みなさん、こんにちは!
■はじめに
今回は、「研究室 1 年目の過ごし方」についてお話します。
ほとんどの学生は、学部3年生の春休み(2-3月)か、学部4年生の4月から研究室での活動が始まると思います。研究室での過ごし方に関しては、経験してみないと分からない部分もあると思いますが、1年間のスケジュールや流れをあらかじめ知っておくだけでも、かなり気持ちは楽になります。
もちろん、研究室によって進め方や雰囲気は異なります。
例えば、早い段階から実験に入る研究室もあれば、文献調査や輪講をじっくり進めてから本格的な研究に入る研究室もあります。ただ、「研究の土台を作る時期」「研究を発展させる時期」「卒論として仕上げる時期」という大まかな流れは、多くの研究室で共通していると思います。
そこで今回は、自分の研究室1年目を振り返りながら、どの時期に何をしていたのか、そしてその時に何を意識するとよいかを、4つのフェーズに分けて紹介したいと思います。
■研究室 1 年目の年間スケジュール(例)
4-6月:研究の土台を作る時期
・研究テーマ決め
・輪講準備・発表
・大学院願書提出準備
・研究の方向性整理
7-9月:研究を立ち上げる時期
・共同研究先との接続
・実機やソフトウェアの扱い方を学ぶ
・研究計画の再構築
・中間報告
10-12月:外に向けて研究を伝え始める時期
・共同研究先との打合せ
・研究室説明会や研究紹介
・実機環境整備
・卒業論文執筆開始
1-3月:研究を仕上げる時期
・卒業論文完成
・卒論審査会発表
・学会原稿提出・学会参加
・次年度に向けた研究の発展
■4-6月:まずは「研究室に慣れる」時期
研究室に入ってすぐは、いきなり研究成果を出すというより、輪講の準備、大学院の願書準備、研究テーマの理解などが中心でした。
自分の研究室では、修士の先輩の下に付く形で研究を進めていくため、4 月の頭には大まかな研究テーマが決まり、それに沿って輪講(論文を読み、持ち回りでその内容を発表し、質疑応答を行うもの)が始まりました。
4月に日本語論文、5月と6月に英語論文を読み、発表していく流れだったので、最初の数か月は「研究を進める」というよりも、研究の背景を理解するための準備期間という感覚が強かったです。
また、4月の終わり頃には大学院の願書提出があり、進学理由や研究概要、研究計画を書く必要がありました。ここで重要だったのは、輪講で読んでいる論文の内容が、自分の研究とどう繋がっていくのかを意識することです。最初は論文を読むだけで精一杯だと思いますが、
・自分は何に興味を持ったのか
・今後どんな研究をしたいのか
・将来どんな方向に進みたいのか
を少しずつ考えておくと、願書や研究の方向性整理がかなりスムーズになります。
また、4〜6 月は研究が目に見えて進まないので不安になりやすく、新生活で疲れが出やすい時期でもあります。
授業、研究室、アルバイトなどが重なる人も多いと思うので、最初から完璧を目指すより、まずは基礎体力をつける時期だと思って、焦らず研究室での生活リズムを掴むことが大切だと思います。
■7-9月:研究を立ち上げる時期
7 月以降は、少しずつ「研究室の一員」としての動きが増えてきました。
自分の場合は、輪講の最終発表に向けて研究背景や目的を整理し、関連論文を国内外から選び、研究資料を基に解析コードを書き始めました。また、実機の動かし方を学び、共同研究先のエンジニアの方とメールのやり取りを始め、研究計画書の作成も進めていました。
8 月には共同研究先とのミーティングで研究計画を共有し、出張先でソフトウェアの使い方を学んだ後、ようやく実機を用いた本格的な研究が始まりました。
9 月には研究室内での中間報告があり、さらに共同研究先とのミーティングを通して、研究方針を改めて整理しました。
この時期に感じたのは、研究は最初から一直線に進むものではないということです。
むしろ、
・論文を読んで考える
・実際に装置やソフトに触れる
・共同研究先の方や先生と話す
・一度決めた計画を見直す
といった試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ形になっていくものだと思います。
また、夏休みは「研究を一気に進められる時期」に見えますが、実際には出張やミーティングなどもあって意外と忙しいです。だからこそ、「完璧に進める」より実際に手を動かして、研究の輪郭を掴む時期として捉えると良いと思います。
■10-12月:外に向けて研究を伝え始める時期
10 月以降は、研究そのものに加えて、研究室説明会や授業内での研究紹介、外部の先生へのデモ、共同研究先への進捗報告など、研究室外に向けて自分の研究を伝える機会も増えました。
自分はこの時期、
