化学の力(chem)を使って普段の生活をもっと便利(convenient)に、つまり
「日々の生活をChemvenientに」
できるような知恵を紹介しています。第一弾はこちらです。第二弾は、「半分焼けばおいしさ2倍!」です。
肉じゃがをはじめとしたお肉料理がおいしくなる、Chemvenientです。
焼いて煮る?そのまま煮る?
肉じゃがは筆者の大好物です。安いし、食材も多いし、見た目もきれいで、つくるのも簡単。日本が誇る家庭料理ですよね。どこのお店でも売っているから、手軽にたべることができます。でもやっぱり、自分でおいしいのを作れたらよいですよね。
肉じゃが
筆者は、お肉を半面だけ焼いてから煮込むようにしています。こうすることで、いつもの作り方よりも2倍は美味しくなります。半分なのに2倍、一見すると相反しているようですが、どうして「お肉を半面焼けば、おいしさは2倍」なのでしょうか。
ここに化学の力が隠されているのです。
「お肉を焼く」の化学
”そもそも本当においしい食材なのであれば、そのまま嚙りつくほうがいい。料理とは、食材のもっている本来の味以上のものをひきだすことである”このように述べたのは、料理評論家の服部幸應(はっとりゆきお)先生です(注1)。まさにその通りで、お肉を炒めることは、お肉が持ってない新しい美味しさを創造する効果があります。なぜならば、お肉を高温で炒めることでお肉の表面で化学反応が起こり、おいしい成分が新たに生まれるからです(メイラード反応といいます)。焼肉の香ばしい香りがいい例です。これは、煮込むだけでは決して生まれないおいしさです。
また、お肉を炒めることで肉表面を固め、うまみ成分がお肉の外に流出するのを防止できます。ハンバーグがいい例です。噛むと、肉汁がジュワっと出てきますよね。
お肉を焼く効果
一方で、鍋料理ではお肉を炒めることなく、最初から最後まで煮ます。炒めずに煮ると、味が良くしみるだけでなく、肉汁が溶け出してスープがおいしくなります。鍋がよい例です。スープが格段においしくなりますよね。
お肉を煮る効果
では、お肉の半面だけを焼き、それを煮込んだらどうなるでしょうか。焼くことであたらしいおいしさ成分が生まれ、なおかつ肉汁の流出が半減されるため肉が美味しく、それでいて肉汁の一部は溶け出すためにスープもおいしく、そして味がよくしみる。まさに、焼くと煮るのよいとこどり!であり、普段よりも2倍オイシイ裏ワザなのです。
焼くと煮るの良いとこどり
今日のChemvenient: 半分焼けばおいしさ2倍
第二回のChemvenientはいかがでしたでしょうか。普段何気なくやっている調理には、多くの化学が隠されています。肉じゃがに限らず、”焼く”と”煮る”を使いこなし、何倍にも美味しい料理に挑戦してみてください。ちなみに筆者は、お肉を食べるなら炭火焼きが一番好きです。香りも火の通りも段違いです。炭火焼きには独特の化学があります。ぜひ調べてみてください。
参考文献
1. 服部幸應 (2012) 『おいしい料理の方程式』 河出書房新社.
菅野さん
返信削除いつも楽しく拝見させて頂いてます。
今回のChemvenientも大変参考になりました!
化学がどんどん身近に感じられます!
ありがとうございました!