2025年1月9日木曜日

就職か、進学か (水曜担当 能登) 

皆さんこんにちは!

水曜14:00~15:30でラーニングサポートを担当しております、能登です。

今回は修士1年になった私が「就職か、進学か」で悩んだ話をしていきます。博士課程への進学に興味がある、外部の大学院への進学に興味がある、という方の参考になったら嬉しいです。

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今学部3年生の方は、ちょうど研究室配属について決まってくる時期かと思います。それと同時に、学部を卒業した後に大学院へ進学するのか、それとも就職するのかを決断する時期も近づいてきているのではないでしょうか。

修士1年生も悩むことは同じです。大学院修了を1~2年後に控えているため、修士号を取った後にどのような進路へ進むのかハッキリさせなくてはいけません。就職するのか、それとも後期博士課程に進学するのか。私の周りでは就活を始める人がとても多く、私自身も初めは就職するつもりで某大手就活サイトの就活準備セミナーに参加してみたり、企業の説明会に参加してみたりしました。

しかし私が良いと思っていた企業では、最先端の研究を行う職業は博士課程の採用が多いということがあり、就活を続けていいものか迷い始めました。さらには学部4年生の頃から「今の専門についてもっと深く学びたい!」という思いがあったため、博士課程への進学も非常に魅力的な進路に見えてきて、どっちつかずの状態で就活にも進学にも踏み切れずにかなりの期間悩んでいました。やはりこれからの将来を大きく決定づける決断はそう簡単に下せないものですね (^^;

博士課程は卒業まで3年かかるものですが、それは研究が上手くいった場合の話です。多くの場合、博士課程の修了要件には「国際論文の執筆」が含まれています。「2本以上の論文を出していないと修了できない」などもよく聞く話です(大学によっては必要ない所もあります)。これが何を意味するかというと、博士課程は「きちんとした研究成果を出し、それが世界的に認められなければ修了できない」ということなんです。

修士課程までは国際論文を執筆していなくても修了できますが、博士課程で甘えは許されません。研究成果が出ていない場合には修了を先延ばしにし、半年、一年と余分に大学院に身を置く必要が出てくるのです。つまり、博士課程では中途半端な研究はできないため、私は「自分が博士課程に進学して本当にやっていけるのか」と、そのシビアさに気後れしてしまったんですね。もちろん進学するとなれば必死でやるつもりですが……なかなか覚悟が決まらずにいました。

……ということで、「興味はあるが覚悟ができない」という状態で何か月か過ごしつつ、実際に博士課程に進学された先輩や研究室の先生方に相談し、自分なりに情報を集めました。結局、「博士課程にいっておけば良かったと後悔したくない」と覚悟を決めることにしました。

博士課程に進学するとなると、次に考えるのは「内部進学か、それとも外部か」ということです。内部進学するメリットはたくさんあります。例えば、修士の間の研究を引き続き行うことが出来るため、自分が博士の間にやりたいと思う研究の内容と、実際に行う研究の内容の間にギャップが存在しないことが多いです。また、修士の間に解決できなかった研究内容を自分の手で消化することが出来ます。継続した研究を行うことで論文が出しやすくなるというメリットもあるでしょう。大学院入試も外部進学の場合に比べて楽かもしれません。

一方で外部進学を考える場合、まずどこの大学のどの研究室に進学するのかを決めなくてはいけません。学会に参加してみたり、論文をたくさん読んだり、研究室の先生方に相談したりして、自分がやりたい研究が出来る研究室はどこなのか、しっかりと調査する必要があります。この時、やはり早いのは人に聞く方法で、研究室の先生方や先輩、また学会で知り合った他大の学生に話を聞くと、論文や学会などでは分からない側面も含めてアドバイスをもらうことが出来ます。

私は、博士課程では今の研究内容とは少し違う内容の研究をしたいと思っていたので、外部の大学院へ進学する方針で準備を進めました。具体的には、自分のやりたい研究が出来る研究室がどこか、先生方や先輩方に相談して進学先の候補を絞っていきました。

結局、私が進学したい研究室を決めたのは修士1年の11月頃で、その時期に研究室見学に行きました。今は進学予定の研究室がほぼ決まった状態なので、来年の夏にある大学院入試に向けて勉強の日々を送っています。

以上、私の就職か、進学かという一連の悩みとその結末についてお話ししてきました。ここから先は、博士課程への進学や外部の大学への進学について興味がある方向けにどのようなスケジュールで研究室決めをし、研究室訪問へ行くべきなのかという話をしていきます。修士あるいは博士課程で外部進学を考えている方には参考になるかと思います。

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進学か就職かを決断する時期

博士課程に行くかどうかを決めるのは、早ければ早いほど良いです。早く決断すればその分十分な準備ができます。先述した博士課程の修了要件や、博士号取得後の進路などをよく考えた上で進学するかどうかを決めましょう。外部進学をするなら大学院の入試は多くの所で夏に行われているので、出願までに余裕を持って説明会や研究室訪問に行けるよう、博士課程の場合は修士1年の秋、修士課程の場合は学部4年の春までに決断するのが良いと思います。