・学部 3 年生向け研究室説明会の資料作成
・説明会本番のスライド説明・デモ担当
・学部 2 年生向け授業での研究紹介
・他大学の先生向けの研究紹介
・共同研究先とのミーティング
・慶應テクノモールの準備・参加
などを経験しました。
研究をしていると、どうしても「自分だけが分かっていればよい」という感覚になりがちですが、実際には、研究内容を相手の知識や経験に応じて分かりやすく説明する力が重要です。研究室内では通じる言葉でも、学部生や企業の方、他大学の先生には伝わりにくいことがあります。研究への理解が深まってくるこの時期に、説明やデモの経験を繰り返し行うと、後の卒論審査会や学会発表にも活きる土台ができると思います。
また、自分の研究を伝えるだけでなく、名古屋で開催された工作機械トップセミナーに参加したり、他研究室の装置を見学したりする中で、自分の研究を外から見つめ直す機会もありました。
一方で、ハードウェア購入や実機環境整備も進めつつ、11 月の終わり頃から、少しずつ卒論の構想を立て、本文を書き始めました。この時期は、研究を進めることと、卒論としてどう見せるかを同時に考え始める時期だと思います。
■1-3月:研究を仕上げる時期
1 月以降は、いよいよ研究を仕上げる時期に入ります。
自分の場合は、共同研究先のエンジニアの方にソフトウェア改良をしていただきながら、論文査読、アルゴリズム設計・解析を進め、1 月下旬に卒業論文を完成・提出しました。その後、卒論審査会に向けた発表練習や資料修正を行い、2 月頭に本番の発表を迎えました。
おそらく多くの研究室でも、1 月下旬〜2 月上旬に卒論提出や発表があり、その前後で最も忙しくなるため、「ここから完璧に研究を発展させる」ことよりも、「今ある成果をどう整理して伝えるか」が大切だと思います。研究には必ず未完成な部分が残りますが、それでも
・何を目的にしたのか
・どこまでできたのか
・何が課題として残ったのか
を明確にできれば、卒論として十分価値があります。だからこそ、この時期は「最後に気合いで何とかする時期」というより、これまで作ってきた土台の上に、研究を仕上げる時期だと考えておくと良いと思います。
また、2 月以降は共同研究先への進捗報告や、国内学会用の論文提出、学会発表がありました。さらに、国際学会への参加が 2 件決まり、2 ページ論文提出やアブストラクト提出も行いました。1 年間の研究成果がようやく形になり、それが次の挑戦につながっていく時期だと思います。
■おわりに
ここまで振り返ると、研究室 1 年目は、4〜6 月は輪講や願書準備、7〜9 月は研究の立ち上げ、10〜12 月は研究の発展と発信、1〜3 月は卒論としての仕上げ、という流れだったように思います。急にすごい研究が始まるというより、論文を読み、発表し、考え、少しずつ土台をつくりながら、後半に向けて研究を育てていくイメージに近いと思います。
もちろん、これは自分の研究室での一例であって、他の研究室では進み方が異なることもあると思います。ですが、多くの研究室でも、
・最初は文献調査や輪講で土台を作る
・夏頃に方向性を固める
・秋に研究を広げる
・冬に卒論として仕上げる
という大まかな流れは共通していると思います。研究室 1 年目は、論文も、実験装置も、研究の進め方も分からないことだらけで不安なことも多いと思います。でも、周りの先輩や同期を頼りながら、分からないことを一つずつ理解していくことで、自分の研究が形作られていきます。自分のペースで目の前のことに取り組んでみてください。
また、研究室生活では、研究そのものだけでなく、バイトや就活、研究室内の仕事なども重なって、思うように進まない時期があると思います。自分も、6〜7 月頃には少しモチベーションが落ちたり、思うように進まないことに焦ったりした時期がありました。
だからこそ、
・最初から完璧を目指しすぎないこと
・自分の研究が将来どう繋がるかを少しずつ考えること
・行き詰まった時は適度に休むこと
の 3 つを大切にすると良いと思います。
これから研究室に入る方や、研究室生活に少し不安を感じている方にとって、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。もし研究室生活で悩んでいることや迷うことがあれば、ラーニングサポートでお待ちしています。一緒に研究頑張りましょう!
後藤
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理工学研究科の院生スタッフが自身の経験をもとに、学習や研究・進路に関する質問・相談に応じます。
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