2023年1月31日火曜日

論文投稿に向けて(木村)

 はじめに

修士二年の木村です。
自身の研究成果を発表する際にはいくつかの方法があると思います。
  • 学会発表
  • 論文投稿
  • 特許
今回は論文投稿に向けて、私が経験した内容をまとめたいと思います。

投稿先の選定

ある程度研究成果がまとまってきたら、どのジャーナルに投稿するかを考える必要があります。
ジャーナルによって専門としている内容や、掲載決定までの期間などが大きく異なります。

私は投稿先を決定する上で以下の要素を重要視しました。
  • 査読期間(審査が短期間で行われるかどうか)
  • IF(インパクトファクター)
  • 国際論文
上記を満たすジャーナルを探し、IEEE Accessへの投稿を目指しました。
このジャーナルは専門的な分野を問わず、幅広い分野の最先端の研究を掲載しています。
また、査読期間が短いことをも有名で、おおよそ1か月~1か月半で結果が届くと言われています。
IFはそのジャーナルがもつ影響度合いを示す指標の一つで、この値が大きいほど評価される傾向がありますが、その分査読も厳しくなります。

執筆

投稿先のジャーナルが決まったら、そのジャーナルのWebサイトにアクセスして原稿の投稿規定が記載されたテンプレートを取得します。ジャーナルによって段組数や図や式の参照方法も異なるため、この投稿規定に従うことは必須です。

人気のジャーナルでは、投稿規定に従っていない場合は査読をせずに不採用が決定してしまうため、念入りに確認が必要です。

私は以下の手順で原稿を執筆しました。
  1. 日本語原稿の作成
  2. 指導教員の確認
  3. 共同研究先の確認
  4. 英語原稿の作成
  5. 指導教員の確認
  6. 業者への英語校正委託
  7. 共同研究先の確認
上記を見てわかる通り、かなりのステップが必要になるため、研究成果が出たとしてもすぐに投稿できるわけではありません。

投稿

原稿を完成させたら、Web経由で論文を投稿します。
ジャーナルごとに提出項目は違いますが、大まかに下記の通りです。
  • Manuscript:原稿(Microsoft Word、LaTexなど)
  • Manuscript PDF:原稿をPDF化したもの
  • Biography:著者情報
  • Conflict of Interest:利益相反の声明
  • Cover Letter:査読者へ論文に興味を持ってもらうための文書
  • Previously Published - Files:以前論文投稿や学会発表をした場合、そのPDF
  • Previously Published - Statement:発表済み論文と今回の研究の差分
  • Graphical Abstract:研究内容を図で端的に表すもの
  • Justifying:原稿の種類(調査論文、研究論文など)の正当化する理由
  • Scope:このジャーナルを選択した目的
  • Unique Contribution:研究の貢献
  • Manuscript keywords:研究を表すキーワード
上記を見てわかる通り、かなりボリュームがあります。
しっかりと準備期間をとることをおすすめします。

査読・修正

査読期間はジャーナルや原稿の長さによっても異なります。
査読者からくる返答は以下のいずれかです。
  • Accept (minor edits):受理または軽微な修正
  • Reject (Updates required before resubmission):再提出が可能だがフィードバックをもとに修正を要する。
  • Reject (Do not encourage resubmit):拒否
再提出が可能なRejectをされた場合は修正をするべきですが、再提出可能な回数制限があるはずなので注意が必要です。完全なRejectをされた場合は、フィードバックをもとに研究を発展させるか、別のジャーナルへの投稿を目指す必要があります。

おわりに

論文投稿は研究成果をまとめる上で誰もが憧れる目標ですが、もちろんハードルも高いです。また、査読を経て掲載が決定した場合はお金もかかるので、指導教員と入念に相談する必要があります。しかし、奨学金の免除や実績として形に残るものなので挑戦する価値があるものだと私は思っています。

また、学会で発表した内容も論文に繋がる可能性があります。
質の高い発表論文は学会後にSpecial Invitationが届くことがあり、学会特集号への掲載を奨励されます。この場合、発表論文との重複度の規制はかなり緩和されるようです。

これを読んでいるどなたかの参考になれば幸いです。

木村