2023年4月27日木曜日

薄いペットボトルのヒミツ(木曜担当 高城)

はじめまして!
2023年度ラーニングサポート木曜日担当の 高城 です。

・機械系の授業でわからないことがある

・研究活動で困っている

・学校生活に関して相談したい

という方、是非お気軽にお声掛けください!
毎週木曜 12:30~14:00 理工学メディアセンター本館1階 レファレンスデスク
にてお待ちしています。

*プロフィール*

・学科    :機械工学科

・研究室   :鈴木哲也 研究室

・研究内容  :リモート式大気圧プラズマCVD装置の開発

・サークル  :天文研究会

・アルバイト :東急線日吉駅


*研究:ペットボトルのガスバリア性向上*

突然ですが皆さん、今週 ペットボトル飲料 飲みましたか?
ほとんどの人が「はい」と答えるのではないでしょうか。

では、そのペットボトル、以前よりもかなり薄くなったと思いませんか?

近年、ペットボトルの利用がますます拡大する一方、プラスチック廃棄物の引き起こす環境問題が注目されています。
そこでペットボトル製造業界では3R(Reuse, Reduce, Recycle)の中でも特に 
Reduce を達成するために、ボトル壁を薄くする方向にシフトしています。

では、ボトル壁を薄くするとどのような問題が生じるでしょうか。

一つ目は 強度の低下 です。

ボトル壁が薄くなったことで飲み終わった後潰しやすくなった一方、強度が低下します。
それは飲料時の飲みにくさや運搬時のボトル破壊といった問題を引き起こします。

この問題の解決策は ボトル形状 の工夫です。
例えば、”サントリー天然水”を思い出してください。
この商品はボトル壁が業界トップクラスで薄いのですが、十分な強度を保つためにボトルの側面に川の流れのような凹凸をつけたり、ボトルの底の部分を形状工夫しています。
ボトルにかかる力を計算し、力が分散するような設計にすることで、ボトルの強度を向上させているのです。

二つ目は ガスバリア性の低下 です。

ボトル壁を薄くすると、以前よりも酸素や二酸化炭素などのガスを透過しやすくなります。
空気中の酸素がボトル内に入ると、内容物が酸化し賞味期限短縮につながります。
炭酸飲料において二酸化炭素がボトルから抜けると、炭酸が気抜けしてしまいます。

そこで飲料メーカーと共同研究を行う鈴木研究室では、シリカ系薄膜 という薄い膜をペットボトルの表面にコーティングすることで、ガスの透過を防止することを試みています。
この技術が販売製品に採用されることを目指して、日々頑張っているところです。

さて、ここまで研究背景の話をしてきましたが、かなり身近な話だと思いませんか?
具体的な装置の設計や開発(3Dモデルや金属加工などもやってます)については、また今度お話ししたいと思います。

少々長くなりましたが、これからも機械工学科ならではの話をたくさんしていければと思っています!

どうぞよろしくお願いします🙌


高城

2023年4月25日火曜日

2023年度 月曜担当 平井 【自己紹介】

皆様はじめまして。

2023年度ラーニングサポートスタッフとして月曜を担当します、修士2年の平井と申します。

今回は初執筆ということで、簡単に私の自己紹介をしていきたいと思います✨


■自己紹介■

学科:応用化学科

所属:今井・緒明研究室

研究内容:樹脂およびゴム材料への導電性高分子の複合化と応力センサの作製

サークル等:理工学部体育会卓球部 (学部生時代は矢上祭実行委員会、SLC卓球部にも所属していました)

趣味:ヴァイオリンを弾く、野球観戦、音楽鑑賞など...


■研究活動■

私の所属す今井・緒明研究室(材料化学研究室)は、電極、強化材料、センシングなどの材料化学に関する研究を幅広く取り扱っています。

その中でも私自身は、プラスチックやゴムといった本来は電気を通さない材料に対して、電気を通す性質を持つ高分子を複合化することで、「電気の流れる材料」に変身させる、といった研究を行っています。そして日常動作の中で加える力などを見える化するセンサとしての応用を見据え、現在も研究を進めています。

皆さんは日常生活の中でどんな力を数値化することができたら面白いと感じますか?

