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今回の記事では、分子化学専修で7月に開かれた中間発表の様子をお届けしたいと思います。中間発表とは、修士2年の学生たちが修士論文の執筆に向けて7月時点での自分の研究状況を発表する場のことです。ちなみに、分子化学専修というのは研究領域を表す区分のことで、学部生で言うところの「数理科学科」「機械工学科」のようなものです。例えば私の場合、理工学研究科基礎理工学専攻分子化学専修の学生ということになります。
中間発表の様子をお届けするとは言ったものの、中間発表参加者には守秘義務があり、中で知った学術的な情報をお話しすることはできません。中間発表に際してどんな準備をし、当日どのように発表したか、という催し全体の流れや雰囲気を中心にお伝えします。
1. 中間発表の概要
日時・場所:7月中旬
ショートプレゼンテーション
厚生棟中会議室 12:45 - 13:45
ポスター発表
創想館マルチメディアルーム 14:25 - 17:10
発表形式
ショートプレゼンテーション
発表時間:1分30秒
発表データ:スライドは2枚以内
ポスター発表
発表時間:2グループに分かれて以下のスケジュールで行いました。「教員への説明時間」には、当該グループの発表学生と教員のみが参加でき、「閲覧時間」には、分子化学専修に所属する研究室の学部四年生・修士学生・博士学生・研究員が参加できます。
グループA:14:25 - 14:55(教員への説明時間)14:55 - 15:40(閲覧時間)
グループB:15:55 - 16:25(教員への説明時間)16:25 - 17:10(閲覧時間)
ポスターサイズ:A0
2. 準備期間
発表当日までに行ったことは以下の4つです。
- ポスターのストーリーを考える
- ショートプレゼン用の資料を作る
- ポスターを作る
- ショートプレゼンの練習
一つずつ説明します。
最初に、一番楽で、一番締め切りの早いショートプレゼンの資料作りから始めようとしたのですが、研究室の先生に止められました。ショートプレゼンはポスター発表の宣伝的位置づけなので、メインのポスター発表の全体像が決まっていなければ、どの部分を抽出してアピールするべきか判断できない、と。そりゃそうだ。
というわけで、ポスター発表の流れ(ストーリー)を書くことから始めました。伝えたいことを書き出し、論理的に伝わる順番で並べます。伝えたいこともそれを示すための計算結果も揃っていたので、ストーリーはスラスラ書けました。しかも、過去に学会で行ったポスター発表の内容が流用できそうだったので、新しく考えなければならないことはあまりありません。
サクッと作って先生に見せたところ、こう言われました。
このイントロじゃ伝わらない。
私が過去に参加したのは理論化学の学会で、聞き手は私と近い分野の研究者ばかりだったので、イントロを細かく必要はなかったのですが、中間発表にいらっしゃる先生方のほとんどは理論系ではなく実験系の研究者。前提知識にギャップがあるので、学会発表のポスターと同じストーリーでは伝わらないというわけです。
私は浅はかな考えを捨て、イントロ部分を厚くしたストーリーを練り直し、無事先生からOKをもらいました。
ポスターのストーリーが決まったら、次はショートプレゼンの資料作りです。スライド2枚に発表内容をまとめます。構成としては、スライド1枚目に研究背景と目的を、スライド2枚目に代表的な結果1つとそれに関する簡単な考察を載せました。
たった2枚のスライドなので、1日とかからず資料はできました。例のごとく、先生のところに持って行ってコメントを頂いたわけですが...
1枚目のスライドの字が多い(by 先生)
ついつい文字で説明したくなってしまう癖が私にはあります。以前にも同じことを指摘されたので、今回は気を付けて図も使っていたのですが、それでもまだ字が多かったようです。スライド1枚目はイントロにあたるので、研究対象を映像的にイメージ出来るようにスライドを作らないといけない、とのことでした。
私の研究対象は「水-空気界面の水分子の運動」なので、水面の写真(ネットで公開されている利用許諾のいらない写真)と水分子のモデルが運動している画像(こちらは自作)を組み合わせて利用しました。水面の写真が綺麗だったので、研究対象をイメージしやすくなったのは勿論のこと、スライドの見栄えが大変良くなりました。
ショートプレゼンの資料が完成し、いよいよメインとなるポスター作りに入ったのですが、こちらは意外と苦労しませんでした。既にストーリーが固まっているので書くことがはっきりしていましたし、研究結果や考察の部分については以前作ったポスターの資料を流用することも出来ました。
ポスターが完成した後、ショートプレゼンの練習を始めました。「メインのポスター発表の練習をしなくていいの?」と思われたかもしれませんが、私は自分の研究に関する話であれば、そこそこ出来る自信がありましたし、学会で行った発表と内容が被る部分もあったので、ポスター発表については不安視していませんでした。
逆に、ショートプレゼンについてはメチャクチャ不安でした。というのも、発表時間が1分半しかないのです。1分半という時間はかなり短く、言葉に詰まってしまうと、言いたいことを言い切る前に発表時間が終わってしまいます。つまり、ショートプレゼンは台本丸覚えが前提となる発表なのです。
私は台本を覚えるためにシャドーイングを行いました。シャドーイングとは、簡単に言えば、聞こえてくる音を復唱することです。具体的には、以下のような流れです。
- 台本を読み上げる自分の声をスマホで録音
- 録音音声を聞きながら、台本を読み上げる