進学先候補の決め方、訪問の時期

進学先を考える時は論文を読み、他の研究室について詳しい先生や先輩を頼りましょう。ここが良いかも、と思える研究室があれば研究室見学を検討しますが、博士課程からの進学希望で研究室見学に行く場合は、多くても2,3か所に候補を絞っていくことが望ましいです。(たくさんの研究室に見学へ行くと、本当に自分の所へ進学する意思があるのか…?と思われてしまう懸念があります)

外部の研究室への訪問時期は、博士課程の場合は早ければ修士1年の11月~12月、その時期を逃した場合は修士1年の3月頭くらいが無難かと思います。1、2月は卒論や修論の関係で先生や学生が忙しい時期なので避け、また学会などが集中しやすい時期も避けるべきです。修士課程の場合は研究室に入ってすぐ、学部4年生の春先~夏前にかけてなるべく早くに訪問を検討するべきでしょう。入試は夏にあるため、4年生になってからはあまり猶予がありません。少しでも入試まで余裕を持つためにも、早めの行動が大事になりそうですね。

研究室訪問までの流れ

まず大事なのは、自分が今所属している研究室の先生に外部進学することを了承してもらうことです。平日に研究室訪問へ行くとなると、今いる研究室を休むことになるため、指導教員に許可をもらっておくとスムーズです。

外部の大学の研究室を訪問する前には、必ずその研究室の先生にメールでアポを取ります。修士・博士課程から進学を考えている旨を伝え、何故その先生のもとで学びたいと思ったのかを端的に書いた上で見学へ行く日にちを伺いましょう。先生方は多忙を極めているので、日程伺いのメールは訪問希望時期の2週間~1カ月前までに出しておくと安心ですね。

いざ訪問するときは、訪問先の論文を何本か読んで、研究内容を理解した状態にしていきましょう。志望動機や修士・博士課程で研究したい内容もしっかりと言語化して準備しておくことが大事です。訪問先の先生と今自分が行っている研究内容について話し合うこともあるので、研究内容をまとめた資料を持参すると良いと思います。

外部の研究室を訪問する際に最も重要なのは、訪問先の先生に修士・博士課程から受け入れて頂けるかどうかを確認することです。研究室見学の許可を頂いたからと言って、進学を許可されたわけではありません。先生と話す機会に必ず確認しましょう。

研究室訪問後の流れ

進学の意思を決めたら、その旨を先生にメールで伝えましょう。研究室訪問のお礼メールで伝えてしまってもいいと思います。

出願前に確認すべき内容があれば、先生とメール(または電話)でやり取りしながら確認し、出願時期に手違いのないように出願します。外部進学の場合は入試も大変ですから、どんな問題が出題されるのか先輩などに聞いた上でしっかりと勉強して準備をしていきましょう。私も現在絶賛勉強中です。

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以上が外部進学を考える場合のスケジュールでした。少しでも外部進学に興味がある方の参考になれば幸いです。

ここまで長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました!

能登


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2024年12月26日木曜日

夏の学校(木曜担当 近藤)

こんにちは!

ラーニングサポート木曜担当の近藤です。

  • 化学系の授業で困っている
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という方は是非お気軽にお声がけください!

【毎週木曜14:00-15:30 理工学メディアセンター本館1階レファレンスデスク】

にてお待ちしております。

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季節は冬を迎え、すっかり寒くなってしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。このところ寒い日ばかりが続いて気が滅入りそうなので、敢えて夏の話をしようと思います。大学生にとっての夏の風物詩(?)である「夏の学校」のお話です。

夏の学校とは、毎年夏に「若手の会(若手研究者のコミュニティ)」が主催する勉強会のことで、学生が気になる先生をお招きし、数日間に渡って講義や講演を行って頂く企画です。一口に若手の会と言っても、「有機金属若手の会」「天文・天体物理若手の会」「生物物理若手の会」など、分野ごとに別々の組織となっており、様々な若手の会が存在します。調べてみればあなたの研究分野の若手の会も見つかるはずです。大学の夏季休暇に合わせて夏の学校を企画している若手の会は結構あるので、一度調べてみることをオススメします。

夏の学校は各若手の会が独自に企画しているので、内容は若手の会によってまちまちです。今回は主に、私が参加した「第63回 分子科学若手の会 夏の学校」を中心にお話しします。

しおりのまえがき

「第63回 分子科学若手の会 夏の学校」は分子科学研究所(愛知県)にて以下のようなスケジュールで五日間に渡って開催されました。

スケジュール(分科会=勉強会)

夏の学校は若手の会によって日程や開催地、講演内容もばらばらですが、その魅力は共通していると思います。私の考える夏の学校の魅力は以下の三点です。

  • 旅行できる
  • 研究界隈内に友人ができる
  • 第一線で活躍する研究者のお話をじっくり聞ける
この三つの魅力について、私自身の体験も交えつつ説明します。