何気ない発想により思わぬ展開になることもある点が、研究活動の面白いところですが、残念ながらそうそう思いつくものではありません...。なので日々の生活のなかで感じる気づきや思い付きを大切にしてみると、いつかいいアイデアとなるかもしれません💡

また、材料化学研究室は先輩後輩問わずメンバーの仲がとても良いところがアピールポイントの1つです!わからないことは相談して助け合ったり、お昼の時間は一緒に食べに行ったり、休みの日には遊びに行く計画をしたり。楽しい時間が多いからこそ忙しい時も乗り越えられますし、研究も頑張れるといった環境です👌

教授とも、定期的な進捗報告(ディスカッションと言います)のみならず、普段から研究のアイデアなどの意見を交換することも多く、コミュニケーションが活発な研究室です。

社会を支える新たな材料の研究に興味が湧いた方、研究室の雰囲気が楽しそうと思う方、是非とも材料化学研究室を覗いてみてください👀


■サークル■

私は中学1年生の頃から卓球を続けていて、大学でも2つの卓球団体に所属しました。ここでは現在も所属している理工学部体育会卓球部について紹介します。

団体名:理工学部体育会卓球部

練習日:水・金曜日 15:00~18:00 土曜日 16:00~20:00

拠点:矢上キャンパス内体育館

部員数:70名程度(うち女子15名程度)

団体名に理工学部とついていますがどの学部の方でも入部可能ですし、体育会とついていますがいつ練習に参加するかなど自由なので、自分のスケジュールに合わせて好きな時に卓球ができる点がメリットです🏓

私は団体戦の大会に参加することが好きなので院生となった今でも卓球を続けています。仲間の声援を貰いながら試合をするといつも以上に頑張れる気がしますし、仲間の応援を全力ですることでチーム全体で戦っているなぁと実感できるからです!

オリンピックでも団体戦は正式種目です。是非来年のパリオリンピックでは卓球団体戦も見てみてほしいと思います🔥


長くなりましたが、最後までご覧いただきありがとうございます。ラーニングサポートスタッフとして1年間頑張ってまいりますので、皆さんも何か質問・相談したいことがありましたら、ご遠慮なく聞きにいらしてください💁

2023年度 月曜担当 小野塚 【自己紹介】

初めまして。
春学期月曜担当の小野塚です。
今回は1回目の投稿なので、自己紹介をさせて頂こうと思います。

~プロフィール~

  • 学年:修士2年
  • 学科:電気情報工学科
  • 研究室:久保研究室
  • 研究内容:自動運転車両のAoIに基づいた通信量削減
  • 趣味:旅行、スキー

~研究~
私の所属している久保研究室では「通信と制御の融合」をテーマに掲げています。特に近年は車両制御や映像ストリーミングに関する研究を重点的に行っています。

鉄道や自動車等、乗り物の自動運転に関するニュースをご覧になったことがある方も多いと思いますが、まだまだ広く普及しているわけではないのが現状です。また近年は法整備も進んではいますが、技術的な課題も多く残っています。自動運転の技術的な難しさは通信の部分にあると私は考えています。

自動運転を行う際にはコントロールセンターと車両の間で絶えず通信を行い、その時の状況に応じた柔軟な速度制御を行っています。しかし万が一情報が送信できなかったらどうなってしまうでしょうか?制限速度をオーバーしてしまったり、最悪の場合事故につながってしまうかもしれません。情報をきちんと送信すればいいじゃないか、と考える方も多いでしょう。私もそう思います。しかし無線通信は(有線と比較して)あまり信頼性が高いとは言えず、情報が届かないことも多々あります。皆さんもYoutubeを見ていて映像がカクカクしたり、止まってしまった経験がありませんか?動画が視聴できないくらいなら大した問題ではありませんが、自動運転の場合は安全に直結するので大問題です。

では、なぜ情報の損失が生じてしまうのでしょうか。それは、多くのユーザーが一度に大量の情報を送信しようとすることで通信路が情報で溢れてしまうことが原因であることが多いです。また、近年無線通信を用いるアプリケーションは増加しており、それに伴ってユーザー数そのものが増加しています。いずれにしても、通信量が課題となっています。そこで、私の研究ではAoI(Age of information)という情報の目新しさの指標を用いて通信間隔を間引くことで通信量を削減する手法の検討を行っています。


~趣味~
私はいわゆる乗り鉄で、青春18切符を使って全国の鉄道路線の乗りつぶしをしています。在来線にしか乗れないという制約もありますが、新幹線では味わえない"旅してる感"を満喫できるので中々良いです(あと、すごく安いです)。おすすめは東海道線です。普段横浜近辺で活動していることが多い慶應生にとって東海道線は小田原や熱海に行く路線という印象が強いかと思いますが、実際は東京から名古屋、大阪を経由して神戸までを結ぶ長い路線です(昨年開業150周年を迎えた、日本で最初に開業した鉄道路線でもあります)。一つの路線であるにも関わらず都会と地方の両方の景色を楽しめるのがおすすめポイントです。皆様も是非一度東京から神戸まで乗り通してみてください。新幹線の速さを実感すると思います(笑)。

もう一つの趣味はスキーです。小学生の頃初めて体験したのがきっかけで、大学生になってからは年に3,4回滑りに行っています。昨年ついに板とブーツを購入してしまいました。検定取得、スキー場開拓など、色々やりたいこともあるので毎年冬が待ち遠しいです。

最後までご覧頂きありがとうございました。
学科や研究室、授業のことなど、相談お待ちしています!

