こんにちは
2023年度春学期 金曜担当 の 化学科 修士2年 村野 です
担当時間は 14:00 ~ 15:30 です
・学部の化学系科目で分からないことがある
・化学系科目の宿題のヒントがほしい
・実験レポートの書き方で悩んでいる
という方は,ぜひ質問・相談に来てみてください
もちろん,授業以外の学生生活に関することでも大丈夫です
今日は,学部3年生向けに,研究室のあれこれを紹介します
はじめに
学部3年生になると,来年所属する研究室のことを考えないといけませんよね
中には,以前から どうしても行きたい研究室がある という人もいるかもしれません
でも,多くの人は
・研究室ってどんなところ?
・研究室に入ったら,どんな生活を送るの?
・そもそも「研究」ってなに?
というところから スタートするのではないでしょうか
本稿では,そんな皆さんに 少しでも研究室のイメージを掴んでもらえればいいな,と思います
研究室ってどんなところ?
・課題設定と解決のスキル
・伝達発表スキル
を養いながら,研究成果の創出を目指す組織 だと思います
これらのスキルは,基本的にどんな業界でも必要とされるものですが,
それは 研究の世界 でも同様で,教科書的な知識 よりもむしろ 重要とみなされます
① 課題設定と解決のスキル
分野を問わず「研究」というものは,およそ次のような流れで進行します
Step 1. 研究計画を考える
Step 2. 研究計画に従い,実験や計算などを行う
Step 3. 得られた結果を総括して,考察する
Step 4. 結果考察を踏まえて 研究計画を更新する → Step 2 に戻る
つまり,課題を設定し,それを解決することをスパイラル的に繰り返していきます
この流れを どれだけ的確に,かつ,テンポよく回せるか というところが,研究者の腕の見せ所です
大学の研究室では,学生と教員がどのように役割を分担するのかは,研究室の教育方針に依ります
多くの研究室では,極端な放任主義とも 極端な管理主義ともならないように,学生の主体性を重んじつつ,教員が適宜アドバイスを行う というスタイルを採用しているように思います
研究テーマを決める作業は,研究の中でも一番の肝になる部分で,世界の研究動向を理解していないといけませんから,学部生の場合は,教員が担うことがほとんどだと思います
しかし,研究テーマが決まった後は,その研究を”自分のもの”にして,研究計画を立てて進めていくことが求められます
② 伝達発表スキル
多くの研究は,国や企業など,外部から資金提供を受けて行うので,
Step 5. 得られた研究成果を外部に公表して,社会に貢献する
ことが義務となっています
学生も 自らの研究成果を 学術論文や学会発表 の形で 公表する機会が多々あります
その際,ターゲットとする聴衆に合わせて,自らの研究の意義を,分かりやすく明確に伝える必要があります
具体的には,まず,どんな社会課題があって,だからどんな研究が必要とされていて,これまでの研究で何がどこまで分かっていて,この研究では何を明らかにする必要があるのか,ということを,聴衆に理解してもらう必要があります
そのうえで,自分の研究では,こんなデータが出ていて,そこからこんな面白いことが分かるんだ,だからすごく意味があるのだ,ということを,聴衆が納得して,興味をもってもらわなければなりません
資料作成や話し方のノウハウは,様々な文献でも扱われていますが,実際には,習うより慣れよ という側面が大きく,研究室内や学内の発表を含め,様々なシチュエーションで場数を踏み,他人の発表と自分の発表を比較する中で,各学術界の作法に合わせて,自分なりのスタイルを身につけていきます
研究室に入ったら,どんな生活を送るの?
一部の研究室では,何時から何時までは活動すべし,というコアタイムがあります
コアタイムは設定していないという研究室でも,実際には,何時に来て何時に帰ってもいい,ということはありません
たいては 平日 の 9:00~18:00 ぐらいを 基本的な活動時間としています
というのも,最低それぐらいは活動しなければ,学位を取得するに足る研究成果を得られないからです
中には,12:00ぐらいに来て,21:00ぐらいに帰ったり,自分に合うように,研究時間をシフトさせている人もいます
さらに多くの研究時間を確保するために,土曜日を活動日としている研究室も多いです
その活動時間の中で,学生は,実験,計算,解析,考察,文献調査 などを行います
研究は,授業とは違って,時間割があるわけでもないし,先生が進行してくれるわけではありません
日々のタスクとスケジュールは,自分で管理します
学術論文の発表を目指して,やるべきことをリストアップして,計画的に進めていきます
また,学部4年と大学院生の必修科目に「輪講」というものがあり,たいていは毎週決まった曜日に,研究室内の学生が 持ち回りで 参考書の解説をしたり,論文紹介をしたり,研究発表を行ったりします
その合間に,授業を受けて,卒業(修了)に必要な単位数を確保します
そもそも,「研究」ってなに?
「研究」とは「社会の課題を解決するための方法を提案すること」だと思います
どんな研究でも、まずは,世界が直面する社会課題があって,その解決の助けとなるような情報を提供することを目的として,行われています
世の中の人が,知りたいと思っていること,欲しいと思っている情報を提供することが,研究者の使命になります
そして,世の中の人だけでなく,自分が面白いと思っていることも,もちろん重要です
自分の研究は面白い,もっと知りたい,ぜひ明らかにしたい,世の中の人にこの研究について知ってほしい,と思っていなければ,決してよい成果を生み出すことはできません
皆さんもぜひ,研究を通して,社会の役に立つことを意識してください
さいごに
以上,研究室のあれこれについて,「個人的な」見解を述べてきました
少しでも,皆さんの参考になっていたら,嬉しいです
研究室にはそれぞれ,個性があります
科学的・技術的な強みに加えて,教育・研究方針など,様々なカラーがあります
百聞は一見に如かず,ですので,とにかく気になる研究室があれば,躊躇せずに見学に行ってみてください
研究室のホームページを見るだけでなく,研究室の雰囲気や,実際に所属している学生たちの話を聞くことが,何より参考になると思います
最後まで読んでくださり,ありがとうございます
村野