2024年5月30日木曜日

私のおすすめの本【2024年度木曜担当 近藤】

こんにちは!ラーニングサポート木曜担当の近藤です。
この記事では、私が学部生時代の勉強に使ったおすすめの本を紹介します。

類家正稔 著、東京電機大学出版局
https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma9926616660904034

私の知る範囲で最も丁寧に量子化学について説明してくれている教科書です。
初学者が悩んだり誤解したりしないよう、曖昧さや論理の飛躍がない形で説明がされていますし、式変形の過程も省略せずに全部書いてくれています。さらには、量子化学に必要な数学的知識について解説した付録まであります。

化学Aの授業についていけなくて困っている学部1年生や量子化学の勉強をこれから始めたいという方におすすめです。

前野昌弘 著、東京図書
https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990023811490204034

解析力学の教科書は数多く存在しますが、その中でも一番直観的な理解を得られる本だと思います。この本には他の解析力学の教科書よりも優れた三つの長所があります。

一つ目の長所は、図が豊富なところ。物理の教科書は数式が多くなりがちですが、この本はかなりの頻度で図を提示してくれるので、イメージを持ったまま式を追うことができます。

二つ目の長所は、作用についてしっかり解説してくれているところ。解析力学の教科書は、最初にいきなり「最小作用の原理」を提示し、以降この原理に則って論理展開していくものが多いですが、初学者にとっては「作用って何?」というところから疑問でしょう。この本ではいきなり最小作用の原理を押し付けることはせず、「作用とは何なのか」「作用を利用するとどんな利点があるのか」という根本的な疑問を一緒に考えてくれます。

三つ目の長所は、自習しやすい作りになっているところ。解析力学は自分で手を動かさなければ身につきません。この本は式変形が丁寧な上、数学的知識について付録で補足されているので、自分で式変形を行ってみて分からなくなったらこの本を頼る、という使い方ができます。また、この本に載っている全ての練習問題についてのヒントと解答解説がネットにあるので、解けない問題が出てきてもそのままになりません。

非常に良い本なので解析力学を勉強する方は是非読んでみて下さい。

上田顯 著、朝倉書店
https://search.lib.keio.ac.jp/permalink/81SOKEI_KEIO/188bto4/alma990022425860204034

分子動力学シミュレーションの入門書です。分子動力学シミュレーションの解説書としては「コンピュータシミュレーションの基礎(岡崎進 著、化学同人)」が有名ですが、そちらよりも内容としては簡単です。

私の経験上、シミュレーションについて勉強するときは手を動かした方が良いです。唸りながら専門書と睨めっこしていても内容はあまり身につきません。それよりも、実際に簡単なシミュレーションプログラムを作ってみる方が学習上効果的です。

自分でプログラミングしてみる際に、この本は大いに役立つと思います。具体的な計算式や計算上考慮するべきことがシンプルにまとまっているので、余計な情報に煩わされずにシミュレーションプログラムの雛形を作ることが出来ます。簡単な希ガスのシミュレーションプログラムくらいであれば、この本だけですぐに作れます。

勿論、シミュレーションの世界は奥深いので、より複雑な分子を扱う上では細かい知識も必要になります。その時は上記「コンピュータシミュレーションの基礎」も活用しましょう。

最後に

以上三冊が私のおすすめの本になります。
いかがでしたでしょうか。これらの本が少しでも皆様の学習の手助けになれば幸いです。


近藤