小野塚

2023年4月21日金曜日

2023年度 金曜担当 谷口【自己紹介】

 初めまして!

金曜日12:30~14:00担当の谷口です。これから1年間よろしくお願いいたします。

今回は第1回目の記事ということで、私の自己紹介をさせていただきます。


<プロフィール>

・学年:修士1年(M1)

・学科:物理情報工学科

・研究室:太田研究室

・研究内容:磁気ナノフォトニクスの開拓と探求

・趣味:筋トレ(最近、ジムに通い始めました)

<研究室活動について>

ここからは私の研究内容と研究室での活動について簡単に説明します。

私はナノフォトニクスと呼ばれる分野について研究しています。ナノフォトニクスとは光の波長程度(ナノメートルからサブマイクロメートル)の微小な光学構造について研究する分野です。

恐らく皆さんが知っている光学部品はレンズやプリズム、光ファイバーなど目に見える大きさのものだと思います。

しかし、メタ表面やフォトニック結晶と呼ばれるナノフォトニクスを代表する構造は肉眼で見ることは難しく、電子線顕微鏡でないと見えません。

このような光の波長と同程度の構造にすることで光と物質の相互作用を桁違いに増大することができ、手のひらサイズだった光学部品をサブマイクロメートルスケールまで小さくすることができたり、新しい物理現象の発現を見ることができます。

ナノフォトニクスを応用することにより、従来の集積回路よりも高速かつ低消費電力で次世代の情報処理技術として期待される量子光集積回路が実現できると注目されています。

私はこのナノフォトニクスに磁気光学効果を持ち込んで、磁気ナノフォトニクスという新たな研究分野を開拓することを行っています。

磁気光学効果とは簡単に言えば、物質を介して磁場と光が相互作用する現象で、ファラデー効果などの時間反転対称性の破れた特有の効果などを持ちます。

特に、YIG(イットリウム鉄ガーネット)と呼ばれる材料は磁気光学材料として優れていますが、難加工性材料としても広く知られておりナノスケールの加工は容易ではありません。

私はこのYIGに対する加工技術を開発することでフォトニック結晶というフォトニックナノ構造をYIGで作ることを研究しています。


研究活動としては主に、電磁界シミュレーションによる光学設計とプラズマドライエッチングによる加工技術開発を行っています。

電磁界シミュレーションに関しては、FDTD法と呼ばれる計算手法を用いてマクスウェル方程式を解析し、最適な光学構造を設計しています。

プラズマドライエッチングに関しては、東京大学生産技術研究所の岩本研究室と提携し、東大のクリーンルームで実験を行っています。

慶應でシミュレーションを走らせつつ、週2~3日は東大に行き、実験を行うという日々を過ごしています。

所属している太田研究室の活動としては週に2日、ミーティングと論文輪講を行い、あとは各々の裁量に任されています。

和気あいあいとた雰囲気で自由に研究を行えるのが太田研のいいところだと思います。


長々と書き連ねてきましたが、今年一年間よろしくお願いします。

勉強のことだけでなく、研究のことや学部での過ごし方についても是非、気兼ねなく相談にいらしてください。

それではまた。

谷口



研究室で何するの? 村野(2023年度春, 金曜担当)

 

こんにちは


2023年度春学期 金曜担当 の 化学科 修士2年 村野 です

担当時間は 14:00 ~ 15:30 です


・学部の化学系科目で分からないことがある

・化学系科目の宿題のヒントがほしい

・実験レポートの書き方で悩んでいる


という方は,ぜひ質問・相談に来てみてください

もちろん,授業以外の学生生活に関することでも大丈夫です


今日は,学部3年生向けに,研究室のあれこれを紹介します


はじめに

学部3年生になると,来年所属する研究室のことを考えないといけませんよね

中には,以前から どうしても行きたい研究室がある という人もいるかもしれません

でも,多くの人は

 ・研究室ってどんなところ?

 ・研究室に入ったら,どんな生活を送るの?

 ・そもそも「研究」ってなに?

というところから スタートするのではないでしょうか

本稿では,そんな皆さんに 少しでも研究室のイメージを掴んでもらえればいいな,と思います


研究室ってどんなところ?

