2023年4月21日金曜日

研究室で何するの? 村野(2023年度春, 金曜担当)

 

こんにちは


2023年度春学期 金曜担当 の 化学科 修士2年 村野 です

担当時間は 14:00 ~ 15:30 です


・学部の化学系科目で分からないことがある

・化学系科目の宿題のヒントがほしい

・実験レポートの書き方で悩んでいる


という方は,ぜひ質問・相談に来てみてください

もちろん,授業以外の学生生活に関することでも大丈夫です


今日は,学部3年生向けに,研究室のあれこれを紹介します


はじめに

学部3年生になると,来年所属する研究室のことを考えないといけませんよね

中には,以前から どうしても行きたい研究室がある という人もいるかもしれません

でも,多くの人は

 ・研究室ってどんなところ?

 ・研究室に入ったら,どんな生活を送るの?

 ・そもそも「研究」ってなに?

というところから スタートするのではないでしょうか

本稿では,そんな皆さんに 少しでも研究室のイメージを掴んでもらえればいいな,と思います


研究室ってどんなところ?

端的に言えば,大学の研究室は,学生の

 ・課題設定と解決のスキル

 ・伝達発表スキル

を養いながら,研究成果の創出を目指す組織 だと思います


これらのスキルは,基本的にどんな業界でも必要とされるものですが,

それは 研究の世界 でも同様で,教科書的な知識 よりもむしろ 重要とみなされます


① 課題設定と解決のスキル

分野を問わず「研究」というものは,およそ次のような流れで進行します


Step 1.   研究計画を考える

Step 2.   研究計画に従い,実験や計算などを行う

Step 3.   得られた結果を総括して,考察する

Step 4.   結果考察を踏まえて 研究計画を更新する → Step 2 に戻る


つまり,課題を設定し,それを解決することをスパイラル的に繰り返していきます

この流れを どれだけ的確に,かつ,テンポよく回せるか というところが,研究者の腕の見せ所です

大学の研究室では,学生と教員がどのように役割を分担するのかは,研究室の教育方針に依ります

多くの研究室では,極端な放任主義とも 極端な管理主義ともならないように,学生の主体性を重んじつつ,教員が適宜アドバイスを行う というスタイルを採用しているように思います

研究テーマを決める作業は,研究の中でも一番の肝になる部分で,世界の研究動向を理解していないといけませんから,学部生の場合は,教員が担うことがほとんどだと思います

しかし,研究テーマが決まった後は,その研究を”自分のもの”にして,研究計画を立てて進めていくことが求められます


② 伝達発表スキル

多くの研究は,国や企業など,外部から資金提供を受けて行うので,

Step 5.   得られた研究成果を外部に公表して,社会に貢献する

ことが義務となっています

学生も 自らの研究成果を 学術論文や学会発表 の形で 公表する機会が多々あります

その際,ターゲットとする聴衆に合わせて,自らの研究の意義を,分かりやすく明確に伝える必要があります

具体的には,まず,どんな社会課題があって,だからどんな研究が必要とされていて,これまでの研究で何がどこまで分かっていて,この研究では何を明らかにする必要があるのか,ということを,聴衆に理解してもらう必要があります

そのうえで,自分の研究では,こんなデータが出ていて,そこからこんな面白いことが分かるんだ,だからすごく意味があるのだ,ということを,聴衆が納得して,興味をもってもらわなければなりません

資料作成や話し方のノウハウは,様々な文献でも扱われていますが,実際には,習うより慣れよ という側面が大きく,研究室内や学内の発表を含め,様々なシチュエーションで場数を踏み,他人の発表と自分の発表を比較する中で,各学術界の作法に合わせて,自分なりのスタイルを身につけていきます


研究室に入ったら,どんな生活を送るの?

一部の研究室では,何時から何時までは活動すべし,というコアタイムがあります

コアタイムは設定していないという研究室でも,実際には,何時に来て何時に帰ってもいい,ということはありません

たいては 平日 の 9:00~18:00 ぐらいを 基本的な活動時間としています

というのも,最低それぐらいは活動しなければ,学位を取得するに足る研究成果を得られないからです

中には,12:00ぐらいに来て,21:00ぐらいに帰ったり,自分に合うように,研究時間をシフトさせている人もいます

さらに多くの研究時間を確保するために,土曜日を活動日としている研究室も多いです


その活動時間の中で,学生は,実験,計算,解析,考察,文献調査 などを行います

研究は,授業とは違って,時間割があるわけでもないし,先生が進行してくれるわけではありません

日々のタスクとスケジュールは,自分で管理します

学術論文の発表を目指して,やるべきことをリストアップして,計画的に進めていきます


また,学部4年と大学院生の必修科目に「輪講」というものがあり,たいていは毎週決まった曜日に,研究室内の学生が 持ち回りで 参考書の解説をしたり,論文紹介をしたり,研究発表を行ったりします

その合間に,授業を受けて,卒業(修了)に必要な単位数を確保します


そもそも,「研究」ってなに?

「研究」とは「社会の課題を解決するための方法を提案すること」だと思います

どんな研究でも、まずは,世界が直面する社会課題があって,その解決の助けとなるような情報を提供することを目的として,行われています

世の中の人が,知りたいと思っていること,欲しいと思っている情報を提供することが,研究者の使命になります

そして,世の中の人だけでなく,自分が面白いと思っていることも,もちろん重要です

自分の研究は面白い,もっと知りたい,ぜひ明らかにしたい,世の中の人にこの研究について知ってほしい,と思っていなければ,決してよい成果を生み出すことはできません

皆さんもぜひ,研究を通して,社会の役に立つことを意識してください


さいごに

以上,研究室のあれこれについて,「個人的な」見解を述べてきました

少しでも,皆さんの参考になっていたら,嬉しいです


研究室にはそれぞれ,個性があります

科学的・技術的な強みに加えて,教育・研究方針など,様々なカラーがあります

百聞は一見に如かず,ですので,とにかく気になる研究室があれば,躊躇せずに見学に行ってみてください

研究室のホームページを見るだけでなく,研究室の雰囲気や,実際に所属している学生たちの話を聞くことが,何より参考になると思います



最後まで読んでくださり,ありがとうございます


村野