1. 旅行できる

幹事が毎年変わるため、夏の学校の開催地は毎年変わります。例えば、分子科学若手の会の夏の学校の開催地は、2022年が北海道、2023年が福岡、2024年が愛知でした。私は去年の夏の学校(福岡開催)にも参加していたのですが、豚骨ラーメンを食べ比べたり、屋台を巡ったり、それはもう楽しかったです。

2024年の開催地 分子科学研究所(愛知)


分子科学若手の会の場合、夏の学校は五日間に渡るのですが、必ずレクリエーション(自由行動)の日が一日設けられています。幹事が企画してくれたツアーに参加するもよし、友人と遊びに行くもよし、一人で好きなところに行くもよし、なんでもありです。ちなみに去年の私は、一人で太宰府天満宮に行きました。今年は……分子科学研究所(愛知)周辺に行きたい所がなかったので近所のスーパー銭湯に行きました…。言い訳すると、実は以前、分子科学研究所に見学に行く機会があり、その際に興味のあった研究室も見て、近くの観光名所(名古屋城など)にも行っていたので、行きたい場所がもう残っていなかったという事情があります。

そんな訳で、残念ながらこの記事に載せられる愛知の観光名所の写真はありません。スーパー銭湯の写真は流石にいらないですよね?とはいえ、私のような特殊なケースを除けば、夏の学校は友人と共に観光を楽しめる素晴らしい機会です。え?あなたの夏の学校には自由時間がない?適当に抜け出せばいいんですよ

「旅行なら自分で企画する」と思っているそこのあなたにも耳寄りな情報があります。多くの場合、夏の学校にはポスター発表の時間が設けられており、希望する参加者は自身の研究について発表できます。発表と言っても学生の集まりの中でのことですし、偉い先生が来るわけでもないので、学会と比べるとだいぶ緩い雰囲気です。この制度を利用することで「研究成果を発表しに行く」という体で夏の学校に参加でき、お金が動かしやすくなります。

とりあえず、自分の分野の夏の学校が次にどこで開催されるかは調べてみる価値があると思います。「○○若手の会 夏の学校」と検索すれば出てくるはずです。


2. 研究界隈内に友人ができる

実はかなり大きなメリットです。研究者の界隈は割と狭いので、学会に参加する度に顔を合わせる人がいると思います。そういう人と仲良くなっておくことは重要です。知り合いがいれば学会のアウェー感がなくなりますし、飲みの席で研究に役立つ情報を拾えることも。また、もしあなたが研究者を目指しているのであれば、界隈内でのツテは絶対に必要です。

……などと偉そうに語りましたが、そんな私も人見知り。友達を作るのは苦手です。そこで私は自分を追い込むために、夏の学校における宿泊先について、ある決断をしました。今年の夏の学校では宿泊先として

という2つの選択肢があったのですが、私は三島ロッジを選びました。初対面の人と5日間の共同生活、やってやろうじゃないか…!(震え声)

三島ロッジは大きめの一戸建て住宅でした。より正確には、集合住宅と一戸建て住宅の2タイプあったのですが、私は一戸建ての方に割り当てられました。間取りは、大きめの寝室が二つ、リビング、キッチン(ダイニングと合わせて一部屋)、風呂、トイレが一つずつ。「この間取り…何か変…」などということはなく、4人で過ごしても快適な広さでした。また、洗濯機を始めとした家電も完備されており、コインランドリーのお世話にならずに済んだのは嬉しい誤算。

三島ロッジ(一戸建てタイプ)

キッチン&ダイニング

リビング

肝心のルームメイトですが、以下のような面子が集まりました。

  • R先輩…九州大学の博士課程3年。頼りがいがあって、多くの後輩から慕われている。方言に愛嬌がある。
  • K君…京都大学の修士課程1年。謎の貫禄があり、後輩に見えない。集まったメンバーの中で一番の先輩と言われても信じるレベル。
  • W君…金沢大学の修士課程1年。優しいオーラを纏っており、実際に優しい人。分子科学若手の会の役員を務めている。
ここに私を加えた4人で共同生活を行いました。

覚悟していたことですが、共同生活は大変です。ルームメイトは良い人たちでしたが、人柄とは関係なくプライベートスペースに他人がいるというだけで私のスタミナはゴリゴリ削れていきます。飲み会があった初日以外は私が一番早く寝ていました。

また、生活習慣の違い(エアコンの設定温度など)は気になりますし、鍵の管理も面倒でした(鍵が一本しかないので、一番早く帰宅する人が鍵を持っていないと他の人が締め出されてしまう)。ただ、そうした苦労はありつつも、一緒に過ごす中で3人とはだいぶ仲良くなれました。R先輩には博士課程進学に関する私の悩みの相談にのって頂きました。W君とは研究の話題で盛り上がりましたし、来年度も若手の会の役員を務めるそうなので、次の夏の学校の開催地について希望を伝えておきました。K君とはゲームの話をずっとしていました。

