2025年11月5日水曜日

化学英語の勉強 (木曜担当 能登)

みなさんこんにちは!

木曜12:30-14:00にラーニングサポートを担当しております、能登です。

今日は化学分野の英語の勉強についてお話ししていきます。

私は英語が苦手で、これまで英語の勉強を後回しにしてきました。そして今、化学英語を習得しようと苦労しています……。今回は、これから専門分野の英語を学習したいけどどうすればいいのか分からないという方、研究室配属前にやっておくべき英語勉強を知りたい方などに向けて、私が実際にやっている化学英語の勉強法、学部時代にやっておけばよかったと思うこと、化学英語の難しさについてお話ししていきます。

まだまだ英語が苦手な私ですが、苦手なりにお伝えできることもあるかと思いますので、興味のある方は覗いていってください。

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はじめに~化学英語の必要性

みなさんは英語、得意でしょうか。

先述したとおり私は英語に対する苦手意識が強く、英語を勉強する必要があった高校生の頃はともかく、大学に入ってからは必修の授業以外で英語に全く触れてきませんでした。そのせいか気が付けば英語を見ると身構えるようになってしまいました……。

しかし、研究室に入って早2年。研究をしていると、英語に触れる機会は多くあります。英語論文や、海外研究者の講演などなど。そのたびに身構えていたらストレスが半端じゃありません。実際、英語論文を見るたびに、「うわ英語かあ……読みたくない」という気持ちで翻訳ツールを頼り、また、せっかく海外の研究者の方の講演を聞いても、英語が分からないばかりに内容が全く理解できないという経験もしました。

これらの経験から皆さんにお伝えしたいのは、研究をする際には多かれ少なかれ専門的な英語の知識が必要になるということです。そして当たり前ですが英語への苦手意識は早いうちになくしておいた方がいいです。

翻訳ツールがあるとはいえ、学会に参加する際、発表要旨を日本語と英語の両方で書かなくてはいけないこともあります。ある程度自分自身で英語が理解でき、英語で発表内容が表現できるようになっておくことが必要になるのです。


化学英語の勉強法~学部生(3, 4年生)

では、学部生のうちに専門英語を身につけるためにやっておくべきことは何でしょうか。私が大学院に上がってから、やっておけばよかったなと後悔したことを2点挙げていきます。

1.自分が知っている化学用語の英語の発音を確認する

化学英語を勉強するうえで突き当たる壁の一つが発音です。そもそも化学用語は「ケトン」「アルカン」など、英語に由来する用語が多く存在します。しかしながら、英語圏の人に「ケトン」と言っても伝わりにくいです。ケトンは英語で「ketone」。そのまま「ケトン」と読んでしまいそうですが、それは間違いで、どちらかというと「キートン」に近い発音になります。アルカンも英語で書くと「alkane」。油断すると「アルカン」と言ってしまいそうですが、ネイティブの研究者は「アルケィン」などといった感じで発音します。

いきなり「アルケィン」と聞くと、一瞬「ん?アルケン?」と思うかもしれませんが、アルケンは英語で「alkene」。発音はむしろ「アルキーン」に近くなります。そうなると、日本語でいうアルキン、つまり「alkyne」と間違えそうですよね。「alkyne」の発音は「アルカィン」なので、今度は「ん?アルカンと言っているように聞こえる……」となり、かなり混乱しやすい発音をしています。アルカン(alkane)・アルケン(alkene)・アルキン(alkyne)の発音は本当に間違えやすいので、要チェックです。

いつも使うような簡単な用語こそ混乱を招きやすいので、ぜひ発音を確認してみてほしいなと思います。

2.化学特有の英単語を覚える

次の大きな壁、それは化学特有の英単語です。例えば「conjugation」。意味は「共役」です。「conjugated olefin」で「共役オレフィン」ですね。私はこのあたりの単語の意味を覚えるのが本当に苦手で、論文などでこういった単語が出てくるたびに調べてしまいます。

もっと早くこういう単語に慣れておけば、もう少し楽に論文を読めたのかな。。。と思うこの頃です。

専門用語の英訳が載っている参考書(『ボルハルト・ショアー現代有機化学』など)もあるので、そういった書籍を見て早いうちから「この用語は英語だとこういう風に言うんだ!」と意識しておきたかったですね。


