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ラーニングサポート木曜担当の近藤です。
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季節は冬を迎え、すっかり寒くなってしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。このところ寒い日ばかりが続いて気が滅入りそうなので、敢えて夏の話をしようと思います。大学生にとっての夏の風物詩(?)である「夏の学校」のお話です。
夏の学校とは、毎年夏に「若手の会(若手研究者のコミュニティ)」が主催する勉強会のことで、学生が気になる先生をお招きし、数日間に渡って講義や講演を行って頂く企画です。一口に若手の会と言っても、「有機金属若手の会」「天文・天体物理若手の会」「生物物理若手の会」など、分野ごとに別々の組織となっており、様々な若手の会が存在します。調べてみればあなたの研究分野の若手の会も見つかるはずです。大学の夏季休暇に合わせて夏の学校を企画している若手の会は結構あるので、一度調べてみることをオススメします。
夏の学校は各若手の会が独自に企画しているので、内容は若手の会によってまちまちです。今回は主に、私が参加した「第63回 分子科学若手の会 夏の学校」を中心にお話しします。
しおりのまえがき |
「第63回 分子科学若手の会 夏の学校」は分子科学研究所(愛知県)にて以下のようなスケジュールで五日間に渡って開催されました。
スケジュール(分科会=勉強会) |
夏の学校は若手の会によって日程や開催地、講演内容もばらばらですが、その魅力は共通していると思います。私の考える夏の学校の魅力は以下の三点です。
- 旅行できる
- 研究界隈内に友人ができる
- 第一線で活躍する研究者のお話をじっくり聞ける
1. 旅行できる
幹事が毎年変わるため、夏の学校の開催地は毎年変わります。例えば、分子科学若手の会の夏の学校の開催地は、2022年が北海道、2023年が福岡、2024年が愛知でした。私は去年の夏の学校(福岡開催)にも参加していたのですが、豚骨ラーメンを食べ比べたり、屋台を巡ったり、それはもう楽しかったです。
2024年の開催地 分子科学研究所(愛知) |
分子科学若手の会の場合、夏の学校は五日間に渡るのですが、必ずレクリエーション(自由行動)の日が一日設けられています。幹事が企画してくれたツアーに参加するもよし、友人と遊びに行くもよし、一人で好きなところに行くもよし、なんでもありです。ちなみに去年の私は、一人で太宰府天満宮に行きました。今年は……分子科学研究所(愛知)周辺に行きたい所がなかったので近所のスーパー銭湯に行きました…。言い訳すると、実は以前、分子科学研究所に見学に行く機会があり、その際に興味のあった研究室も見て、近くの観光名所(名古屋城など)にも行っていたので、行きたい場所がもう残っていなかったという事情があります。
そんな訳で、残念ながらこの記事に載せられる愛知の観光名所の写真はありません。スーパー銭湯の写真は流石にいらないですよね?とはいえ、私のような特殊なケースを除けば、夏の学校は友人と共に観光を楽しめる素晴らしい機会です。え?あなたの夏の学校には自由時間がない?適当に抜け出せばいいんですよ。
「旅行なら自分で企画する」と思っているそこのあなたにも耳寄りな情報があります。多くの場合、夏の学校にはポスター発表の時間が設けられており、希望する参加者は自身の研究について発表できます。発表と言っても学生の集まりの中でのことですし、偉い先生が来るわけでもないので、学会と比べるとだいぶ緩い雰囲気です。この制度を利用することで「研究成果を発表しに行く」という体で夏の学校に参加でき、お金が動かしやすくなります。
とりあえず、自分の分野の夏の学校が次にどこで開催されるかは調べてみる価値があると思います。「○○若手の会 夏の学校」と検索すれば出てくるはずです。
2. 研究界隈内に友人ができる
実はかなり大きなメリットです。研究者の界隈は割と狭いので、学会に参加する度に顔を合わせる人がいると思います。そういう人と仲良くなっておくことは重要です。知り合いがいれば学会のアウェー感がなくなりますし、飲みの席で研究に役立つ情報を拾えることも。また、もしあなたが研究者を目指しているのであれば、界隈内でのツテは絶対に必要です。
……などと偉そうに語りましたが、そんな私も人見知り。友達を作るのは苦手です。そこで私は自分を追い込むために、夏の学校における宿泊先について、ある決断をしました。今年の夏の学校では宿泊先として
三島ロッジは大きめの一戸建て住宅でした。より正確には、集合住宅と一戸建て住宅の2タイプあったのですが、私は一戸建ての方に割り当てられました。間取りは、大きめの寝室が二つ、リビング、キッチン(ダイニングと合わせて一部屋)、風呂、トイレが一つずつ。「この間取り…何か変…」などということはなく、4人で過ごしても快適な広さでした。また、洗濯機を始めとした家電も完備されており、コインランドリーのお世話にならずに済んだのは嬉しい誤算。
三島ロッジ(一戸建てタイプ) |
キッチン&ダイニング |
リビング |
肝心のルームメイトですが、以下のような面子が集まりました。
- R先輩…九州大学の博士課程3年。頼りがいがあって、多くの後輩から慕われている。方言に愛嬌がある。
- K君…京都大学の修士課程1年。謎の貫禄があり、後輩に見えない。集まったメンバーの中で一番の先輩と言われても信じるレベル。
- W君…金沢大学の修士課程1年。優しいオーラを纏っており、実際に優しい人。分子科学若手の会の役員を務めている。
覚悟していたことですが、共同生活は大変です。ルームメイトは良い人たちでしたが、人柄とは関係なくプライベートスペースに他人がいるというだけで私のスタミナはゴリゴリ削れていきます。飲み会があった初日以外は私が一番早く寝ていました。