共同生活は大変でしたが楽しかったです。学外の研究者と交流する機会はなかなかありませんし、学会で友達を作るのもハードルが高いので、夏の学校は研究仲間を増やす良い機会でした。来年の夏の学校でも複数人部屋を選ぶつもりです。


3. 第一線で活躍する研究者のお話をじっくり聞ける

「第一線で活躍する研究者のお話をじっくり聞ける」という魅力は、夏の学校の趣旨そのものなので、本来であれば一番最初に挙げるべき話題なのですが、いきなり堅苦しい話から入ると「夏の学校=真面目な勉強会」という印象を与えかねないので、敢えて最後に回しました。一応、夏の学校は真面目な勉強会ではあるのですが、学生の交流会という面も強いので…。


----- 注意!!-------

以下では、分子科学若手の会における勉強会の様子をお伝えしますが、勉強会の形式は若手の会によって異なります。あくまでも一例としてお受け取りください。

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分子科学若手の会の夏の学校では、お招きした先生に講義をお願いしています。単なる先生の研究紹介ではなく、専門分野に関する基礎からの超本格的な授業を行って頂きます。講義内容は先生と若手の会の役員が相談して決め、授業テキストを作るところから始めているため、一流の研究者が夏の学校のために執筆したテキストが手に入ります。自分の研究分野の理解を深めるため、あるいは新しい分野の勉強を始めるためにも、夏の学校は役立ちます。

勉強会は五つの分野に分かれています(この勉強会を分科会と呼んでいます)。この五分野はお招きする先生によって変わるので、参加者は毎年分科会のラインナップを見て、どの先生の講義を受けたいか選びます。

2024年の分科会ラインナップ

私は非線形光学効果と関わりのある研究を行っているので、第五分科会に参加しました(分身して全部の分科会に参加したかったです)。STMについては大学の講義で少しかじっただけで詳しいことは全然分かっていなかったので、今回の講義は非常に勉強になりました。

また、先生から聞けるお話は学術的なものだけではありません。大懇親会では、先生方が「なぜ・どのように研究者になったか」「研究者として何に苦労したか」といった研究人生に関するお話をしてくださりました。有名な先生や偉い先生であっても順風満帆な研究人生を歩んでいることはほとんどなく、むしろ波乱万丈な人生を歩んでいることが多いので話が面白いです。研究者の道に進もうか悩んでいる人には参考になるかも。

個人的には陣内先生の話が印象に残っています。特に「留学前に研究計画を立てていたおかげで留学期間を有意義に過ごせた」「出会いに恵まれた」という二つの言葉を覚えています。

前者は陣内先生が学生時代の留学エピソードを語る中で口にされた言葉です。陣内先生曰く、留学期間はあっという間に過ぎるそう。留学先の研究室の先生も忙しく、常に留学生の相手をしてくれるわけではないので、留学先で研究計画を立てていたのでは研究を十分進める前に帰国することになっていただろう、と仰っていました。日本で研究計画を立て、留学先でやりたいことを予め決めていたからこそ、留学中の時間をうまく活用できたと語られていました。

私は以前から「留学」という響きに憧れを抱いており、留学経験があるというだけで「凄いな」と思っていたのですが、確かに留学は手段であって目的ではありません。研究者にとっての留学は単なる海外体験ではなく、海外の大学の恵まれた研究環境を活用する機会と言えます。そうした目的意識を持つことが重要であると気づかされました。

後者(「出会いに恵まれた」)は特定のエピソードの感想というわけではなく、陣内先生がご自身の過去を振り返る中で度々口にされていたことです。初めて参加した国際学会で出会った研究者が後の研究指針に影響を与えたり、研究課題の解決の糸口を他の研究者との議論の中で見つけたり。誰かとの出会いが陣内先生の研究人生におけるターニングポイントになっていて面白かったです。やはり研究活動は交流の中で深まるものなので、夏の学校のような機会は有意義だと思いました。


終わりに

いかがだったでしょうか。夏の学校の雰囲気や楽しさ、面白さが少しでも伝わったら嬉しいです。大学の夏季休暇は長いですが、ダラダラ過ごしているとあっという間に終わります。そんな夏季休暇を彩るスパイスとして夏の学校はオススメです!

上で説明した通り、夏の学校は学生同士の交流会としての側面も強いので、そこまで研究熱心でない方であっても行けばそれなりに楽しめると思います。旅行や思い出作りにもピッタリ!

