2020年6月5日金曜日

水曜担当 自己紹介&研究紹介(1)

初めまして!
今年度のラーニングサポートで水曜前半を担当する修士1年の東です。

今回は自己紹介と研究紹介をさせていただきます!

私は慶應の物理学科を卒業し、今は大学院理工学研究科の物理学専修に属しています。
私の研究室は、統計物理学の理論研究を行なっています。私の具体的な研究テーマは次回で紹介することにして、今回は統計物理学の魅力についてお話ししたいと思います。


物理学というと、まず思い浮かべるのは、宇宙論や素粒子論などかも知れません。これらの分野は、相対性理論や量子力学を駆使し、宇宙の構造や宇宙の果て、物質の究極の構成単位を研究していく分野です。よく物理学の花形と言われるだけあって、非常に魅力的ですね。

しかし、統計物理学にも、宇宙論や素粒子論に劣らない独自の魅力があるんです!
統計物理学は、簡単に言うと、粒子がたくさん集まった系を研究する分野です。素粒子論とは真逆の方向性ですね。

粒子がたくさん集まった系?
なんでそんなもの研究する必要があるの?
面白いの?

と思われるかもしれませんが、魅力があると言える理由は主に二つあります(もっとあるかも知れませんが、修士1年の自分が思いつく範囲でご容赦ください)。

1つは、粒子がたくさん集まると、系の構成要素一つ一つを追いかけているだけでは思いもよらなかった現象が起こり得るからです。超伝導がいい例ですね。超伝導は、ある温度以下で電気抵抗が0となる現象です。超伝導の原理は、原子や電子(あるいはクォークなどの素粒子)を一個ずつ調べても決して分からないわけですね。
このように、構成要素が多数集まることで、少数のときには思いもよらなかった現象が起きるという事実は、統計物理学の面白さの一つなのではないでしょうか?

二つ目を話します。我々が普段目にしている物質は、アヴォガドロ数(約6×10²³)程度の原子や分子が集まってできています。
粒子が一つや二つなら、古典力学の運動方程式や、量子力学のシュレディンガー方程式を解くことで、挙動を予想できます。しかし、粒子が三つ集まった場合(三体問題)は、一般に解けないことが知られています(古典力学においては、ポアンカレによって数学的に証明されている!)。
厳密に解けなくても、粒子が少数のときは、連立方程式(運動方程式やシュレディンガー方程式)の近似解をコンピューターで計算できます。しかし、アヴォガドロ数オーダーの連立方程式は、計算量が膨大すぎて、どんなに高性能のコンピューターを用いても、近似解を求めることすら不可能なわけです。
しかし、粒子の数が膨大で、無限大とみなせる場合は、また話が違ってきます。なぜなら、平均値や分散といった量が意味を持ってくるからです。つまり、粒子数が無限大とみなせる場合は、力学に確率論や統計学を組み合わせることで、むしろ厳密な計算が可能となります。これが統計物理学の二つ目の魅力です!


少し長くなってしまいましたが、統計物理学の魅力が伝わったでしょうか?
関連したヨビノリ たくみの動画も、とても参考になるのでお勧めします!
https://www.youtube.com/watch?v=jTB-_bxv8ps
最後まで読んで頂きありがとうございます!

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