端的に言えば,大学の研究室は,学生の

 ・課題設定と解決のスキル

 ・伝達発表スキル

を養いながら,研究成果の創出を目指す組織 だと思います


これらのスキルは,基本的にどんな業界でも必要とされるものですが,

それは 研究の世界 でも同様で,教科書的な知識 よりもむしろ 重要とみなされます


① 課題設定と解決のスキル

分野を問わず「研究」というものは,およそ次のような流れで進行します


Step 1.   研究計画を考える

Step 2.   研究計画に従い,実験や計算などを行う

Step 3.   得られた結果を総括して,考察する

Step 4.   結果考察を踏まえて 研究計画を更新する → Step 2 に戻る


つまり,課題を設定し,それを解決することをスパイラル的に繰り返していきます

この流れを どれだけ的確に,かつ,テンポよく回せるか というところが,研究者の腕の見せ所です

大学の研究室では,学生と教員がどのように役割を分担するのかは,研究室の教育方針に依ります

多くの研究室では,極端な放任主義とも 極端な管理主義ともならないように,学生の主体性を重んじつつ,教員が適宜アドバイスを行う というスタイルを採用しているように思います

研究テーマを決める作業は,研究の中でも一番の肝になる部分で,世界の研究動向を理解していないといけませんから,学部生の場合は,教員が担うことがほとんどだと思います

しかし,研究テーマが決まった後は,その研究を”自分のもの”にして,研究計画を立てて進めていくことが求められます


② 伝達発表スキル

多くの研究は,国や企業など,外部から資金提供を受けて行うので,

Step 5.   得られた研究成果を外部に公表して,社会に貢献する

ことが義務となっています

学生も 自らの研究成果を 学術論文や学会発表 の形で 公表する機会が多々あります

その際,ターゲットとする聴衆に合わせて,自らの研究の意義を,分かりやすく明確に伝える必要があります

具体的には,まず,どんな社会課題があって,だからどんな研究が必要とされていて,これまでの研究で何がどこまで分かっていて,この研究では何を明らかにする必要があるのか,ということを,聴衆に理解してもらう必要があります

そのうえで,自分の研究では,こんなデータが出ていて,そこからこんな面白いことが分かるんだ,だからすごく意味があるのだ,ということを,聴衆が納得して,興味をもってもらわなければなりません

資料作成や話し方のノウハウは,様々な文献でも扱われていますが,実際には,習うより慣れよ という側面が大きく,研究室内や学内の発表を含め,様々なシチュエーションで場数を踏み,他人の発表と自分の発表を比較する中で,各学術界の作法に合わせて,自分なりのスタイルを身につけていきます


研究室に入ったら,どんな生活を送るの?

一部の研究室では,何時から何時までは活動すべし,というコアタイムがあります

コアタイムは設定していないという研究室でも,実際には,何時に来て何時に帰ってもいい,ということはありません

たいては 平日 の 9:00~18:00 ぐらいを 基本的な活動時間としています

というのも,最低それぐらいは活動しなければ,学位を取得するに足る研究成果を得られないからです

中には,12:00ぐらいに来て,21:00ぐらいに帰ったり,自分に合うように,研究時間をシフトさせている人もいます

さらに多くの研究時間を確保するために,土曜日を活動日としている研究室も多いです


その活動時間の中で,学生は,実験,計算,解析,考察,文献調査 などを行います

研究は,授業とは違って,時間割があるわけでもないし,先生が進行してくれるわけではありません

日々のタスクとスケジュールは,自分で管理します

学術論文の発表を目指して,やるべきことをリストアップして,計画的に進めていきます


また,学部4年と大学院生の必修科目に「輪講」というものがあり,たいていは毎週決まった曜日に,研究室内の学生が 持ち回りで 参考書の解説をしたり,論文紹介をしたり,研究発表を行ったりします

その合間に,授業を受けて,卒業(修了)に必要な単位数を確保します


そもそも,「研究」ってなに?

「研究」とは「社会の課題を解決するための方法を提案すること」だと思います

どんな研究でも、まずは,世界が直面する社会課題があって,その解決の助けとなるような情報を提供することを目的として,行われています

世の中の人が,知りたいと思っていること,欲しいと思っている情報を提供することが,研究者の使命になります

そして,世の中の人だけでなく,自分が面白いと思っていることも,もちろん重要です

自分の研究は面白い,もっと知りたい,ぜひ明らかにしたい,世の中の人にこの研究について知ってほしい,と思っていなければ,決してよい成果を生み出すことはできません

皆さんもぜひ,研究を通して,社会の役に立つことを意識してください


さいごに

以上,研究室のあれこれについて,「個人的な」見解を述べてきました

少しでも,皆さんの参考になっていたら,嬉しいです


研究室にはそれぞれ,個性があります

科学的・技術的な強みに加えて,教育・研究方針など,様々なカラーがあります

百聞は一見に如かず,ですので,とにかく気になる研究室があれば,躊躇せずに見学に行ってみてください

研究室のホームページを見るだけでなく,研究室の雰囲気や,実際に所属している学生たちの話を聞くことが,何より参考になると思います



最後まで読んでくださり,ありがとうございます


村野