それと、今さらですが参加費についてお伝えしていなかったことを思い出しました。と言っても、明確にいくらと提示することは出来ません。なぜなら、若手の会が開催地をどこに選ぶか、企業協賛・個人協賛をどれほど集められるかによって参加費は毎年変わるからです。お得感のある夏の学校になるか否かはあなたの先輩(OB・OG)にかかっています。分子科学若手の会の場合、去年の参加費(宿泊費込み)は3万円でしたが今年は1万6千円でした。

そんな訳で、分子科学若手の会OB・OGの皆さんとここまで記事を読んでくださったあなたに感謝の念を送りつつ、この記事を締めたいと思います。ありがとうございました~(強い思念)。


近藤



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2024年12月24日火曜日

流体力学のすすめ(水曜担当 谷尻)

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2024年12月23日月曜日

国際学会での発表(月曜担当 利光)

こんにちは!

ラーニングサポート月曜担当の利光です。
今回は国際学会に参加したので、準備期間や実際の会場での様子などを執筆します。
海外への渡航は初めてだったので学会だけでなく、その点についても少し触れようと思います。

参加学会:IABEM2024(URL: https://iabem2024hkust-dev.hkust.edu.hk/index.html)

開催場所:香港(香港科技大)
日程:12月4日~6日
発表方式:口頭発表 20分

まず、初めに、口頭発表の申し込みのために1ページの短い論文を書く必要があります。(2024年6月頃)
国際学会なのでもちろん英語で書きます。
まずは、日本語で何を書くか検討します。そしてそれを自分で英語にします。
続いて、文法チェックをします。(今回Grammarlyを利用しました)
次に、DeepLを用いて、自分の書いた英語を日本語に翻訳してもらい、意図した内容になっているかを確認します。
最後に何度か読み直して不自然な点やミスを修正して第一案の完成です。
その後先生に確認してもらい、修正したのちに提出です。
(修正してもらうたびにもっと英語を勉強しなければと思います......)

次に参加登録と参加費の支払いです。(2024年9月頃)
当然すべて英語で書いてあるので、少し不安になりつつも、一緒に参加する研究室のメンバーや先生に確認を取りつつ進めました。
ホテルや航空券は先生がまとめて手配してくださいました。
(初海外なので初めてパスポートを取得しました)

発表準備です。(2024年11月頃)
スライドを作成→先生に添削をお願いする→英語の発表原稿を作成して覚える という流れで進みました。
スライドの第1案を先生に添削してもらったところ、「文字が少ない」という指摘を頂きました。というのも、日本語での発表の場合、スライドの文字を必要最小限にとどめて口頭で説明した方がすっきりとした見やすいスライドになります。英語でも日本語と同等のレベルで説明できるのであれば問題ありません。しかし、今回は初めての英語での発表で、私はそれほど英語は得意ではありません。そのため、緊張して話すことを忘れてしまったという最悪の場合に、とりあえずスライドを読めば何とかなる程度には文字を増やした方が良いというアドバイスを頂きました。その後、再度修正し、さらに添削をしていただきました。(合計で2~3時間もスライドの添削をしていただいたので先生には大変感謝しています)
その後、発表原稿を作成し、Grammaryで文法確認、DeepLで意図した内容になっていることを確認しました。文量は1分に120単語程度になりました。
また、発表練習にはNaturalReaderを利用しました。これは無料で利用できるアプリで英語の原稿を渡すと音読をしてくれます。正しいと思っていた発音が実は間違っていたということに気づかせてくれたため非常に勉強になりました。
繰返し音読、スライドを見ながら話す練習、スライドを見ないで話す練習をして、何も見ずにちょうど20分の発表が出来るようになるまで練習しました。(人前で話すのはあまり得意ではないので頑張りました)

いよいよ出発です。(12月3日)
飛行機にも乗りなれていなかったのでかなりドキドキしながらも無事ホテルに到着しました。
原稿は暗記できていたのでこの日は軽く確認だけしました。

発表当日。(12月4日)
朝はそれほど緊張していなかったのですが、自分の発表するセッションが始まる前は少し緊張しました。それでも、なんとかなるかぁぐらいの気持ちだったのですが、いざ発表が始まると急に緊張してきました。聴衆同士が少し話していると「何か自分が間違ったことを話しているのかな?英語がおかしい?」と思えてしまいました。(そんなことあるはずないのですが、そうだと分かっていても不安でした)
そんなことを考えて緊張しつつも、無事発表を終えました。
次は質問です。質問は何が言いたいのかどのような内容を答えればよいかまでは理解できましたが、やはり緊張すると英語で言いたいことをまとめるのは難しく、部分的には先生に助けて頂き、無事終了しました。

そんなこんなで、初めての国際学会発表は無事終了しました。
一番感動が大きかったのは、英語でコミュニケーションが取れたことです。発表だけでなく、前後の休憩時間等で海外の学生や先生が話しかけてくださった時に、上手に話を広げたり質問したりは出来なくとも内容を理解して意思の疎通が取れたことは、これまでテキストで英語を勉強してきた私にとって、かなり嬉しいことでした。それと同時に、英語で発話することの難しさも感じ、英語で話すためには考えれば話せるレベルではなく、自然と英語が出てくるようになるまで練習しなければならないのだと改めて実感しました。
また、国際学会に限らず、学会に参加して他の人の研究発表を聞くと、自分ももっと研究に力を入れようと思ったので、残り少ない時間ではありますが、さらに頑張ろうと思いました。

まとめると、緊張や不安はありましたが、貴重な経験をして多くのものを得られ、かつ非常に楽しかったです。
機会があれば思い切って参加してみると良いと思います!

