはいかがでしょうか。

最近では新しい量子力学の教科書が多数出版されていて、以前より初学者でもわかりやすい新しい教科書が多数出版されています。

おすすめの教科書を挙げておきます。

  • 量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために(清水明 著)
  • 現代の量子力学(J. J. Sakurai & Napolitano 著)
  • 現代量子力学入門(井田大輔 著)
  • 入門 現代の量子力学 量子情報・量子測定を中心として(堀田昌寛 著)
  • 量子力学(朝永振一郎 著)

量子センサ

量子力学は私達が生活しているスケールであるマクロな領域では発現されず、ミクロな領域領域で顕著に表れてくる学問です。
これは量子力学的性質がそれほど壊れやすいということを意味しています。
壊れやすさは外部のノイズとかに敏感に反応する結果であり、この量子力学的性質を用いて、様々な物理量を高感度に測定しようという試みが活発になっています。
私は量子センサを用いて微小な領域の磁場分布を測定することを研究しています。

また、このような応用科学にとどまらずに、量子センサが量子力学的対象として好ましい性質をもつことを利用して、純粋物理などの研究に利用することも考えています。

最後に

物理情報工学科は量子力学から制御、プログラミングなど様々な分野が横断しているます。
これを機に量子力学が専門でない方も、少し興味を持ってくれたのなら幸いです。
また、私からの話が聞きたければ金曜日に理工学メディアセンターで待ってますので、ぜひお越し下さい!



2022年7月7日木曜日

国内学会について 2022年度月曜担当 神部

 こんにちは!2022年度春学期月曜担当の神部です。

先週、人生で初めて国内学会(人工知能学会)に出席したので、今回は学会について執筆します。コロナで対面での学会がここ2年間なくなっていましたが、最近復活してきたようです。国内学会に初めて参加する方は参考にしていただければと思います。

人工知能学会は色々なセッションで構成されており、様々な企業が集まるインタラクティブセッション、研究成果を発表する一般発表セッションやインタラクティブ発表(ポスター発表)などがあります。

私は以下の題目で発表しましたが、一般発表セクションは15分間の発表+5分間の質疑応答でした(この発表時間は厳守で、過ぎてはいけません)。

題目:「会話の引き継ぎ支援に向けた話者交代前後における話題構造分析」
(ロボットと実世界:一般、2022年6月16日15:50-16:10 2022年度 人工知能学会全国大会(第36回))

企業、大学の先生方、学生と様々な方の前で発表するのは緊張しましたが、最先端の研究を見ることができるのはやはり大変刺激になります。

さて、初めて学会発表することになったときに一番気になるのは服装です。これは学会によって違いますが、ほとんどの学会ではスーツが無難です。ちなみに、人工知能学会はジーンズ+スニーカーでも、逆にスーツでも特に問題ありませんでした。

また、学会に参加するとき、ぜひ企業が集まるインタラクティブセッションも行ってみてください。ぶらぶら眺めながら歩いていると、企業の方が最先端の製品について説明してくださいます。ここで重要なのは名刺を作っていくことです。名刺交換をしたり、話が盛り上がるとノベルティ(モバイルバッテリーやノートなど)をくださったりします。

国際学会もハイブリッド形式で対面でも出席できるところが増えてきたみたいです。学会にオンラインでしか参加したことがなく、対面で参加してみたいという方は今年こそ対面で参加できそうです。

今回は以上です。参考になれば幸いです。