化学英語の勉強法~修士

さて、これまでは「やっておけばよかった」と後悔したことを紹介しましたが、こちらでは私が修士に上がってから行った勉強について4点ほどご紹介します。

1.翻訳ツールの使用を制限する

何でもかんでも翻訳ツール……そんな感じで日々論文を読んでいましたが、それでは英語は身につかない(当たり前)と思い使用をやめようと思い立ちました。とはいえ全く使わないといつまでたっても論文が読み切れないので、合成ルートや反応機構などについて書かれているところは翻訳を使わない、研究背景やバイオロジー系の記述は知らない単語が多すぎるので翻訳に入れてもよし、といったように自分なりに制限して使うようにしました。また、翻訳を使うのは一回自分で訳してみてから、といった制限も理解が深まって勉強になりました。

同じ分野の論文だとある程度表現方法が似通ってくるため、知らず知らず同じフレーズを何度も目にして覚えていることがあります。以前より単語が頭に入りやすくなりましたし、ネイティブが使う言い回し、コロケーションなどもなんとなく理解できるようになりました。

2.参考書を使って勉強する

化学英語を効率的に勉強するにはやっぱり参考書が必須です。試しにKOSMOSの資料検索で「化学英語」と入れてみてください。たくさんの化学英語の参考書が出てくると思います。

私は発音やリスニングまで学べる参考書が欲しかったので、『化学英語101:リスニングとスピーキングで効率的に学ぶ』という本を購入して勉強しました。この参考書は音声が録音されたCDがついているためシャドーイングなどの学習も可能であり、発音→単語→短文→長文……といった具合に段階的な学習ができる構成になっているため、化学英語についていろいろ勉強したいけど、何から手をつけよう……となっている人にもおすすめできます。内容は有機化学的なものがやや多い印象を受けました。

どんな参考書が自分に合っているか、調べたり、メディアセンターで実際に手に取ったりしたうえで勉強を始められると良いですね!

3.英語論文の音読

これはできる時しかやっていませんが、英語論文の音読をたまにするようにしています。単語の正しい発音をチェックしたうえで読みたいところだけ声に出して読む感じです。

本当は全文さらっと音読してみたいのですが、まだそのレベルに達していない(発音を調べるだけで長時間費える)ために少しずつ少しずつ進めています。「これなら興味持って読めそう!」という論文をちょっとずつ読むだけでも英語に慣れた感じがするのでオススメです。

4.英語の講演を聞きに行く

これは日々の勉強とは少し違う話ですが、普段から英語の講演を聞く機会ができたら率先して聞きに行こうと意識しています。矢上キャンパスでもたまに海外の研究者の方が英語で講演してくださる機会がありますし、学会などで英語講演のセッションへ足を運ぶこともありました。

英語の講演を聞きに行くことで、自分のリスニング能力が今どのくらいあるのかを確かめることができます。かつては「英語だしどうせ内容は分からないだろう」と英語の講演を聞きに行くことに消極的でしたが、いざ聞きに行ってみると、スライドなどの資料もあるため意外と内容が理解できるだけでなく単語の正しい発音なども確認できることに気づき、専門分野の英語講演は積極的に聞きに行くようになりました。

今はまだ化学英語勉強中ですが、勉強中なりに「前よりも講演の内容が理解できた!」といった感じで自分の成長を実感しやすいので楽しく講演を聞くことができています。

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以上、私の化学英語勉強についてお伝えしてきました。まだまだ勉強中の身ですが、ゆくゆくはリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングすべて不自由なくできるようになって、国際学会に参加したり、英語論文をサラサラ書いたりしてみたいなと思っています。

ここまで読んでいただきありがとうございました!


能登


───── メディアセンターからのお知らせ ─────

理工学メディアセンターでは、2025年11月に「科学英語論文の書き方セミナー(基礎編)」「英語プレゼンテーションの心得セミナー」を開催します。

元 理化学研究所 創発物性科学研究センターの小野 義正氏を講師に迎え、英語の発想法や英語での論文執筆・口頭発表の鉄則についてレクチャーしていただきます。初めて英語論文を執筆する、英語でプレゼンテーションを行うという方におすすめです。

Zoomウェビナーを使用したオンライン開催のため、矢上キャンパスに所属していない方でも気軽に参加できます。参加申し込みをお待ちしています!

「英語論文の書き方セミナー(基礎編)」2025年11月12日(水)15:00-16:40(予定)
「英語プレゼンテーションの心得セミナー」2025年11月26日(水)15:00-16:40(予定)

(※どちらか片方のみの参加も可能です)

【詳細・申し込みはこちらから】https://www.lib.keio.ac.jp/scitech/services/seminar.html#A07

(慶應義塾所属者のみ対象:申し込みには慶應IDが必要です)

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