以上です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。



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2024年12月6日金曜日

GD最強攻略 ~就活編~(タイムキーパー:後編)(金曜担当 江藤)

 理系のパソコンソフトはMACだと動かない。

どうも金曜担当の江藤です。

前半の記事を読んでくれた方長らくお待たせしました。ボチボチとGDにおけるそれぞれの職業のコツを記載していきたいと思います。この記事を読んで身につければGDに怖いものなしになれます!!

②タイムキーパー

前半の記事でも述べたように、タイムキーパーとして時間を管理しながら議論に参加することは難しいです。そういったタイムキーパーの攻略法を伝授していきたいと思います。

1.タイムキーパーなんかやるな

こういうのもなんですが、タイムキーパーはやるだけ損だと思います。なぜなら仕事内容は時間をはかるだけですからね(笑)。時間をはかっていたってGDの評価において何のプラスにもなりません。ただ仕事量と時間を一人で管理しないといけないという責任と言った負担が増えるだけです。そもそもタイムキーパーていりますか?時間の管理なら参加者全員で行えばいいですよね?よく就活サイトなどでGDの時はタイムキーパーを役職として設定しておこうといった記述を見かけますが、私はわざわざタイムキーパーという役職をGDにおいて作る意味がわかりません。

2.ツールを活用せよ

それでもタイムキーパーをやるんだという人はツールを最大限に活動しましょう。ただ時計を見ながら時間を管理しようとしている場合、議論にのめり込み過ぎてついつい時間が過ぎてしまうといったことが起こる可能性があります。それを防ぐために使えるツールは全て使いましょう。例えばGDをオンライン上で行う場合、アラームなどを手元の携帯でかけておくことも一つの手です。自分が発言するとき以外はミュートにすることで、アラームがなっても周りに築かれませんし、時間が過ぎると言った心配はなくなります。

3.ファシリテーターのサポートに回れ

少しでも面接官の評価を上げるために、タイムキーパーが行える方法としてファシリテーターのサポートに回ると言った手があります。

時間を知らせる時に

「後○○分で予定時間です」

というのではなく

「後○○分で予定の時間になります。個人的には○○さんの意見のこの部分は××といった観点で非常に大事だと思います。それを踏まえたうえでそろそろ議論を収束させようとした方が良いと思うのですが、ファシリテーターの△△さんいかがですか?」

と言いましょう。

もうとにかく自分がGDの潤滑油になるといった勢いでファシリテーターをサポートしましょう。時間を伝えるついでに何かを言う時は、誰にも邪魔されずに自分の意見を言うチャンスです。このチャンスを有効活用しましょう。おすすめの有効活用法は先ほども少し述べましたが、議論の潤滑油に自分がなれるように使うことです。この絶対無敵の発言権が使えるタイミングは話し合いの流れが変わる時です。なので、チャンスのタイミング的に話し合いの流れをスムーズに変えることでGDに貢献しているとアピールしやすいと思い、潤滑油としてこのチャンスを使うことをおすすめとしました。

以上がタイムキーパーのコツです。まだまだ書ききれていないコツもありますので、興味があったら理工学メディアセンターのラーニングサポートを訪ねてください。



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2024年11月28日木曜日

修士1年生の就職活動~春夏編~(水曜担当 谷尻)

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2024年11月6日水曜日

分子化学専修の中間発表の様子(木曜担当 近藤)

こんにちは!

ラーニングサポート木曜担当の近藤です。
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今回の記事では、分子化学専修で7月に開かれた中間発表の様子をお届けしたいと思います。中間発表とは、修士2年の学生たちが修士論文の執筆に向けて7月時点での自分の研究状況を発表する場のことです。ちなみに、分子化学専修というのは研究領域を表す区分のことで、学部生で言うところの「数理科学科」「機械工学科」のようなものです。例えば私の場合、理工学研究科基礎理工学専攻分子化学専修の学生ということになります。

中間発表の様子をお届けするとは言ったものの、中間発表参加者には守秘義務があり、中で知った学術的な情報をお話しすることはできません。中間発表に際してどんな準備をし、当日どのように発表したか、という催し全体の流れや雰囲気を中心にお伝えします

1. 中間発表の概要

日時・場所:7月中旬
ショートプレゼンテーション
厚生棟中会議室 12:45 - 13:45
ポスター発表
創想館マルチメディアルーム 14:25 - 17:10