また、生活習慣の違い(エアコンの設定温度など)は気になりますし、鍵の管理も面倒でした(鍵が一本しかないので、一番早く帰宅する人が鍵を持っていないと他の人が締め出されてしまう)。ただ、そうした苦労はありつつも、一緒に過ごす中で3人とはだいぶ仲良くなれました。R先輩には博士課程進学に関する私の悩みの相談にのって頂きました。W君とは研究の話題で盛り上がりましたし、来年度も若手の会の役員を務めるそうなので、次の夏の学校の開催地について希望を伝えておきました。K君とはゲームの話をずっとしていました。
共同生活は大変でしたが楽しかったです。学外の研究者と交流する機会はなかなかありませんし、学会で友達を作るのもハードルが高いので、夏の学校は研究仲間を増やす良い機会でした。来年の夏の学校でも複数人部屋を選ぶつもりです。
3. 第一線で活躍する研究者のお話をじっくり聞ける
「第一線で活躍する研究者のお話をじっくり聞ける」という魅力は、夏の学校の趣旨そのものなので、本来であれば一番最初に挙げるべき話題なのですが、いきなり堅苦しい話から入ると「夏の学校=真面目な勉強会」という印象を与えかねないので、敢えて最後に回しました。一応、夏の学校は真面目な勉強会ではあるのですが、学生の交流会という面も強いので…。
----- 注意!!-------
以下では、分子科学若手の会における勉強会の様子をお伝えしますが、勉強会の形式は若手の会によって異なります。あくまでも一例としてお受け取りください。
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分子科学若手の会の夏の学校では、お招きした先生に講義をお願いしています。単なる先生の研究紹介ではなく、専門分野に関する基礎からの超本格的な授業を行って頂きます。講義内容は先生と若手の会の役員が相談して決め、授業テキストを作るところから始めているため、一流の研究者が夏の学校のために執筆したテキストが手に入ります。自分の研究分野の理解を深めるため、あるいは新しい分野の勉強を始めるためにも、夏の学校は役立ちます。
勉強会は五つの分野に分かれています(この勉強会を分科会と呼んでいます)。この五分野はお招きする先生によって変わるので、参加者は毎年分科会のラインナップを見て、どの先生の講義を受けたいか選びます。
2024年の分科会ラインナップ |
私は非線形光学効果と関わりのある研究を行っているので、第五分科会に参加しました(分身して全部の分科会に参加したかったです)。STMについては大学の講義で少しかじっただけで詳しいことは全然分かっていなかったので、今回の講義は非常に勉強になりました。
また、先生から聞けるお話は学術的なものだけではありません。大懇親会では、先生方が「なぜ・どのように研究者になったか」「研究者として何に苦労したか」といった研究人生に関するお話をしてくださりました。有名な先生や偉い先生であっても順風満帆な研究人生を歩んでいることはほとんどなく、むしろ波乱万丈な人生を歩んでいることが多いので話が面白いです。研究者の道に進もうか悩んでいる人には参考になるかも。
個人的には陣内先生の話が印象に残っています。特に「留学前に研究計画を立てていたおかげで留学期間を有意義に過ごせた」「出会いに恵まれた」という二つの言葉を覚えています。
前者は陣内先生が学生時代の留学エピソードを語る中で口にされた言葉です。陣内先生曰く、留学期間はあっという間に過ぎるそう。留学先の研究室の先生も忙しく、常に留学生の相手をしてくれるわけではないので、留学先で研究計画を立てていたのでは研究を十分進める前に帰国することになっていただろう、と仰っていました。日本で研究計画を立て、留学先でやりたいことを予め決めていたからこそ、留学中の時間をうまく活用できたと語られていました。
私は以前から「留学」という響きに憧れを抱いており、留学経験があるというだけで「凄いな」と思っていたのですが、確かに留学は手段であって目的ではありません。研究者にとっての留学は単なる海外体験ではなく、海外の大学の恵まれた研究環境を活用する機会と言えます。そうした目的意識を持つことが重要であると気づかされました。
後者(「出会いに恵まれた」)は特定のエピソードの感想というわけではなく、陣内先生がご自身の過去を振り返る中で度々口にされていたことです。初めて参加した国際学会で出会った研究者が後の研究指針に影響を与えたり、研究課題の解決の糸口を他の研究者との議論の中で見つけたり。誰かとの出会いが陣内先生の研究人生におけるターニングポイントになっていて面白かったです。やはり研究活動は交流の中で深まるものなので、夏の学校のような機会は有意義だと思いました。
終わりに
いかがだったでしょうか。夏の学校の雰囲気や楽しさ、面白さが少しでも伝わったら嬉しいです。大学の夏季休暇は長いですが、ダラダラ過ごしているとあっという間に終わります。そんな夏季休暇を彩るスパイスとして夏の学校はオススメです!
上で説明した通り、夏の学校は学生同士の交流会としての側面も強いので、そこまで研究熱心でない方であっても行けばそれなりに楽しめると思います。旅行や思い出作りにもピッタリ!
それと、今さらですが参加費についてお伝えしていなかったことを思い出しました。と言っても、明確にいくらと提示することは出来ません。なぜなら、若手の会が開催地をどこに選ぶか、企業協賛・個人協賛をどれほど集められるかによって参加費は毎年変わるからです。お得感のある夏の学校になるか否かはあなたの先輩(OB・OG)にかかっています。分子科学若手の会の場合、去年の参加費(宿泊費込み)は3万円でしたが今年は1万6千円でした。
そんな訳で、分子科学若手の会OB・OGの皆さんとここまで記事を読んでくださったあなたに感謝の念を送りつつ、この記事を締めたいと思います。ありがとうございました~(強い思念)。
近藤
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