今年度のラーニングサポート木曜日担当 数理科学科修士1年の富岡駿允です.
簡単な自己紹介をします.私は数理科学科の勝良研究室に所属しており,現在は作用素環論についての研究(というか勉強)をしています.私はもともと量子力学の数学的構造に興味があり,そのために関数解析という分野を少し勉強していました.作用素環論の勉強を始めたのは勝良研究室に所属してからです.作用素環論はvon Neumannという人が量子力学を記述するために必要な数学として導入したと言われています.勝良研は作用素環論の研究室なので,私の興味に合っています.また,趣味的にですが,私は幾何も面白いと思っているので,幾何の授業の質問があれば,私も一緒に考えて勉強したいなぁというつもりでいます(質問に答えられなかったらすみません).
さて今回は,大学1年生の皆さんに向けて,数学を自習できるように参考書をいくつか挙げてみようと思います.授業を聞くだけでなく,自分で本を読んで数学を勉強する時間はとても大切なので,ぜひここに挙げている参考書を活用してみてください(もちろん,ここに挙げている参考書以外の本で勉強するのもアリです).
線形代数
- 斎藤正彦,「線型代数入門」,東京大学出版会 線型代数入門 / 齋藤正彦著
- 西田吾郎,「線形代数学」,京都大学学術出版会 線形代数学 / 西田吾郎著
- 川久保勝夫,「線形代数学」,日本評論社 ; Senkei daisūgaku / Kawakubo katsuo cho; 線形代数学 /
- 佐武一郎,「線型代数学」,裳華房 ; Senkei daisūgaku / Satake Ichirō cho; 線型代数学 /
- 斎藤毅,「線形代数の世界 抽象数学の入り口」,東京大学出版会 線形代数の世界 : 抽象数学の入り口 / 斎藤毅著
- 新井朝雄,「現代ベクトル解析の原理と応用」,共立出版 現代ベクトル解析の原理と応用 / 新井朝雄著
微積分
- 杉浦光夫,「解析入門Ⅰ」,東京大学出版会 解析入門 1/ 杉浦光夫著.
- 杉浦光夫,「解析入門Ⅱ」,東京大学出版会 解析入門 2/ 杉浦光夫著.
- J. ヨスト 著,小谷元子 訳,「ポストモダン解析学」,シュプリンガー・ジャパン株式会社 ; Posutomodan kaisekigaku / J. yosuto cho, Kotani motoko yaku; ポストモダン解析学 /
集合・位相
- 松坂和夫,「集合・位相入門」,岩波書店 ; Shūgō isō nyūmon / Matsuzaka Kazuo cho; 集合・位相入門 /
- 内田伏一,「集合と位相」,裳華房 集合と位相 / 内田伏一著
- 斎藤毅,「集合と位相」,東京大学出版会 集合と位相 / 斎藤毅著
- 斎藤正彦,「数学の基礎 集合・数・位相」,東京大学出版会 数学の基礎 : 集合・数・位相 / 齋藤正彦著
定番な本や私が個人的に気に入っている本を挙げました.他にも本はたくさんあります.書店等で中身を見て自分に合ったものを選ぶのが良いです.線形代数と微積分については授業で教科書も配布されているはずなので,授業を理解するには教科書を参考にするのが一番だと思います.しかし,授業だけで重要事項すべてを扱えるわけではないので,やはり自分に合った参考書を一冊は持っておくことをお勧めします.また,本の記述が分かりにくかったり,定理の証明でめちゃくちゃメンドくさい議論をしていたりすることがあります.そういう場合は自分で証明を考えてみたり,あるいは他の本も見てみたりすると分かるようになるかもしれません.自分で証明を考えるときは,「用語の定義は何か,仮定は何か,示したい結論は何か,仮定と結論を論理式や数式で表すとどうなるか」をはじめに確認してから行うのが良いです.つまり,証明におけるスタート地点,ゴール地点,証明で使う道具の確認です.これらをせずにいきなり証明を考えようとしても,何を議論すべきなのかも分からない状態では議論のしようがありません.簡単な命題なら,この機械的な作業だけで証明が終わることがありますし,この作業を通じて自分の頭の中を整理することができ,論理的に考える良い訓練になると思います.
いかがだったでしょうか.大学1年生で習う数学は基礎として本当に大切なので,この記事が皆さんにとって少しでも役に立てたなら幸いです.
それでは今回はこの辺で.See you next time !
富岡
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