2018年12月4日火曜日

日々の生活をChemvenientに #2 ~半分焼けばおいしさ2倍~

こんにちは、金曜化学担当の菅野です。

化学の力(chem)を使って普段の生活をもっと便利(convenient)に、つまり
日々の生活をChemvenientに
できるような知恵を紹介しています。第一弾はこちらです。
第二弾は、「半分焼けばおいしさ2倍!」です。
肉じゃがをはじめとしたお肉料理がおいしくなる、Chemvenientです。

焼いて煮る?そのまま煮る?

肉じゃがは筆者の大好物です。安いし、食材も多いし、見た目もきれいで、つくるのも簡単。日本が誇る家庭料理ですよね。どこのお店でも売っているから、手軽にたべることができます。でもやっぱり、自分でおいしいのを作れたらよいですよね。

肉じゃが

みなさんはどうやって作ってますか?お肉と野菜を炒めて、煮込む。おそらくこれがメジャーな手法だと思います。また、あるTV番組では、炒めることなく、全ての食材を一度に鍋に放り込み、ひたすら煮込むという”肉じゃが鍋”の手法が紹介されていました(詳細はこちら)。
筆者は、お肉を半面だけ焼いてから煮込むようにしています。こうすることで、いつもの作り方よりも2倍は美味しくなります。半分なのに2倍、一見すると相反しているようですが、どうして「お肉を半面焼けば、おいしさは2倍」なのでしょうか。
ここに化学の力が隠されているのです。


「お肉を焼く」の化学

そもそも本当においしい食材なのであれば、そのまま嚙りつくほうがいい。料理とは、食材のもっている本来の味以上のものをひきだすことである
このように述べたのは、料理評論家の服部幸應(はっとりゆきお)先生です(注1)。まさにその通りで、お肉を炒めることは、お肉が持ってない新しい美味しさを創造する効果がありますなぜならば、お肉を高温で炒めることでお肉の表面で化学反応が起こり、おいしい成分が新たに生まれるからです(メイラード反応といいます)。焼肉の香ばしい香りがいい例です。これは、煮込むだけでは決して生まれないおいしさです。
また、お肉を炒めることで肉表面を固め、うまみ成分がお肉の外に流出するのを防止できます。ハンバーグがいい例です。噛むと、肉汁がジュワっと出てきますよね。


お肉を焼く効果

一方で、鍋料理ではお肉を炒めることなく、最初から最後まで煮ます。炒めずに煮ると、味が良くしみるだけでなく、肉汁が溶け出してスープがおいしくなります鍋がよい例です。スープが格段においしくなりますよね。


お肉を煮る効果

では、お肉の半面だけを焼き、それを煮込んだらどうなるでしょうか。焼くことであたらしいおいしさ成分が生まれ、なおかつ肉汁の流出が半減されるため肉が美味しく、それでいて肉汁の一部は溶け出すためにスープもおいしく、そして味がよくしみる。まさに、焼くと煮るのよいとこどり!であり、普段よりも2倍オイシイ裏ワザなのです。


焼くと煮るの良いとこどり

今日のChemvenient: 半分焼けばおいしさ2倍

第二回のChemvenientはいかがでしたでしょうか。普段何気なくやっている調理には、多くの化学が隠されています。肉じゃがに限らず、”焼く”と”煮る”を使いこなし、何倍にも美味しい料理に挑戦してみてください。
ちなみに筆者は、お肉を食べるなら炭火焼きが一番好きです。香りも火の通りも段違いです。炭火焼きには独特の化学があります。ぜひ調べてみてください。

参考文献
1.  服部幸應 (2012) 『おいしい料理の方程式』 河出書房新社.

1 件のコメント:

  1. 菅野さん

    いつも楽しく拝見させて頂いてます。
    今回のChemvenientも大変参考になりました!
    化学がどんどん身近に感じられます!

    ありがとうございました!

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