発表形式
ショートプレゼンテーション
発表時間:1分30秒
発表データ:スライドは2枚以内
ポスター発表
発表時間:2グループに分かれて以下のスケジュールで行いました。「教員への説明時間」には、当該グループの発表学生と教員のみが参加でき、「閲覧時間」には、分子化学専修に所属する研究室の学部四年生・修士学生・博士学生・研究員が参加できます。
グループA:14:25 - 14:55(教員への説明時間)14:55 - 15:40(閲覧時間)
グループB:15:55 - 16:25(教員への説明時間)16:25 - 17:10(閲覧時間)
ポスターサイズ:A0

2. 準備期間

発表当日までに行ったことは以下の4つです。

  1. ポスターのストーリーを考える
  2. ショートプレゼン用の資料を作る
  3. ポスターを作る
  4. ショートプレゼンの練習

一つずつ説明します。

最初に、一番楽で、一番締め切りの早いショートプレゼンの資料作りから始めようとしたのですが、研究室の先生に止められました。ショートプレゼンはポスター発表の宣伝的位置づけなので、メインのポスター発表の全体像が決まっていなければ、どの部分を抽出してアピールするべきか判断できない、と。そりゃそうだ

というわけで、ポスター発表の流れ(ストーリー)を書くことから始めました。伝えたいことを書き出し、論理的に伝わる順番で並べます。伝えたいこともそれを示すための計算結果も揃っていたので、ストーリーはスラスラ書けました。しかも、過去に学会で行ったポスター発表の内容が流用できそうだったので、新しく考えなければならないことはあまりありません。

サクッと作って先生に見せたところ、こう言われました。

このイントロじゃ伝わらない。

私が過去に参加したのは理論化学の学会で、聞き手は私と近い分野の研究者ばかりだったので、イントロを細かく必要はなかったのですが、中間発表にいらっしゃる先生方のほとんどは理論系ではなく実験系の研究者。前提知識にギャップがあるので、学会発表のポスターと同じストーリーでは伝わらないというわけです。

私は浅はかな考えを捨て、イントロ部分を厚くしたストーリーを練り直し、無事先生からOKをもらいました。

ポスターのストーリーが決まったら、次はショートプレゼンの資料作りです。スライド2枚に発表内容をまとめます。構成としては、スライド1枚目に研究背景と目的を、スライド2枚目に代表的な結果1つとそれに関する簡単な考察を載せました。

たった2枚のスライドなので、1日とかからず資料はできました。例のごとく、先生のところに持って行ってコメントを頂いたわけですが...

1枚目のスライドの字が多い(by 先生)

ついつい文字で説明したくなってしまう癖が私にはあります。以前にも同じことを指摘されたので、今回は気を付けて図も使っていたのですが、それでもまだ字が多かったようです。スライド1枚目はイントロにあたるので、研究対象を映像的にイメージ出来るようにスライドを作らないといけない、とのことでした。

私の研究対象は「水-空気界面の水分子の運動」なので、水面の写真(ネットで公開されている利用許諾のいらない写真)と水分子のモデルが運動している画像(こちらは自作)を組み合わせて利用しました。水面の写真が綺麗だったので、研究対象をイメージしやすくなったのは勿論のこと、スライドの見栄えが大変良くなりました

ショートプレゼン資料に載せた図.
水面の写真の著作者:rawpixel.com 出典:Freepik


ショートプレゼンの資料が完成し、いよいよメインとなるポスター作りに入ったのですが、こちらは意外と苦労しませんでした。既にストーリーが固まっているので書くことがはっきりしていましたし、研究結果や考察の部分については以前作ったポスターの資料を流用することも出来ました。

ポスターが完成した後、ショートプレゼンの練習を始めました。「メインのポスター発表の練習をしなくていいの?」と思われたかもしれませんが、私は自分の研究に関する話であれば、そこそこ出来る自信がありましたし、学会で行った発表と内容が被る部分もあったので、ポスター発表については不安視していませんでした。

逆に、ショートプレゼンについてはメチャクチャ不安でした。というのも、発表時間が1分半しかないのです。1分半という時間はかなり短く、言葉に詰まってしまうと、言いたいことを言い切る前に発表時間が終わってしまいます。つまり、ショートプレゼンは台本丸覚えが前提となる発表なのです。

私は台本を覚えるためにシャドーイングを行いました。シャドーイングとは、簡単に言えば、聞こえてくる音を復唱することです。具体的には、以下のような流れです。
  1. 台本を読み上げる自分の声をスマホで録音
  2. 録音音声を聞きながら、台本を読み上げる
  3. 慣れてきたら台本を見ずに、録音音声を追いかけるように復唱
シャドーイングができない時にも録音音声は聞き続けるようにしていました。とにかく、「聞いて」「声を出す」ことで音を自分の頭に沁み込ませます。

この練習法の良いところは、単に台本を覚えやすいというだけでなく、音のテンポも覚えられるところです。この手の発表でありがちなのが、緊張して早口になること。シャドーイングでは台本を文字ではなく音で覚えるので、緊張しても元の録音音声に近いスピードで発表が行えます。