- 慣れてきたら台本を見ずに、録音音声を追いかけるように復唱
シャドーイングができない時にも録音音声は聞き続けるようにしていました。とにかく、「聞いて」「声を出す」ことで音を自分の頭に沁み込ませます。
この練習法の良いところは、単に台本を覚えやすいというだけでなく、音のテンポも覚えられるところです。この手の発表でありがちなのが、緊張して早口になること。シャドーイングでは台本を文字ではなく音で覚えるので、緊張しても元の録音音声に近いスピードで発表が行えます。
その分、録音音声の作成には気を遣いました。スライドのページを切り替えるタイミングの「次のページお願いします」という掛け声も録音しました(ショートプレゼンでは、スライドの操作は自分で行うのではなく、係の先生にやってもらう)。
英語学習において効果的と謳われるシャドーイングですが、日本語を覚える上でも有効で、数日で台本をそらんじられるようになりました。ちなみに、発表後も1カ月くらいは台本が頭から離れませんでした(笑)
3. 発表当日
ショートプレゼンは昼の12:45から厚生棟中会議室で行われました。院と学部では分野の区分が異なっているので、分子化学専修には化学科の先生と応用化学科の先生がいらっしゃいます。化学科出身の私は応用化学科の先生や学生のことをほとんど存じていないので、会場に来ている人の半分くらいとは面識がありませんでした。そのような状況下で、丸暗記した発表台本をミスなくそらんじなければならなかったので、めちゃくちゃ緊張しました。
ショートプレゼンの発表自体は多分上手くいったと思います。"多分"という曖昧な表現になっているのは、緊張で細かい記憶がないからです。ただ、そんな状態にあっても、口が勝手に動いていたことは覚えています。これぞシャドーイングパワー。それから、もう一つ覚えているのは、レーザーポインターの電池が途中で切れたことです。レーザーポインターは自前で用意する必要があったので、研究室のポインターを借りて持ってきていたのですが、どうやら電池がギリギリだったようです。途中でポインターを使うことを諦めました(幸い、ポインターがなくても何とかなる内容だったので致命傷は避けられました)。皆さんも大事な発表前にはポインターの電池を交換しておきましょう。何はともあれ、同じ研究室のメンバーから「発表良かったよ」と言ってもらえたので、表面上はつつがなく発表できていたようです。
全員(約30人)のショートプレゼンが終わった後、ポスター発表のセクションに切り替わります。ポスター発表はグループAとグループBに分かれて行われますが、私はグループAだったのであまり時間がなく、すぐ会場にポスターを貼りに行きました。創想館マルチメディアルームがどこか分からず迷子になるというトラブルはありつつも、発表時間前にポスターを貼り終え、先生方がいらっしゃるのをドキドキしながら待つことになりました(ちなみに、創想館マルチメディアルームはメディアセンターがある棟の地下2階でした)。
ポスター発表には「教員への説明時間」が設けられているので、先生が一人も聞きに来ないということはあり得ません。空いているポスターがあったら、先生も気を遣って聞きに来てくれます。私としては、先生方からどんなツッコミが飛んでくるか分からなかったので戦々恐々としていましたが、実際には思ったほど怖くありませんでした。
ツッコミ以前の問題として、私の発表があまり伝わっていなかったということもあると思います。物理化学系の先生からは色々と質問を頂きましたが、有機化学系の先生はあまりピンと来ていない様子でした。先生からOKが出るくらいにはイントロを厚く作ったつもりでしたが、それでもまだ十分ではなかったようです。色々と反省が残りました。
一方で、研究が伝わった時の嬉しさったらありません。これは個人的な事情ですが、研究室内に私と近いテーマの人がほとんどいないので、私の研究の話は同じ研究室のメンバーにすらあまり伝わりません。これまで一人で黙々と研究を進めてきたのですが、やはり自分の研究を他人と共有できないのは寂しいものです。そんな状況でしたから、表面化学の先生に興味を持って頂いたときには、嬉しすぎてポスターに書いていない裏の工夫や苦労話までしてしまいました。
結果的に私のポスターには先生4人、学生3人が来てくれました。なかなか盛況で発表し甲斐があり、楽しかったです。ポスター発表で舞い上がっていたのは私だけではなく、発表者は皆生き生きとしていました。先生方も興味深そうに聞いていて、会場全体に活気がありました。一方で、私と同様に、研究分野の違いによるディスコミュニケーションは色々なところで起こっていたようでした。
ただ、今思い返してみると、研究分野が違うからこそ発表しやすかったのかもしれません。なぜなら、質疑応答において、発表学生が主導権を握れるからです。学会では、発表学生よりも聞き手の先生の方がその分野に詳しいということはよくあるので、非常に高度な質問が飛んできて学生側がついていけなくなる、ということが結構あります。中間発表は、そういった事故が起きにくい環境だったので、学生が伸び伸び発表しやすい雰囲気がありました。
4. 最後に
中間発表は準備が大変でしたし、ショートプレゼンも緊張しましたが、全体を通して見ると楽しかったです。そんな中間発表の雰囲気が少しでも皆さんに伝わっていたら幸いです。
また、中間発表は修論執筆前に他の研究室の先生からご意見を頂く貴重な機会です。私の場合、実験系の先生がどんなことに興味を持ち、どれくらい理論研究について理解しているかを肌で感じることができました。
私にとって中間発表は、他分野の研究者との交流が如何に重要であるか実感できる機会となりました。
近藤