2023年10月23日月曜日

水分子の世界を覗く(木曜担当 近藤)

初めまして。秋学期木曜12:30-14:00を担当する近藤と申します。
今学期からラーニングサポートを務めさせて頂くので、この場をお借りして自己紹介させて頂きます。

~プロフィール~

・学年:修士1年
・学科:化学科
・研究室:畑中研究室
・研究内容:界面水の秤動運動のシミュレーション解析
・趣味:囲碁、筋トレ

~研究~

私の所属する畑中研究室では、電子状態計算・機械学習・シミュレーション・量子コンピュータによる計算など様々なアプローチを用いて化学にまつわる理論研究を幅広く行っています。その中で私は、水分子の運動をシミュレーションし、解析する研究を行っております。

水は私たちにとって最も身近な物質と言えますが、化学や工学においても重要な役割を担っています。例えば、水分子の運動は電子やイオンといった電気的物質の運搬に関わるため、電池の性能に直結します。また、水中に化学種が溶解している環境では、水和している水分子の向きが変化することで化学種の反応性が変化します。このように、様々な化学的メカニズムにおいて水分子の運動は重要な役割を果たしているため、その詳細を理解することは極めて重要です。

私が特に興味を持っているのは"界面"の水分子の"秤動運動"という運動です。界面というのは二種類の物質の「境界面」のことで、私の研究では水と空気の界面を考えています。秤動運動というのは水分子が振り子のように振れる運動で、OH伸縮振動やHOH変角振動と比べるとゆっくりとした(低波数の)振動運動です。界面の水分子の秤動運動は現在の実験技術では観測することが出来ません。そこで、コンピュータシミュレーションを行い、運動の解析を行うことになります。シミュレーションについての説明は非常に込み入ったものになってしまうので、またの機会にしたいと思います。ただ、皆さんが想像する通り、プログラムをかいて、大きな計算機に計算させて...というような研究手法です。なお、畑中研ではプログラミングを教えるところから始めるので、プログラミング経験が皆無だけどプログラミングしてみたいという人は是非来てください。毎年入ってくるメンバーの半数は完全未経験者です(かく言う私も未経験者でした)。

~趣味~

中学時代に囲碁部に所属していたので囲碁が打てます。当時はアマ二段の実力でしたが、中学卒業後めっきり打っていないので、現在はめちゃくちゃ弱くなっています...

筋トレは今年に入ってから始めました。近所のスポーツセンターのジムが3時間300円と格安だったので、そこに通っています。お腹の贅肉を落とすことが目標だったので、最初は腹筋や胸筋を鍛えていたのですが、実は下半身も同時に鍛えた方がいいということに最近気づきました。

研究もほとんど趣味と化しています。シミュレーション結果は映像化できるので、水分子が動いているところを見てよくニヤニヤしています。水分子は酸素原子1個と水素原子2個で構成されていて、折れ線形で、水素結合を形成し、振動していて...といった情報は高校の時点で習うことですが、実際にどんな運動をしているのか想像できる人はほとんどいないと思います。凄まじい数の水分子が一斉に動いている様は圧巻の一言です。

~終わりに~

大学の量子化学、物理化学は取っつきにくいと感じる人が多いと思います。それは、量子的な世界を絵で描いて表現することが難しいからです。光が粒子性と波動性をあわせ持つことや波動関数の絶対値の二乗が粒子の存在確率に比例することなどを図示することは困難です。結果として意味の分からない式ばかりが並びがちで、頭を悩ませている方もいらっしゃるかと思います。そのような方はどうか一人で悩まず、メディアセンター1階のラーニングサポートデスクまでお越しください。一緒に考えましょう!勿論、勉強に関わることだけでなく、研究室選びなど学生生活に関わるご相談も歓迎です!!