その分、録音音声の作成には気を遣いました。スライドのページを切り替えるタイミングの「次のページお願いします」という掛け声も録音しました(ショートプレゼンでは、スライドの操作は自分で行うのではなく、係の先生にやってもらう)。

英語学習において効果的と謳われるシャドーイングですが、日本語を覚える上でも有効で、数日で台本をそらんじられるようになりました。ちなみに、発表後も1カ月くらいは台本が頭から離れませんでした(笑)

3. 発表当日

ショートプレゼンは昼の12:45から厚生棟中会議室で行われました。院と学部では分野の区分が異なっているので、分子化学専修には化学科の先生と応用化学科の先生がいらっしゃいます。化学科出身の私は応用化学科の先生や学生のことをほとんど存じていないので、会場に来ている人の半分くらいとは面識がありませんでした。そのような状況下で、丸暗記した発表台本をミスなくそらんじなければならなかったので、めちゃくちゃ緊張しました。

ショートプレゼンの発表自体は多分上手くいったと思います。"多分"という曖昧な表現になっているのは、緊張で細かい記憶がないからです。ただ、そんな状態にあっても、口が勝手に動いていたことは覚えています。これぞシャドーイングパワー。それから、もう一つ覚えているのは、レーザーポインターの電池が途中で切れたことです。レーザーポインターは自前で用意する必要があったので、研究室のポインターを借りて持ってきていたのですが、どうやら電池がギリギリだったようです。途中でポインターを使うことを諦めました(幸い、ポインターがなくても何とかなる内容だったので致命傷は避けられました)。皆さんも大事な発表前にはポインターの電池を交換しておきましょう。何はともあれ、同じ研究室のメンバーから「発表良かったよ」と言ってもらえたので、表面上はつつがなく発表できていたようです。

全員(約30人)のショートプレゼンが終わった後、ポスター発表のセクションに切り替わります。ポスター発表はグループAとグループBに分かれて行われますが、私はグループAだったのであまり時間がなく、すぐ会場にポスターを貼りに行きました。創想館マルチメディアルームがどこか分からず迷子になるというトラブルはありつつも、発表時間前にポスターを貼り終え、先生方がいらっしゃるのをドキドキしながら待つことになりました(ちなみに、創想館マルチメディアルームはメディアセンターがある棟の地下2階でした)。

ポスター発表には「教員への説明時間」が設けられているので、先生が一人も聞きに来ないということはあり得ません。空いているポスターがあったら、先生も気を遣って聞きに来てくれます。私としては、先生方からどんなツッコミが飛んでくるか分からなかったので戦々恐々としていましたが、実際には思ったほど怖くありませんでした

ツッコミ以前の問題として、私の発表があまり伝わっていなかったということもあると思います。物理化学系の先生からは色々と質問を頂きましたが、有機化学系の先生はあまりピンと来ていない様子でした。先生からOKが出るくらいにはイントロを厚く作ったつもりでしたが、それでもまだ十分ではなかったようです。色々と反省が残りました。

一方で、研究が伝わった時の嬉しさったらありません。これは個人的な事情ですが、研究室内に私と近いテーマの人がほとんどいないので、私の研究の話は同じ研究室のメンバーにすらあまり伝わりません。これまで一人で黙々と研究を進めてきたのですが、やはり自分の研究を他人と共有できないのは寂しいものです。そんな状況でしたから、表面化学の先生に興味を持って頂いたときには、嬉しすぎてポスターに書いていない裏の工夫や苦労話までしてしまいました。

結果的に私のポスターには先生4人、学生3人が来てくれました。なかなか盛況で発表し甲斐があり、楽しかったです。ポスター発表で舞い上がっていたのは私だけではなく、発表者は皆生き生きとしていました。先生方も興味深そうに聞いていて、会場全体に活気がありました。一方で、私と同様に、研究分野の違いによるディスコミュニケーションは色々なところで起こっていたようでした。

ただ、今思い返してみると、研究分野が違うからこそ発表しやすかったのかもしれません。なぜなら、質疑応答において、発表学生が主導権を握れるからです。学会では、発表学生よりも聞き手の先生の方がその分野に詳しいということはよくあるので、非常に高度な質問が飛んできて学生側がついていけなくなる、ということが結構あります。中間発表は、そういった事故が起きにくい環境だったので、学生が伸び伸び発表しやすい雰囲気がありました。

4. 最後に

中間発表は準備が大変でしたし、ショートプレゼンも緊張しましたが、全体を通して見ると楽しかったです。そんな中間発表の雰囲気が少しでも皆さんに伝わっていたら幸いです。

また、中間発表は修論執筆前に他の研究室の先生からご意見を頂く貴重な機会です。私の場合、実験系の先生がどんなことに興味を持ち、どれくらい理論研究について理解しているかを肌で感じることができました。

私にとって中間発表は、他分野の研究者との交流が如何に重要であるか実感できる機会となりました。


近藤


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